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暗闇マッサージと薬草風呂で 非日常の体験を「Noir. Spa」

初訪 2023.09  更新 2023.09.17


ベトナム旅行やベトナムでの生活を、思い出深いものにしてくれるものの1つが “現地でしか味わえないユニークな体験”。
たとえば、ホーチミン市のスパで身体を癒すなら、一風変わった体験ができる「ノワールスパ(Noir. Spa)」でのひとときもオススメです。

公式HPなどで「暗闇マッサージ(Massage in the Dark)」と説明される通り、マッサージルームは仄暗い空間。そして、マッサージを担当するのは、視覚障害を持つスタッフ。視覚という感覚が1つ閉じると、ほかの感覚が研ぎ澄まされるように、手の感覚で巧みに筋肉の張りや痛みを捉え、一押し一押しじっくりとほぐしてくれます。

そしてもう一つ、ここならではの体験になりそうなのが、少数民族「赤ザオ族」の薬草風呂。北部の山岳地帯を思い起こさせる土壁のバスフロアで、鳥のさえずりや木の香りに癒されるひとときは、とっても印象的です。



 それでは、まずはスパへの行き方から。
 

アクセス

ホーチミン市中心部の1区、ハイバーチュン(Hai Ba Trung)通りの178番地横に伸びる路地を入ります。

路地の入口。路地横の緑の建物は韓国系ベーカリーカフェ「トレジュール」


この短い路地の中には、ベトナミーズフレンチのお店「L' Etoile」のほかに、今回のスパと同経営のお店が集結。たとえば、
・漆黒の暗闇の中でディナーを楽しむレストラン「Noir. Dining in the Dark
・聴覚障害を持つ方とハンドサインでコミュニケーションを交わすレストラン「Blanc. Restaurant」(Noir.Dining in the Darkの上階)
・同じく聴覚障害を持つ生花店「La Hoa. Flowers Speak
・ベジタリアンレストラン「Du Du Xanh
など、どれも個性的で質の高い体験ができるお店ばかり並んでいます。

ちなみに、暗闇カフェ「Noir. Ca Phe in the Dark」は一時休業中です
(2023.09現在)


路地を入って右手に見えてくるのが、このスパの外観。緑が生い茂る一角にオリエンタルな壁が立つ、ここが今回の「Noir. Spa」です。

まずは、この壁の裏側にある受付へ向かいます。

予約方法

もし、空きがあれば飛び込みで対応してもらえる場合もありますが、週末などは比較的混み合うこともあり、基本的には予約がオススメ。
予約は、FacebookInstagramからできるほか、電話(093・302・2626)か、直接来店しての予約も可能。Facebookは「予約する」ボタンからメニューを選択するだけで予約できるので簡単です(英語表記)。

 
 

メニュー

メニューは、椰子を編んだうちわにくっ付いていて、なんとも南国らしい素敵な演出。

色もテーマカラーの緑に統一されています
(クリックで拡大表示できます)

メニューは大きく分けて「ボディ」「フット」「ハーブバス」の3タイプ。英語表記がメインですが、メニュー名だけ簡単な日本語訳が付いています。

ボディ
ベトナミーズアロマ/60分 45万vnd〜(約2740円〜)
ホットストーン/60分 48万vnd〜(約2920円〜)
ノワール シグネチャー/90分 68万vnd(約4140円)
首、肩、背中/30分 28万vnd(約1700円)

フット
フットマッサージ/30分 28万vnd〜(約1700円〜)

ハーブバス  (赤ザオ族の薬草風呂)
ハーブバス/15〜25分 15万vnd(約910円)
※ハーブバスのみのスパ利用も可

といった内容。

もしも、家族や友人などグループで訪れた場合は、通常のマッサージなら3〜5人まで同じ部屋で受けることが可能で、カップルなど、よりプライベートな空間を楽しみたいなら、専用バスルームとスチームサウナ、ベランダ付きの「プライベートルーム」30万vnd(約1830円)を利用するという方法もありです。※予約推奨


