見出し画像

ロシア・ウクライナ問題

 2022年2月24日、ロシア軍がウクライナに攻め込んだ。北京オリンピックが終わった直後のことだった。ウクライナの首都キエフは町中が破壊され、ボロボロになり、現時点での民間人の犠牲者は3000人以上だと発表されている。また6月の時点でウクライナ兵の死者は、1万人ほどに達しており、またロシア兵の死者数も1万人を超えていると分析されている。正直、正確な数値は不明だが、毎日100〜200人の犠牲者が発生していることは確かであり、ウクライナ軍もロシア軍も限界がきているように見える。何が正確な情報か判断が難しくなっているため、一概に意見を言い難いが、主に二つの面からこの問題について捉えていきたい。一つ目に、プーチン大統領は「なぜ攻撃し続けるのか」について、プーチン大統領が目指しているものは何なのか、非合理的な攻撃をし続けている理由について探求していきたい。二つ目に、この戦いによって「もたらされた影響」について、世界ではどのような問題が起こっているのか、ここでは、「物資問題」、「差別問題」について探求していきたい。


1.プーチン大統領が攻撃し続ける理由
 まずは戦いが始まった原因を歴史的背景から見ていきたい。ウクライナはかつて、ロシアを中心とするソ連の構成国だったが、ソ連崩壊をきっかけに独立した。現在、ウクライナはゼレンスキー大統領を台頭に NATOへの加盟を目指しているが、これこそロシア側がウクライナを攻撃する大きな理由である。ロシアは東西冷戦の時代から、NATOがロシアを敵と見なしてきたと主張してきた。プーチン大統領は兄弟国であるウクライナが、敵対視しているNATOに加盟することで、NATOの力が強まり、代わりにロシアの力が弱まると考えている。そのような状況をなんとしてでも避けたいプーチン大統領は、さまざまな理由をつけてゼレンスキー大統領を武力で排除し、ウクライナをロシアに従順な国へと変えようとしているのである。プーチン大統領は、ウクライナ人とロシア人は歴史的に一体だと繰り返し主張し、ウクライナの独立を認めず、また今回の攻撃もロシア系の住民をウクライナ軍の攻撃から守っていると正当防衛を主張している。私はこのプーチン大統領の行動について、独断的な傾向が強いように感じている。最初の侵攻で、プーチン大統領が想定していた成果を大きく下回る結果となったため、プーチン大統領は想定外の結果に動揺し、だんだん投げやりな攻撃をするようになったのではないかと考えている。またウクライナが世界から支援を受けるようになったことで、プーチン大統領の疎外感が強まり、精神的に不安定な状態となっているのではないかと思う。プーチン大統領に同情するわけではないが、ロシア軍は後に引けない状態となり、せめて何らかの成果を上げるべく、攻撃し続けているのだと思う。

2.ロシア・ウクライナ問題の影響
 ロシアのウクライナ侵攻によって、世界にはさまざまな影響があった。一つ目に「物資問題」がある。現在ウクライナには870万人以上の避難民がおり、多くの人は、食糧 / 水 / 衣服などの生活に必要な物資が不足している。また医療物資も不足しているため、体調を崩した場合、すぐに治療するということが困難になっている。

 NPO法人AAR Japan(難民を助ける会)は世界各地でさまざまな支援活動を行っている団体で、今回のロシア・ウクライナ問題においては、主に難民支援を行っている。例えば、募金の受け付けのほかに、ポーランドのカトリック教会と協力して、寄付された支援物資を避難民に届けるという活動をしている。これによって、避難民の生活をサポートするだけでなく、彼らの心の癒しにもなっているという。一人でも多くの人の生活のサポート、また命を救うためには、積極的な支援が必要であり、一人一人が、”今自分にできることをまずやってみる”ということが大切である。日本からできることとして、寄付活動がある。お金の寄付であれば、AAR Japanのwebページからインターネットを通して支援できる。いつでも寄付を受け付けているため、気になった方は今日から寄付活動に参加してみるのも良いだろう。他国の問題を他人事としないことが、問題解決のキーとなると思う。
 ロシア軍においても深刻な物資不足が起こっており、実は侵攻を始めた時からすでに食料などの物資が不足していたようである。そのためロシア兵たちは十分な食事がとれておらず、その結果、ウクライナの食料品店や農場から食料を略奪する様子が何度かカメラに捉えられている。このような食糧不足に陥っているロシア兵士を助けるという意味でも、一刻も早くウクライナへの侵攻をやめるべきである。

