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歳をとるという事

9.ひと月に1回講座が開かれる

デイケアは月曜日から金曜日まで午前、午後と2回ある。土、日はお休み。
その5日間かけて同じ講座が開かれる。
 
スタッフの手作り講座である。例えば、8月「かしこい脳の使い方」<認知症予防についての講義>とか、9月「重曹とアロマオイルで消臭剤を作ろう」。etc
どの講座も希望者だけで、無理強いはしない。私は、皆さんと親しくなるために積極的に参加した。
 
6月には、ボッチャというパラスポーツがあったが、スポーツ以外は男性の参加は少ない。大勢参加する方が楽しいだろうと思う。
 
 
利用者の中には96歳の男性で、スマートフォンやパソコンを使いこなして、いろいろ作品を制作しておられるようだ。施設ではそれらの作品をエントランスに飾って、利用者を励ましている。
この男性は1年間デイケアに通うことによって血圧も安定し、買い物にも行かれるようになったそうで、嬉しいニュースである。
 
 
デイケアに通い始めて早や6か月。
この頃少しずつ利用者の名前を憶えてきた。固有名詞で呼べるのは嬉しい。人の名前を覚えるのは若いころは早かった。家に帰ってからも頭の中で復習していた。
 
最近、ある男性から「こんにちは」と声をかけられた。話し声など聞いたこともない人なので、びっくりしたが慌てて「こんにちは」と返した。
 
そうだ慌てず、ゆっくり溶け込んで行こう。人生の持ち時間は僅少だ。わたしも歳をとったことを一足ずつ刻んでいる。
 
他人(ひと)のお世話にはならないとひそかに思っていたが、歳をとるということは、意識をしなくても確実にその時は迫っているのだ。

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