街歩きなどで疲れた足を癒すフットマッサージも魅力的なのですが、マッサージの場所が受付やロビーの隣にあるので、会話が漏れ聞こえる場合も…。
ここならではのスパを存分に楽しみたいなら、個人的には看板メニューの「ノワール シグネチャー(Noir. Signature 90分)」がオススメです。フランス語で "黒" を表す "Noir" の名前通り、仄暗い空間でホットストーンを使ったアロママッサージやフットマッサージを、没入するように堪能できます。

 
 

スパ内部へ

スパの中は、インドシナスタイルの上品な装飾が印象的。オシャレで清潔感のある空間には、細部に至るまでこだわりが滲むような装飾が散りばめられています。

スパの受付スペース
受付には、中部フエのタンティエン村で作られたカラフルな紙の花飾りもありました

まずはお茶を飲みながら、オーダー表(簡単な日本語訳付き)の記入を。
名前や予約内容、マッサージの強弱や特記事項などを書き込みます。

特徴的なのは、項目に「The Light(光)」の項目があること。好みに合わせて薄暗い空間か暗闇かを選択できます。今回は、ここならではの "暗闇" を選択。暗闇の中でのマッサージ、楽しみです。

マッサージオイルは、下記の3種類から実際に香りを確かめて好きなものを選択可能。
・レモングラス(Lemongrass)
・バンブー(Bamboo garden)
・オレンジピールと白檀のブレンド(Calming)

そのときによって、内容は変わる場合もあるものの、マッサージオイルやエッセンシャルオイルは基本的にすべて、ベトナム産のものを使用しているそう。


今回私が選んだオイルは、レモングラス。
メニューは、
「ノワールシグネチャー(Noir. Signature)90分 68万vnd(約4140円)」と「赤ザオ族の薬草風呂(Red Dao Herbal Bath)15〜25分 15万vnd(約910円)」にしました。

まずは、薬草風呂で身体を温めてからマッサージへと向かいます。

女性用更衣室のサイン。
バスタオルやルームキーなど、所々にこの点字のデザインが施されています。

はじめに、女性(female/Nu)と男性(male/Nam)に分かれた更衣室で、紙パンツとスパのウェアへ着替えを。

更衣室にはロッカーと洗面台、シャワーブースとトイレが完備。海外のスパを利用するときに、水回りがきれいというのは結構重要なポイント。手の行き届いた空間に癒されます。

暑い日でも快適に過ごせそうな肌触りのいいスパのウェアは、気に入ったら購入も可能だそう。気になる方は受付で、詳細の確認を。

 
 

赤ザオ族の薬草風呂

それでは、2階にあるハーブバスのフロアへ。

薬草風呂に使われる枝や葉など

赤ザオ族の薬草風呂とは
ベトナム北部の山岳地帯サパに暮らす、少数民族「赤ザオ族」。首都ハノイから半日移動して到着したサパからさらに山奥へと入ったところにある、小さな村「タフィン(Ta Phin)村」がその居住地で、いくつかのグループに分かれるザオ族は特に薬草の知識に長けることで知られています。
そんなザオ族に代々受け継がれているのが、秘伝の薬草風呂。
北西部の山で採れた木や葉など多種多様な薬草を大鍋に入れ、薪で数時間炊いて成分を抽出。それをバケツで往復して樽型の浴槽に移し、加水して湯加減を整えるそうで、ザオ族の村では月に2・3回ほど入る家族が多いよう。
血行を促進して疲労回復を促す薬草、白髪にいい薬草など期待される作用もさまざまですが、特にいいとされているのが産後間もない女性。なんでも、赤ザオ族の女性は出産してから1週間後ほどで畑仕事に復帰しなければならないらしく(過酷!)、産婦の健康回復を促す薬草も含まれているそう。
旅の疲れも癒すユニークな風呂として、観光客からも人気を集め、2006年には、タフィン村のサパナプロ社が薬草風呂の入浴剤を商品化。このスパではそちらを使用しています。この入浴剤、気に入ったら購入可能だそうなので、気になる方は受付で聞いてみては。