 次に、ロシアのウクライナ侵攻において、あまり知られていない「差別問題」について述べていきたい。実はウクライナにはもともと47万人の外国人が移住しており、中でもアフリカからの留学生が多くいた。今回ここで問題として取り上げたいのは、そのような外国(アフリカ/中東/インド)の人々がウクライナから逃げる際受けた、「人種差別」についてである。ウクライナに住んでいたナイジェリア人女性の話によると、「バスでポーランドの国境に向かおうとしたら、ウクライナの役人に『黒人は歩いて行け』と言われた」「国境にたどり着いた後も、『ウクライナ人が優先』と言われた」と語っている。また、ウクライナの首都キーウに住んでいたナイジェリア男性によると、「ウクライナからポーランドへの移動の際、キーウの駅で『女性と子供ファースト』と言われていたにも関わらず、黒人や中東風の見た目の女性が電車に乗せてもらえず、置き去りにされていた」と語っている。一人でも多くの人がウクライナから避難できるよう世界中が望み、多くの人が支援しているのに対し、現地では緊急時にもかかわらず「白人ファースト」が行われ、外国人避難民が見た目で差別され、精神的にも身体的にも傷つけられたのだ。このような差別行為は決してあってはならない。全ての人に「生きる権利」「逃げる権利」「生活する権利」が平等に保証されるべきである。そのためには、「〇〇人だから」という偏見をなくすことが必要だ。

 少し前に恵比寿駅でロシア語の看板が「調整中」の張り紙で隠されていた。駅側がロシア語を隠した理由としては、「ロシア語を見たくない」というクレームがあったからということだった。おそらく、クレームを入れた人は、ロシアという国家に対し嫌悪感を感じており、またウクライナのために何かやってやりたいと思っていたのかもしれない。確かにロシア軍のウクライナに対するやり方はひどいものだが、ロシア語を否定し、見えないようにするというのは、ロシア語(キリル文字)を使っている人皆を否定するということになり、それこそ「ロシア人だから」という差別を生み出しているように思う。このように、差別行為は偏見から容易に発展する。そのため、私たちは一人一人正確な情報を身につけ、よく考えてから行動する必要がある。

 戦争は環境も人も破壊する。争いに勝ったとして、戦勝国が得るものとはなんだろう。私は、争いに勝ったところで問題解決ができるとは思わないし、むしろ多くの犠牲者がいることへの罪悪感の方が大きいと思う。ロシア・ウクライナ問題によって多くの犠牲者が発生し、多くの人が傷ついている。ニュースでウクライナの人々が涙を流している姿を見るたび、ロシアの非人道的なやり方に怒りを覚えるが、そのロシアに対する否定的なイメージだけを頼りに問題を捉えた場合、「ロシア=悪」という傾向が強まるのではないかと思う。偏った情報は度が過ぎると差別を生み出す。時々別の視点に立って調べてみることで、「ロシアの兵士もみんながみんな戦いたくて戦ってるわけじゃないんだ」とか、「ロシア人全員がウクライナ侵攻に賛成しているわけではない」などと問題を新たな目線で物事を捉えることができる。さまざまな情報が行き交う世の中で、なにが事実か見極めることは難しくなっているが、”さまざまな視点を持つ”ことが偏見や差別をなくす第一歩なのではないかと思う。 


【参考文献】
ロシアウクライナ問題 原因:朝日新聞 / 日経 / BBC
物資問題:UNHCR / AAR Japan / readyfor / save the children / 日経 / newsweek
差別問題:globe asahi / yahoo / mirasus


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?