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出雲市長議会答弁 出雲駅伝の中止理由を「観客の感染リスク回避ができないため」と明言  東京マラソンの観客行動が引き金に

令和2年度第5回出雲市議会(定例会) 一般質問。
玉木満議員の「出雲全日本大学選抜駅伝競走の開催中止について」の質問に対して、長岡秀人出雲市長は「中止理由の一つ目は、観客の密集による感染リスク回避困難。無観客での開催も検討したが、原則無観客ということで自粛要請をしたにも関わらず、結果的には観客が沿道に集まってきた事例があったため」と明言。以下質疑の全文を掲載します。

写真は31回大会 6区区間賞の土方英和選手と握手する出雲市長。

★玉木満議員の質問


大変残念ではありましたが、今年度中止の判断をされた出雲全日本大学選抜駅伝競走、略称「出雲駅伝」について質問します。
まさに苦渋の選択だったのではないかと思います。出雲の名を全国に発信する大会でもあり、サポートされる関係者、ファンの方々がお越しになり、駆け抜ける選手を一緒になって応援できる大切なイベントですが、「安全な運営、関係者の安全確保が困難である」との理由から中止を決定されたと伺いました。私はとても不安でした。

出雲駅伝には「駅伝シーズンの幕開けを告げる」というキャッチコピー、キャッチフレーズがあります。ご承知のとおり駅伝は大学駅伝のみならず、様々な年代、様々な団体による多くの駅伝大会があります。
まさに駅伝シーズンのトップバッターといえる出雲駅伝。逆に言うと出雲駅伝開催の可否が、出雲の後に控えている多くの駅伝大会に影響を及ぼすことは必至であり、開催するのかしないのか、いずれの判断に至っても責任重大であり、可否の決定にあわせた説明の仕方によっては、何かのきっかけで出雲のイメージが悪くなるのではないか。インターネットで市長の名前が炎上するのではないか心配をしていました。

説明責任、この場合はアカウンタビリティといったほうがより適切だと思いますけれども、説明によってある一定の理解を得る責任を果たした結果、次こそは開催をと、来年度に向けてもり上がりつつあるように感じております。そのような背景を踏まえ、次の3点を伺います。

1点目に、中止決定に至るまで、また中止決定後に出雲駅伝を未来につなげるため、どのような対応を行ったか伺います。

2点目に、来年度開催するのであれば、どのような課題があるか、またその課題をクリアするためにどのような検討を行うのか伺います。

3点目に、中止決定の発表の際、「新型コロナウイルス感染症の終息の見通しが立たない状況では、」という一文があります。来年の今頃はどのような状況になっているのか誰もわかりません。どうかすると国や県から社会活動を制限されているかもしれません。

こんな現状ではありますが、開催を心待ちにしている多くの方がいらっしゃいます。新型コロナウイルス感染症終息の見通しが立たなければ、開催は困難と考えているのか、市の考えを伺います。

★長岡秀人出雲市長の答弁

出雲駅伝の中止について、3点のご質問にお答えしてまいります。
先程、お話のように出雲全日本大学選抜駅伝競走は、平成元年10月から八百万の神々が集うこの出雲で産声を上げ、今年で32回目を迎える大会でございます。いまや全日本大学駅伝、箱根駅伝と並ぶ大学三大駅伝として、また先程お話のように「トラックからロードへ」駅伝シーズンの幕開けを飾る大会として、その認知度は広く知れ渡ったところでございますが、本年は新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受け、東京オリンピック、パラリンピックの延期をはじめ多くのスポーツイベントが開催延期あるいは中止に追い込まれる状況が続いています。

そうした中、この出雲駅伝については、今年は10月11日の開催予定でしたが、その開催に向けまして5月の中旬から準備を開始いたしました。開催式、レセプション、表彰式、それぞれの規模の縮小や応援の自粛要請等々、新型コロナウイルス感染の拡大のリスクを最小限に抑えるための様々な対策を検討してきたところであります。
この検討に当たっては、同じ主催者であります日本学生陸上競技連合、それから出雲駅伝を全国に生中継をしていただいておりますフジテレビとの協議を重ねたほか、地元協力機関でございます警察、医療機関等にも開催にあたっての協力について、確認を行ってきたところであります。

その後6月下旬に日本陸上競技連盟から、新型コロナウイルスの感染症予防対策を講じながら駅伝やマラソン大会を開催していくための指針となる「ロードレース再開についてのガイダンス」が示されました。この内容に基づきまして改めて開催に向けての課題を整理し、協議検討を行ったところでありますが、その結果結論から申し上げますと大会の安全な運営や選手スタッフ地元ボランティア等の関係者の安全確保が困難と判断し、苦渋の決断でございましたけども、今回の大会の中止を決定したところであります。

