『CURE』 ー「存在の震え」について
存在の震え映画の定義を「フィルムの震え」という概念に見出した日本の批評家がいる。その批評家とは紛れもなく蓮實重彦のことだが、この人物の存在などこの際どうでもよろしい。我々の興味を惹くのはあくまで「フィルムの震え」という概念そのものであるからである。それにしても「フィルムの震え」という言葉は、我々が映画の最も映画らしい瞬間を見たときに抱くある種の感覚を、極めて的確に表した概念様式であるように思える。我々は確かに、フィルムが震える瞬間を知っている。しかし一方で、「フィルムの震え」