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溢水 [✉ i.issui143@gmail.com]


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高速道路をはしるときの、きみのたてがみ。「一生忘れないだろうな、」と言うきみの言葉を信用できないまま はしりつづける。あしは、とめられない。肩を借りて眠ってもきみの夢は見られないし ぼくたちはどこまでいっても他人でしかない。爪を綺麗に切っているところが好きだった。ブレーキもアクセルもないよ。もっとつよく手をにぎってほしいだけだった。


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きみが踏みつけて、ばりばりと壊すわたしの尊厳。いのちのわななき。それが気持ち良いだけなのに。きみはわたしのこと、フライドチキンの骨くらいにしか思っていない。キスするときに息継ぎする、歪な感覚。肉の感触が不快で、捩れた。裏切られたことよりも、裏切らないで光っているきみのことを覚えていたい。


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ゆるやかに、爪を立てたい。きみのいちばんやわらかくて触られたくないんだろう、そこに。引っ掻いたら、何色が露呈する? なんにも繕わない傲慢さよりも、補正したきみのほうが、綺麗に。この眼に映る。すべてを許すほど近付いていないから。まっすぐ見つめるほど、誠実じゃなかった。水面に浮かぶ水草よ。きみのこと、顔も忘れられないほど遠くに。くしゃくしゃに丸めて投げ置いてしまうま ま  で 。


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光りがいっぱいに入る窓の側でも、照らされないところに、触りたいと思うこと。踏み荒らされた底に溜まっている、なにを押し付けたかも分からないソールの裏にはなにが挟まっているか、とか。窓の外の花は風で簡単に落ちてしまう。読めない英語も読める日本語も全て忘れてしまえば良かった。


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