おばあちゃんの世界とは

2.頼もしい

75歳のおくちゃん、後期高齢者になったばかり。おくちゃんは地方のデパートの洋服からその他何でも手がけてしまうCxxxの店長である。
この売り場はどんどん広がっている。いろいろなイベントも手掛けていて、年寄りから若い人にも人気だ。
近頃さびれたデパートにここだけは必ずお客がいる。おくちゃんはお客をとりこにしてしまう何かを持っている。
おくちゃんは日勤ではない。こんな働き方もあるんだ。

デイケアに来ているモリンちゃん。61歳で脳出血で倒れて右半身が不自由だ。今は77歳、そんな病気には負けていない。懸命な努力を重ねて、話すことも普通にできる。何より悲壮感がない。誰とも自由に話し、楽しそうに笑う。
驚いたことにその不自由な手で、素晴らしいセーターとベストを編んでそれぞれ着てくるのだ。右胸元にモチーフをいくつか入れて、色彩感覚も素晴らしい。
両手が自由に使える私にはできない業で唯々感嘆の声を上げた。
モリンちゃんはスマホを使いたいと願っているが、右利きの右手が動かないので必死だ。でもきっと使えるようになるだろう。

スマートで、パンプスを履いてさっそうと歩くスーちゃん。椅子から落ちて腰椎の圧迫骨折をしてしまった。82歳である。
痛みがなかなか取れないので、手術をして今リハビリに励んでいる。
スーちゃんはゾンタ(国際女子会議)で活躍をしている。とてもとても80代とは思えないスタイルと、雄弁さである。
6ヶ月はコルセット着用と医師に告げられている。少々苦しいだろうが、スーちゃんなら前にもまして元気に活躍するだろう。
電話の声も元気で快活の笑い声も前のままである。

三人はまだ運転している。そして決して歳をとったと嘆かない。実に頼もしい。

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