ハーブバスフロアの入り口には赤ザオ族の衣装が
土壁や竹の柵が田舎の素朴な雰囲気を演出

北部山間の農村風景を思い起こさせるようなハーブバスのフロアは、街なかにいながら、ちょっぴり旅したような気分を味あわせてくれるよう。

中には樽風呂の置かれた個室が並んでいるのですが、それぞれにサパの地名が付いています。

今回案内されたのはタフィン村の「Ta Phin」。

個室の多くはガラス張りで、丸見えでは!? と不安になりますが、外からは見えない2wayガラスになっているので、ご安心を。

樽のような湯船に身体を沈めると、薬草の香りとともに芯から温まってくるのを感じます。BGMは鳥のさえずり。都市部にいながらのんびりとした雰囲気の中、木の香りに癒され、心安らぐバスタイムを楽しんでみては。

薬草風呂の注意事項
薬草風呂には、地元のハーブやスパイスを数多く使用しているため、一部の人は長時間入浴するとめまいや動悸を伴う「ハーブ酔い」を引き起こす場合も。もしそうなった場合は湯船から出て、水を飲んで休めば数分で元の状態に戻るとのこと。問題ないという人なら少し長めの入浴も可能で、スパとしては20分程度がオススメだそう。


マッサージ

さて、身体が温まったら、いよいよマッサージルームへ。

マッサージルーム
(写真は「薄暗い」を選択したときのもの)


店名の「Noir.」は、フランス語で「黒」の意味。
ここではスタッフの9割(マッサージトレーナーやサポートスタッフ以外)が視覚障害を持っており、マッサージを担当。マッサージは静かな仄暗い空間で行われ、受ける側も視覚のスイッチを切ってじっくりとマッサージを堪能できます。
(暗闇マッサージとはいえ、マッサージ台への乗り降りや身体を反転させたりなどがあるので、薄っすら空間が見える程度の暗がりです。)

しばらくすると視覚障害を持つマッサージスタッフが現れ、ウェアを脱いでうつぶせになったらマッサージがスタート。私を担当してくれたのはフエ(Hue)さんという女性でした。
今回のメニュー(Noir.signature)は、ホットストーンを使ったベトナミーズアロママッサージと、フットマッサージの組み合わせ。首や肩、腕から足先まで全身がほぐされていきます。

驚いたのは、目が見えないにもかかわらず、一押し一押しのポイントが感心するほど心地よい場所を捉えていたこと。手の感覚で繊細に筋肉のこわばりや痛みを感じ取り、ゆっくり圧をかけながらほぐしてくれます。
その技術の高さの理由は、教育の仕組み。トレーナーを招いてじっくり2ヶ月間、マンツーマンでプライベートトレーニングを受けた人のみが実際にマッサージを行なっているそうです。

身体の芯から癒されたら、マッサージ後は更衣室で着替えて(必要に応じてシャワーを浴びて)ロビーへ。

身体を冷やさないようぬるめのお茶と一口デザートでくつろぎます。
デザートはパンナコッタが定番のようなのですが、このときはバタフライリーフで色付けされたライチとアロエのシロップ漬け。素朴な甘さでおいしかったです。

チップについて
海外のスパやマッサージで、迷うのがチップの問題。やっぱり払った方がいいんだろうか?でも一体誰にいつ?いくらを?と考えると、せっかくのマッサージもリラックスしきれないかもしれません。
でもここは、メニューに「チップの義務はありません。」と明記されているのでご安心を。サービス料もメニューの価格に含まれているので、追加料金は不要です。(もしもマッサージやサービスに感動したときには、手渡すのももちろんOKです)


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ホーチミン市の喧騒から一歩離れて、感触や音、匂いを研ぎ澄ませる感覚的なリラクゼーションは、ほかのスパではなかなか体験できない、ユニークなもの。ひとまずは、薬草風呂に入るだけでも、訪れる価値ありです。



Noir. Spa/ ノワール スパ
 178B Hai Ba Trung, Q.1, HCMC
 10:00〜21:00
 0933・022・626
 月曜
FB


[参考]
VOV
VIETNAM SKETCH


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