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高校生と考える教育の未来【SDGs表現論DIALOG #2】

こんにちは。インパクトラボの久保田です。

「SDGs表現論 -プロジェクト・プラグマティズム・ジブンゴト」書籍化(3/24出版予定)にあたり、SDGsに取り組む大学生・高校生と、書籍の内容をもとに「SDGsに取り組む」ことについて対話する企画が「SDGs表現論DIALOG」です。
 著者である山中 司(立命館大学生命科学部教授)と上田 隼也(一般社団法人SDGs Impact Laboratory 代表理事)とゲストの方々との対話をお届けします。

 SDGs表現論は、一人一人が「自分ごと」としてSDGsをどう捉えるべきかについて、考える機会を提示するものです。キーワードは哲学としてのプラグマティズムと、方法としてのプロジェクトです。個々の興味、関心、問題意識は、必ずSDGsにつながるという信念のもと、一人一人がマイプロジェクトを立ち上げ、そこにSDGsを乗せ、まず活動してみることを提案します。戦略的にSDGsの視点を入れ、一人一人が社会を変える主役になるべきことを強く訴えます。2019年度立命館大学教養ゼミナールとして開講され、2020年には大規模オンライン講座JMOOCにて開講し、約5000名に受講されました。

 今回は、 高校生編ということで、立命館守山高校3年生、片岡 花乃 さん、畠麻理奈さんと篠原 巧さんをゲストにお招きしました。

ゲストの皆さんが所属する立命館守山高校では、高校3年生のグローバルクラスを対象にグローバルAP科目を実施しています。本科目は、立命館大学教養科目のSDGs表現論のエッセンスが入った高大連携の授業になります。その授業の講師を山中先生と上田先生が担当しています。

*APは、Advanced Placementの略になります。

はじめに、ゲストの高校生の皆さんから本を読んだ感想や気になった点についてお聴きしていきました。

片岡 私は、本を読む習慣があまりないので、最初は読むのが大変かもしれないと思っていたのですが、読んでいくうちに以前受講したお二人の授業の内容が、文字化された文章として入ってきて面白かったです。

 自分はお母さんと一緒に読みました。導入は少し難しかったりしましたが、中盤からはいい意味でさくっと読むことができました。授業の内容が深堀りされていたりと、ここが大事だったんだ!などど、受講を終えての自分へのフィードバックを貰ったような気持ちにもなりました。

篠原 哲学の話は、授業を受けていなかった人などには、重たさを感じるかもしれないとは思いました。ですが自分のやってきたことと先生の考えていたことがマッチしていたりと、本の内容は核心をついていることが多く、納得のいく構成でした。

山中 まず高校生がこの本を読んでくれたのが嬉しかったですね。探究の授業は普通の高校にはなかなかないですよね。今回は必須科目として行われたこともあって、モチベーションの維持など、人によっては難しかったんじゃないかとも思います。授業を終えてみて、気になった箇所とかどんどん教えて欲しいです。

片岡 それでいうと自分は、高校生という立場で、どこまで深くリサーチをしていいのか、というのは気になっていました。探究のためにどこまで深掘りをしていいのか…それからリサーチに慣れていない人は、グラフを探すとかそういったことが難しかったんじゃないかとも思います。

 リサーチ方法については、慣れていない人はかなり難しかったと自分も思います。生徒によって学習が軌道に乗るタイミングは違うと思いますが、良いタイミングで軌道に乗れないとこの授業ほきつかったかもしれないですね。

山中 リサーチついては葛藤が大きかったようですね。大人側からすると、例えば世の中のタブーを先に教えてしまってもいいのかという問題もありましたね。差別というのも、日常に潜んでいますし、先回りして教えてしまっ方がいいのか、でもそれだと夢や希望が持ちづらくなってしまうかもしれないし…難しいところです。モチベーションの差については、やる気のある人は、異なるトラックで全く別の教育をするという方法もあるものの、それはそれで中々難しいことでもありますね。

