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通訳してみてわかったこと。日本人は結論から話さない。前提が大事。

来日する米国本社の上司を連れて、日本人のユーザーとたくさん面談しました。その際、私が逐次通訳をしましたが、この通訳を通して、日本人の思考パターンが理由→結論であることを実感しました。

どちらがいいとか悪いではなく、とにかく違うということです。

【製品Aに関して伺います。使いやすさについて、10段階評価で何点でしょうか?】という質問があるとします。

そのまま、日本人に質問すると、、、

『製品A、いつも使っていますよ!Aはねー、日本人の体形に合わない時があるんですよー。軽くて持ちやすいですがね。でも、日本人って、細かい作業するんですよ、だから、そんな時はこの製品Aを選んでいますよ。あ、先端がとがっていて少し危ない時もあるなーーーそんな時は、製品Bもいいですよ、あれ、おたくの製品???・・・』

このまま私がずっと英語訳をし続けると、聞き手のアメリカ人は、?????という表情になっていきます。

アメリカ人にとって、『10段階評価をしてください』と問えば、
答えは『1~10』のみです。
なぜ、このお客様はダラダラと話しつづけているの?と不思議な方になっていきます。

この辺で、通訳の私がわって入ります。
『そうですか、製品Aにそのような感想をお持ちなのですね、ありがとうございます。では、それらすべてを鑑みて10点満点だとして、●●さんの評価は何点でしょうか?』と、促すと、ようやく、点数をつけてくれます。

英語は先に点数。
その後、なぜかその点数なのか、という質問の順番です。

言語の構造上も違いますし、日本人の思考の癖がアメリカ人のそれとは違うからです。お互い違っていいのですが、間にはいる通訳者としては、とても難しい経験でした。

私も、最後まで聞いてから、「He says 3. The reasons are…」の順に訳すようになりました。

Yes No質問も、前提を話した上でしか回答したくない日本人

二択の質問の場合でも、日本人は簡単に回答してくれません。
質問の意図を徹底的に確認したうえで、
自分の解釈と前提を示したうえでしか、
YesやNoは回答しないという警戒ぶりです。
契約締結や問診でもない、ただの消費者アンケート調査にも関わらず、真剣な姿勢に米国人も驚きます。


マンツーマンレッスンでも、講師が気軽に質問する
「週末は何をしているの?」「あなたの国では●●はどんな時に起こるの?」などの質問があります。
その際、質問の意図を詳細に確認してから回答する癖が日本人にはあるように思います。
英語の授業なので、情報の正確性よりも、
英語をアウトプットしていただく時間ですので、内容よりも、英語で早く回答するという癖をつけることに意識したいですね。私は、週末何していたか、考える前に、「I played with my kids」「I red a book」など、適当に返答します。後でだれも裏どりしないので、大丈夫ですよ。笑

グローバルチームとの会議で意識した点

通訳をしていると自分のことも客観視できます。
私がグローバルのチームと電話会議をする際、
日本の意見を求められた時は、結論から回答するように意識していました。

例えば、、、

事例①
「日本の製品Aの発売予定日はいつですか?」
「4か月後を目標としています。」
「なぜですか?」
「政府からの承認がまだ降りていないからです。現在、、、」という具合です。
When と聞かれているので、まずは、日程での返答が最初
承認が取得できていない、という「理由」は、その後です。

事例②
「日本はBという戦略をとったのはどうしてですか?」
「競合の価格より安くなければ、シェアをとれないと判断したからです」
「それは、どういう背景ですか?」
「日本は、競合Cがトップシェアを持っています、それが他国と違う点です。シェアを説明しますと、、、」という風に、
日本の状況を先に説明したい気持ちをぐっとこらえて、
まずは、whyに対応して、Becauseで答えるように努めました。

文化の違いを楽しむ視点

私は、日本語も英語も好きです。優劣はありません。
ただ、グローバルに活躍したいのであれば、英語の思考パターンに合わせると、理解されやすく、誤解がなく、スムーズに進む場面も多く体験しました。
一方で、来日した米国本社の方々も、日本人へのインタビュー時には、結論まで時間がかかっても、我慢強く聞いていただきました。

文化の違いを楽しめる外資系企業での経験は、
私の仕事人生を豊かにしてくれたいい思い出です!

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