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アラサー社会人、車の免許を取る(①第1段階)

28歳を目前にして、
自動車免許を取ろう、と思った。

仕事でもプライベートでもさして車の必要性を感じずに生きてきた。
首都圏に住んでいて、実家にも車がない。
正直、30万円の身分証が手に入るだけじゃん、と思っていたから、学生時代も自動車学校に通おうなんて一度も思わなかった。

それが、なんで突然一念発起したのか、というのはこちらの記事に書いたことが大きいのだけれど。

加えて、これからの自分の長い人生を考えたときに、免許がないせいで住む場所に大きな制限が出るのはものすごく勿体ないんじゃないかと思うようになったのだ。

首都圏を離れて田舎暮らしを始めるという選択が、私にはできない。
そう思うなら、時間もお金も活力もある今、可能性を広げておくべきなんじゃないだろうか。

そんなわけで、27歳社会人の自動車学校通いが始まった。

今回はまず、第1段階、仮免取得までのお話。


1.学科教習

社会人ならでは、通える時間に大きな制限があるので、必要な課程を無駄なく取り切れるように、というのがちょっと大変だった。

スケジュール管理はExcelを使って、受けた項目、受ける予定の項目、まだ受けてない項目がひと目でわかるようにしていた。社会人っぽい。

学科で引っかかるのは時間とお金がもったいない。私の通っている教習所は学科の練習問題を受けられるサービスをオンラインで提供してくれていたから、仕事の行き帰りや昼休みにちまちまこれを解いて、学科試験までに完璧にしておいた。


余談だが、一度、職場でお昼休みにちまちま問題を解いていたら突然練習問題サービスの音声がオンになり、
「交差点で、左折するときは、あらかじめ……」
という声がフロアに響き渡り、私が社会人6年目にして大学生みたいに免許の勉強をしていることが思いっきりバレた。めちゃくちゃ恥ずかしかった(みんな優しかった)。


2.技能教習

こちらが問題だったんですよね……。
もとから相当苦手だろうなと思っていたのだけれど。


技能教習1時限目は、実車ではなくシュミレーターを使った教習だった。

エンジンのかけ方、座席の合わせ方を模擬運転席で学び、後半では簡単にハンドル操作をやってみる。

この時点ですでに、危うさがあった。進路に沿ってハンドルを切っているつもりが、行き過ぎる。ぶつかる。ふらつく。このまま車なんて乗ろうものなら大事故である。

しかし教官が「このシミュレーターは意外と難しいからね」と口にしていたので、この時はさほど落ち込まずに済んだ。


技能2時間目からが実車だった。

1トンを超える鉄の塊を自在に動かすという事実にビビりながら、指導員に言われるがままに、アクセルを踏んだりブレーキを踏んだり、ハンドルを切ったり。

しかしこれもまあ想定通りではあるのだが、この時間中に一切コツがつかめなかった。加速ができない。そのくせ急ブレーキをかける。ハンドルを使えばふらつく。1時間が終わるころには、指導員も優しいながらもあきれ口調になっているのがわかって、だんだんつらくなってきた。


技能3時間目も大差なく、どうにもコツがつかめない。指導員の口調にも呆れがにじむ。

たった12時間しかない技能教習を、2時間も「コツがつかめない」まま終えてしまったことに焦りと不安が募る。この時期が一番しんどかった。


3時間目が終わった帰り道、真面目に「私は免許を取ってはいけない人間なのではないか???」と考えた。車体感覚もハンドル操作もアクセルブレーキのタイミングや加減も、到底掴める気がしない。

どんな分野にも絶望的に向いてない人間がいるものだけれど、車の運転においてわたしはそれなんじゃないだろうか。
だったら免許を持つ前にさっさと諦めたほうが、社会のためになるんじゃないかと。

冗談のように見えて、これ、かなり真剣である。


真剣に考えた結果、「とりあえず第一段階は頑張ろう」と思った。

技能教習はうまくいかなかった項目を復習させられる(追加料金かかるけど)という制度がある。おそらく私は復習だらけになるだろうが、そこで教習所直々に「あなたは運転向いていないからやめたほうがいいよ」って言われるまでは頑張ろう。

そこまで行ってダメだったら「私はどんなに頑張ってもどうしても運転が向いていないんです」っていうお墨付きをもらって、諦めもつく。なんなら話のネタにもなる。話のネタに30万円は高すぎるが、何も得ずに諦めるよりはマシである。

そうやってどうにかこうにか自分の気持ちを前向きにする。


自己分析

しかし前に書いた通り絶望的な状況で、教習時間にただ頑張るだけじゃ、どう考えても上達しない。どうしよう。

改めて考えてみると、そもそも私は運転に明らかに向いていない、というかどうやらマイナスからのスタートだ。

その理由は以下の通り。


①運動神経が悪い
昔っから運動神経が悪かった。手と足で違う動きをするとか、身体で覚えるとか、そういう動きが組み合わさるタイプの運動が特に苦手なのである。

え、絶対運転苦手ですよね。アクセルブレーキと安全確認とハンドル操作を全部順序良く短時間にこなすって、は?無理では?


