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骨折!

ひさしぶりに電話を切ったあと声を上げて泣いた。2回電話したから2回声を上げて泣いた。ひとりきりの部屋では声すらも誰にも受け止めてもらえないから、上げたところでまったく意味がない。泣くくらいなら死ねば良い。足の指の骨を折ったので移動すらも痛みが伴う。仕方がないから這って移動を試みたりしたが、30cmほど進んだところで学生時代若干読んだだけの 江戸川乱歩 / 芋虫 が過ぎってだめだった。


別にほしいものなんてどこにもなかった、正解が欲しかっただけで。「恋愛をしていなくてもひとは生きる意味があるんだけど、」ってなんかの作品解説で大学の先生が言っていて、そこではじめて気が付いた。別に恋愛とかで他人に求められていなくても生きていていいんだって。小さい頃漠然と怒鳴り声が響いたり空を飛んでいるビールの缶で額が切れたりした。そういうとき、心配してくれたり、こいつが生きているからって思えるひとを作らないとって、いつも焦っていたんだと思う。ともだちじゃ駄目だった。すぐに優先順位が変わってしまうから。恋愛的に誰かを求めたり求められたりしないと、たとえばこういうどうしようもないピンチのときにひとりで泣くしかないってこと。それが死ぬほど惨めなことだと思っていたから。いまは別に、そんなこともよく分からないし。考えても無駄だってことが分かった。とても自己中心的な考えだっていうのは、きみに言われなくても気が付いているつもりでいた。

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