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南野拓実のリバプール移籍に期待する3つの理由

12月19日にWebニュースのヘッドラインに並んだのが「南野リバプール移籍決定」の見出し。日本代表FW南野拓実が、来年1月からイングランドの強豪・リバプールのユニホームに袖を通すことが正式に発表されたのだ。


今シーズン、プレミアリーグで無敗(17節時点)を誇る欧州王者への移籍は2012年にドルトムントからマンチェスター・ユナイテッドに移籍した香川真司以来のインパクトがある。



日本代表でも得点源を担う24歳のアタッカーがプレミアリーグ、またチャンピオンズ・リーグ(CL)の舞台でどのような働きを見せるのか純粋に楽しみでならない。そこで、南野のリバプール移籍に期待する理由を、同じくプレミアリーグの強豪へステップアップを果たした香川などの例も挙げながら述べてみたい。

①ユルゲン・クロップ監督の存在

まず、何と言ってもユルゲン・クロップ監督の存在は大きい。ドルトムントの監督時代にはセレッソ大阪から香川真司を獲得。10-11シーズン、11-12シーズンのブンデスリーガ連覇に香川は主力として貢献し、マンチェスター・Uへ引き抜かれた実績がある。


また、クロップが実践する「ゲーゲンプレス」との相性の良さも挙げられる。南野の特徴であるアグレッシブな運動量は激しい上下動が求められるクロップサッカーにハマるはず。


プレミアリーグの強度の高さに適応すれば、十分にやっていけるだけの素養を備えている選手で、同じく背番号18を背負った元オランダ代表FWディルク・カイトのような献身性で、現地ファンの心を鷲掴みにしてほしい。


ちなみに、香川のマンチェスター・U時代は、彼を招き入れたアレックス・ファーガソンが移籍1年目で監督を退任。デイビッド・モイーズの監督就任により、出番が減少する不運もあった。現在のリバプールの充実度を見れば、来季以降もクロップ政権が続いていくことは確実で、南野は長い目で出番を与えられるはずだ。

②攻撃的ポジションならどこでもこなせるマルチさ

リバプールで南野に与えられる役割は前線のブラジル代表FWロベルト・フィルミーノ、また両翼に位置するエジプト代表FWモハメド・サラーとセネガル代表FWサディオ・マネのバックアッパーが大方の見方。南野は途中出場からこの強力3トップを支えつつ、カップ戦等で出番を伺っていくことになるだろう。


一方で南野はリバプールの4-3-3の中盤(インサイドハーフ)でも適応できる汎用性を備えている。日本代表では4-2-3-1のトップ下を任されているが、リバプールでも中盤としても起用される可能性はある。


マンチェスター・U時代の香川は主にトップ下、サイドアタッカーとして起用されたが、当時はウェイン・ルーニー、ダニー・ウェルベックなどのライバルがおり、中盤2列目での激しい競争があった。


同じくビッグクラブでの激しい競争に挑む南野にとって、前線だけでなく中盤のポジションに適応できるかは出場機会を得るためにも重要なポイントとなるはずだろう。

③ザルツブルクでの豊富な経験

2015年1月にC大阪からレッドブル・ザルツブルクに移籍して以来、南野はオーストリアで確かな実績を積んできた。在籍期間中にリーグ戦優勝5回、カップ戦優勝4回を果たしたチームにおいて南野はスーパーサブとして、また主力として得点やアシスト、献身的な運動量など様々な形で結果を残してきた。


オランダのフローニンゲンから強豪PSVへの移籍を果たした堂安律や、ポルトガルのポルティモネンセからカタールを経由してFCポルトにステップアップした中島翔哉と比べると、ザルツブルクに丸5年在籍した南野は時間がかかったかもしれない。


しかし、南野はチームで地道に存在を証明し続け、欧州チャンピオンズリーグの舞台でリバプール相手に圧巻のパフォーマンスを披露し、ビッグクラブ入りのチケットを自らの手で掴み取った。


その粘り強さはリバプールにおいても生きるはずで、クラブと結んだ契約は5年。この5年の中で南野にはザルツブルク時代と同様に、粘り強く自分の存在感を示し続けてほしい。


以上の3つを期待するポイントとして挙げてみた。


もちろん、南野の挑戦は簡単なものではないだろう。過去には中田英寿がイタリアの強豪ローマで、また香川がマンチェスター・Uで激しい競争に晒され、世界レベルのクラブで日本人の攻撃的な選手が確かな実績を残したという例はまだ少ない。


そんな中で、欧州王者に招き入れられた南野には待ち受けるであろういくつもの困難を乗り越えて、イングランドの地で躍動し、日本人選手としてまだ見ぬ景色を私たちに見せてほしいものである。

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