②車に慣れていない
多分これが一番大きい。幼いころから実家に車がなかった。車に乗る回数、年に10回あるかないかだ。「門前の小僧習わぬ経を読む」というように、普段から誰かの車に同乗していたらつかめる感覚も、私は完全にゼロだった。車体感覚、スピード感……全部一般的な教習生に比べて完全に劣っているはずだ。

あと余談だが、そういえば友達に借りてたまにやるマリオカートも絶望的に苦手だった。運転、得意なわけなくない?


③すでに年齢が結構上
免許を取得しようとする周囲の学生さんに比べて、10歳近く上なのである。当然、吞み込みも劣るだろうし、覚えも悪くなっている気がする。


改善策

①と③は割と今からではどうしようもないとして、②を改善すべく、自分なりに取り組んだのがこちら。

◎車に慣れる

とはいっても、都内内勤社会人、一週間の中で車に乗る機会なんてほぼない。

そこで唯一の機会、自動車学校への送迎バスは運転席の真後ろに座って、運転手さんの動きや道路の様子をめちゃめちゃ注視していた。運転手さんもさぞかしやりづらかったろう。でも意外とこれ大事。おかげさまで少しだけ運転に慣れました。


◎YouTubeで学ぶ

学生時代ではなく、今、2022年に免許を取ろうと思ってよかったと思う最大の原因がこれ。

ネットを探せば出てくるんですよ、教習所教官YouTuberというものが!

右左折のポイント、車体感覚、運転時の視線……教習中も教官からアドバイスはあるのだが、基本自分の手足の動きにいっぱいいっぱいで気を使えていなかったところを丁寧に復習できる。めちゃめちゃ助けられた。


◎マリカを始める

冗談みたいな蛇足だが、せめてマリカに慣れたらカーブ曲がれるんじゃないかと思って、マリカのアプリをスマホに入れた。

上にも書いたが、もともとめちゃくちゃ苦手で、私がコントローラーを手にとるとなぜか車が道路を左右に暴走する。のだけど、どうやらこれは視線を近くに置きすぎているせいだとわかり、遠くに置くようにしたら多少まともに走れるようになった。なんだ、ちゃんと教習と繋がってるじゃん。

そんなわけで、教習外の時間にはこの3つに取り組むようにしていた。


結果

次の技能教習から目に見えて上達……とはもちろんいかなかったのだが、毎回ぎりぎり及第点で、なんとか復習もつかず順当に技能教習が進んでいった。

いつか復習に引っかかるだろうなと思っていたのに、一度も言い渡されなくて、これは自分が悪者になりたくない教官たちが「こいつヤバいけど次の時間の教官が止めてくれるだろうから俺は合格出しとくか」というチキンレースをやっているのではと本気で思っていた。
最後、みきわめの時間がすんなり通って、ようやく人並みになれたのだと思えるようになった。


修了検定は、第1段階最後の学科教習(みきわめ)から5日後で、時間が経って感覚を忘れてしまうのではないかととても不安だった。

直前はやっぱりyoutubeを見まくって、さらには教習所内の地図を見ながら「ここで右折と言われたらこの辺で安全確認を開始して……」「ここのクランクはこのあたりで合図を出して、直角に入って……」と、何度も何度もイメトレをして、緊張を和らげた。

結果、一発合格。嬉しかった、というより「絶対無理だ、入校資金無駄にした」と思っていたくらいだから、ホッとした、のほうが勝つかもしれない。


その後受けた仮免学科試験も、まあ問題ないだろうと思われ、帰り道、近くのケーキ屋さんでモンブランを一つ買って帰った。


自分へのご褒美

 

まとめ

「絶対無理だ」と思った第1段階が、こんなにもスムーズにいったのは、私からすると結構大きな衝撃で、

同時に小さな自信になった。

どんなに向いていないと思えることも、一つひとつ分析して自分なりに対処法を考えて動けば、ちゃんとぎりぎり及第点に辿り着ける。
そんな成功体験が、私自身のポテンシャルをほんのちょっと信じさせてくれるようになった。

しかしまあ当然これで終わりではないわけで。
第2段階のお話はまた次回。

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