篠原 自分は今、立命館ネクストリーダープログラムに参加しています。その一環で海外の大学で学んでいる方にインタビューをしたのですが、話を聴いている中で、学校教育と社会人になってやることが違いすぎたりと、今の日本の教育がこれで良いのか?ということについてより気になりました。
 

山中 日本の高校、大学両方の問題でもありますね。全く違う哲学が並行していることに根本的な問題を抱いたりすることもあると思います。ただ、自分の頭で考えられる人だけに単位を与えていたら、大変なことになってしまいますし、難しいところです。

上田 探究は決まった答えがあるわけではないので、差がつきやすい学習ではありますよね。ある意味で社会勉強の機会にはあるかもしれませんね。受講した皆さんの体験や振り返りを、次世代に上手くシェアしながら良い授業にしていきたいです。

 今やっているインターンの関係で、企業の上層部の人なんかも出席している会議に参加したことがあります。自分は大人の考え方が固いのにも理由がある、ということを高校生ももっと知ることができると良いと思うし、起業家の人の講演などの、社会の仕組みを知る機会があればいいのかなと思ったりします。

上田 高校で起業家による講演を行う、となると、適切な人を探しづらい部分はありますね。
この人すごい、だけで終わったりしない、教育的配慮が行き届いた講演を作るには、などと考えると、慎重な人選をしてバランスがいい人を見つけなけれなりませんね…海外でならもう少しいるとは思うのですが。

片岡 いわゆる成功者、ではない人の話を聴く機会があってもいいかもと思ったりします。

上田 それは僕も今どうにか実現できないかと思っていますね。撤退の仕方というか、引き際 を見極めたり、ピボット(方向転換)を適切に行ったりするための事例を集めているところです。

片岡 山中先生も上田先生も、自分たちに凄く向き合ってくれていると思うのですが、その理由が知りたいです!例えば、偉い方に会いたいって以前言った時、上田先生が繋いでくれたりしましたよね。

上田 今できることを最大限にやっているだけですよ!これは優先すべきだと思ったことには、「未来への投資」だと思っています笑。よく上田先生は優しい、とか言われたりするのですが、自分は優しいわけじゃないと思いますね。授業で優しい、と言われるのも、生徒が探究を進める中で躓くことが多い分、褒めていこう、思っているからかもしれないです。

山中 純粋に高校生の考えていることには興味がありますね。将来立派になってくれたら、ということももちろん思いますが!

 今日は凄く機会を貰えたなと思います!コロナの影響で授業の形が変わったり、Zoomで集まる、みたいな流れがうまれたから今日こうやってお話しできたのかなと感じました。

篠原 振り返って自分は恵まれているなと思いました。映像の勉強をしたい、と自分が言った時に上田先生が繋いでくれたりと、一般的な高校生と違って、周りの大人にも恵まれていると感じました。

ここまで、対話の内容を抜粋してご紹介しましたがいかがだったでしょうか。紹介できないない内容もたくさんありましたが、様々な観点から議論が広がっていました。

対話の中では、高校生のうちから長期休みは留学に行ったりと、日常から離れてみる機会があったことや、それをやってみたらいいんじゃない、と言ってくれる親や学校、といった周りの環境の大事さなども話に出ました。理系の生徒と文系の生徒の間で溝ができてしまったりすることや、価値観の合う同年代を見つけるのが難しかったりするということを生徒の皆さんが課題に感じていたりすることもわかりました。頑張っている若者を応援する社会であって欲しいという願いや、頑張っている子どもを大人が応援するどころか止めたりするなんてあっていいだろうかといった話もありました。

全国の高校に先駆けて、探究という新しい形の学習が行われている立命館守山高校、その授業を受講した生徒たちの考えていることを知ることができ、授業の今後についてもより気になる対話でした!

さいごに

 最後までお読みいただきありがとうございました。インパクトラボでは、SDGs表現論などSDGsと教育に関する講演やセミナーを実施しております。気になる方は、インパクトラボの公式HPから活動をご覧ください。


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