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映画化された『犬部!北里大学獣医学部』の動物愛護活動とは何か?

近日公開予定の林遣都主演の映画「犬部!」は、北里大学獣医学部に実在する動物愛護活動をするサークルの話だ。犬部とはいっても猫も保護する。現在は「北里しっぽの会」と名称を変えて活動をしている。

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「犬部」とは、北里大学の獣医学部の1人の学生が立ち上げたサークルである。捨て猫、捨て犬などの動物を保護し、譲渡会を開いて里親を探す活動している。決して学生の余暇を利用したお手軽な活動ではない。

動物の命を救い、飼い主が見つかるまで自分のアパートで世話をするのだ。保護した動物の健康状態が悪ければ、昼休みに自宅に戻って世話をし、また大学に戻って授業を受ける。趣味の時間を割いてまでも保護活動に邁進する。ちょっとやそっとではできないことだ。

筆者も猫を3匹飼い、そのほか、我が家のデッキで外猫2匹の世話もしている。外猫はお腹が空くと玄関ドアの前に陣取り、ニャアと鳴く。それを合図にご飯の支度をしてデッキに置くのだ。保護すればいいのかも知れないが、我が家はすでに満員御礼状態。これ以上のスペースはない。仕方なく、デッキで世話をしているというわけだ。

そんな個人的な事情もあり、本書の内容は身につまされた。獣医学部といえば、獣医師になるための国家試験もある。勉強しないわけにはいかない。健康な犬猫ならまだしも、病気持ちとなれば心配の種も尽きない。

また、彼らの活動に協力的な住民もいるが、中には批判的な人もいる。動物が嫌いな人から「そんな活動をするなら、肉を食べるな」といわれたり、病気になったペットをあえて捨てる人もいる。犬部の人間が助けてくれるだろうと見込んでキャンパスに置いていくのだ。

本書には学生と動物とのエピソードがたくさん書かれている。里親が見つかって幸せになる動物もいれば、病気などで亡くなってしまう動物もいる。悲しい結末には胸が痛むが、犬や猫も好きでノラになっているわけではない。もとを正せば、誰かが飼っていた犬や猫なのだ。

「飼うなら、最後まで面倒をみてほしい」

それが犬部の学生たちの思いだろう。私もそう思う。その一方で、こうした活動を行っている学生がいることに心が温かくなる。行き場のない犬や猫を保護し飼育した経験は、いずれ彼らの血となり肉となっていくのだろう。犬部、いや、北里しっぽの会がいつかなくなることを願いつつ、それまでは学生たちの手で存続していってほしいと思う。

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