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「し」CIKIとディグると背脂と床と

 さあ、花の金曜日だというのに酒を飲みにも出かけられないが打ち込む場がここに一つあるというだけで少し気持ちも安らぐというものです。始めていきましょうー。CIKI(シキという読み方のはず、、)については第2項目を参照ください。

「Digる」 あるディスクユニオン地方支店に愛を込めて

 音楽などの文化に対して深堀りする作業。通称「ディグる」。

中学生の時にディスクユニオンと出会ったことでディグる楽しみを覚えてしまった。先に紹介した毛皮のマリーズもそうだが、ディスクユニオンという店は一筋縄では行かない。私が通っていた店は本当に狭く、極小坪の土地の中に洋楽、邦楽問わずに無数のお宝が埋まっているような状況であった。特に漁ったのは、洋楽コーナーのロックだった。

ディスクユニオンの主な経営形態を説明すると、新盤も扱っているがごく一部で、それ以外はほぼ中古盤に埋め尽くされていた。ヤニにやられて茶色に染め上げられたジャケットのCDは数百円で売られるセールコーナーに追いやられていたり、やけにメタルのコーナーのポップがやかましい店であった。中学生の頃は、小遣い制、このなけなしの小遣いで、如何にいい音楽を掘り当てるか。これに全神経を注いでいたと言っても過言ではない。レンタルショップにはないような刺激的な音楽を探して、暇さえあれば好きなバンドの頭文字のあたりを探していた。

そして、下調べはもちろんだが、フィーリングというものも大事にしていた。要はジャケ買いである。

10代のジャケ買いというものは本当に博打だ。自分が一月にもらえる賃金(と入っても労働とは言えない)の中から相当の割合を投じて買うものがCDなのである。例えば、月に1万円を貰っていたとして私は音楽に対して交遊費を除いたほぼ全てを注いでいたがその割合は多く見積もっても8割くらいだった。

社会人になって8割も音楽に金をつぎ込むなんて考えられないがこの頃つぎ込んだこの割合は後々の自分のアイデンティティとなってきた。無駄な投資も多かったがここから金の鉱脈を引き当てる喜びを覚えてしまったのだ。

短くなるように例は一つにしておくが、ジャケ買いで今でも忘れないのはこの一枚。

いかにもなジャズのクールなジャケット。そして、聴いてみてびっくり。本当に自分が思ったようなジャズが広がっていた。それは心地よく、今日紹介するCIKIにもつながるようなジャズ的アプローチの理解の第一歩となった。そして、この一枚が自分の音楽人生の深まりの一枚として今でも自信を持って言える。そのくらい、今後の音楽経験のハブとなった一枚である。こんな出会いをありがとう、ディスクユニオン某地方支店。R.I.P.

現代のDigる

 さあ、では現代のディグるってどういうことなのだろうか。

これは圧倒的にYou Tubeなどのソーシャルメディア、そしてSpotifyなどのサブスクリプションを利用しての作業となるだろう。

あの頃(十数年前)と比べると、圧倒的にコスパが良いのだ。

例えば、Spotifyに月々に掛ける金額は千円にも満たない。しかし、あの頃の私達は1500円の薄汚い中古盤を見ては、(お買い得!!)と思ったものだ。そして、音質もいいと来たものだ。これだけ、初期投資が少なくて済む趣味もそうないと思うくらいに、音楽を「聴く」ということはライトになったと言える。

そして、サブスクリプションのすごいところを上げるとすれば、日本やアメリカのチャートに依存しない音楽を掘り当てる事ができるということでもある。「流通」という言葉が音楽業界で死に体になり、メジャーとインディーズの境目が曖昧になった頃。産業的に大きな音楽を生み出す国(US、UK、まあ日本もこちらに入るだろう)と、それとは全く違った小さな都市から新しい音楽が日本にも簡単に届くようになった。その始まりを感じたのは2018年頃だろう。

そして、そこで感銘を受けたのが今回紹介するCIKIだ。

初めて聴いた瞬間、もうこんな名曲ありましたよね?と錯覚するくらい日本によったようなメロディ。そして、聞き取れない言語がメロディとリズムを紡いでいく。あ、韓国語だと気づいた頃には私はCIKIのファンとなっていた。

初めてCIKIを知ったときには本当に情報が全くと言っていいほどなく、ユビキタス社会に生きる私としては情報飢餓状態に落とし込まれた。発表された曲も2,3曲しかなく、数ヶ月に一度新曲が発表される度に何回もリピートしたものだ。

アジカンにしかハマっていなかった、あの頃のように新曲はまだなのか、、、、なにか自分が今知らない情報がどこかに転がっていないのか、、、と音楽との淡い恋をしていた時をサブスクリプションを通して思い出させてくれたSpotifyとCIKI、そしてディスクユニオンに愛を込めて今回の記事を捧げます。

切り売りパート ディスクユニオンと油まみれの床

 今回、ディスクユニオンに随分と助けられた記事となったので、「ディスクユニオン」と聞いていつも思い出す彼について話していきたい。彼をFとしよう。

私は、中高一貫の高校に通っており、高校から途中で入学してくる人は1割にも満たない学校で高校生活を過ごした。そんな中、バンド好きというものは狭いもので高1になって数ヶ月で高校から入学してきたF君と意気投合した。

F君はメタルが大好きだった。

メガデスのホーリウォーズ

について、ああでもないこうでもない、ここのこういうところがたまらないんだとディスクユニオンで熱く語られたことを今でも思い出す。彼とディスクユニオンに行けば、メタルコーナーにしか立ち寄らせてもらえず、試聴機を聴き終えた頃には軽い二日酔いのような感覚に苛まれていた。(オアシスみたいな王道も掘らせてくれよ、、、)

それでも、音楽について語り合える友だちがいることが嬉しく、ついつい高1の頃はF君とよく出掛けていた。

そして、運命のXデーがやってきた。彼はついに私に音楽以外も理解してほしいと思ったようで、某ベッドタウン県では有名な背脂ギタギタのラーメン屋に行こうと誘ってきた。マスコットを貼っておこう。

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何気なしに、「いいよ」と言った自分を恨む結果となるのだが、その入口がこの店、入った瞬間から床に油が張り付いて地面を歩いているような感覚がしないのである。(あ、やばいところ来たかもしれない)そう思った頃には遅かった。

F「裏メニューの超ギタが最高に美味いんだよ。頼んでおいたから、今日は俺のおごりさ。」

出てきたラーメンに度肝を抜かれた。背脂という背脂が器を埋め尽くし、ヨーグルトのようになっているラーメンが私の目の前に現れたのだ。

(これは、箸を止めたら、終わる)

これだけを確信した私は食べることにひた走り、なんとか完食できた。その店に行くことはたまにあれど、二度と超ギタを頼むことはない。今でも、刺した箸が直立不動であたかも飲食者をあざ笑っているかのような光景を思い出す。

それ以来、私は背脂という言葉に背を向ける事となる。

では、また。

ん?今回はラーメンの記事になってました。すみません。

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