中止決定後には、第1回大会からご協賛いただいております富士通株式会社をはじめ毎年開催にあたり後援や運営協力をいただいている関係団体、機関等にそれぞれ訪問し、または文書によって大会の中止決定についての理解を求め、また今後の、来年以降のことも含めて引き続きの支援とご協力をお願いしてきたところであります。

開催に向けた課題と検討の進め方という2点目の質問についてですけれども、今回中止決定した主な理由については2点あげられます。
先程紹介した陸連からのガイダンス等の中身に関連してまいりますが、まず1点目は沿道で観客の皆さんが密集することによる感染リスク、これを避けることができないのではないか。
2点目が多くの皆さんにご協力いただいてこの大会を運営しておりますが、そのボランティアの皆さんの確保が難しい。ガイダンスによりますと65歳以上の大会関係者は1週間前から健康状況を把握し検温等をやり、大会終了後は2週間その状態を保つと、また既往症等があるボランティアの皆さんの参加は、そのリスクをしっかりと認識してもらってという話があります。
沿道の観客のソーシャルディスタンスは2mが好ましいけれど、最低でも1mの間隔を取ってというような話もございます。

これらの話から1点目の沿道の観客については、ご案内のように特にスタート地点、ゴール地点、各中継地点、例年多くの観客に応援いただいておりまして、その密集という状態を避けることができないという判断をしたところでございます。
無観客での開催も検討しましたが、他の事例におきまして、原則無観客ということで自粛要請をしたにも関わらず、結果的には観客の皆さんが沿道に集まってきたということもあったようでございまして、このリスク回避は困難であるとの結論になったところでございます。
沿道での観客の密集については、出雲駅伝に限った課題ではなく、他のロードレースでも同様に課題として挙げられています。今後開催が予定されているロードレースの運営方法を参考に、観客の密集対策等について医療機関や関係機関と共に検討していく考えでございます。

中止決定の理由のもう一点でございますが、ボランティアの確保。
出雲駅伝についてはご案内のように走路員、交通整理員、競技役員をはじめ2,000人近い多くのボランティア皆さんのご協力で大会を運営しているところでございますが、日本陸上競技連盟の「ロードレース再開についてのガイダンス」では、ボランティアをはじめ大会関係者、観客などロードレースに関わる全ての人。「観客」も含めてですね、全ての人に対する感染予防対策が必要とされておりまして、特に高齢者、あるいは基礎疾患を有する方のウイルス感染による重症化へのリスクということにも先程申し上げておりますが、触れております。
この出雲駅伝はご案内のように、32回を重ねておりますけれども、ボランティアの皆さんの高齢化が必然的に、第1回大会からずっとご協力いただいている皆さんもさすがに30年経ちますと、それぞれ高齢者ということで、高齢者の比率が非常に高い特徴にございます。
必要人数の確保が、高齢者を除いた場合に、それを確保ができるかどうか検討した時に、なかなかそれが困難であるという結論に立ったところでございます。

今後のことも含めまして、長年多くのボランティアの皆様に支えられてきた大会でございますして、今後は出来る限りの感染予防対策を図った上で、地域一体となった取り組みの形を残しつつ、幅広く新たな皆さんの人員の確保方法を検討していく必要があると思っているところです。

3点目の終息の見込みがないと今後開催が困難かというご質問でございますが、出雲駅伝は本市最大のスポーツイベントでございます。これまで市民の皆様はもとより、全国の皆様に夢と感動を届けてきた大会でもございます。またテレビの生中継によりまして、出雲の魅力を全国へ発信してきた大会でもございます。
新型コロナウイルス感染症の終息については、今、現時点では誰も予見できるものではなく、見通しが立たない状況でございます。ワクチンもしくは特効薬が世界中に広く出回るという状況が終息ということに繋がるのではないかと思いますが、その状況というのは見通しが立たない。
ただこれまで受け継がれてきた出雲駅伝というこの襷を絶やすことなく、次世代につなぎ、着実にこの伝統を築いていくことが重要だと考えています。
先程お答えいたしました中止の主な理由の2つの課題解決に向け、出雲駅伝に関わる全ての皆様と共に、この困難な状況を乗り越え、来年立派な大会として開催できるように取り組んでまいりたいと考えております。
以上答弁を終わります。

★玉木満議員の発言


 答弁をいただき、ありがとうございました。
どのような課題があったのか、またそれを克服するためには、どうしたらいいのか、また最後に市長の方から、来年度に向けての意気込みを聞かせていただきました。
ぜひ来年度は、まさに地域が一体となって応援できる、出雲市が誇れるスポーツイベントとして皆さんと一緒に関わっていきたいという風に思っておりますので、来年に向けてどうかよろしくお願いいたします。

さて、明日9月5日15時までになりますけれども、地元のファンの有志の方によります出雲駅伝の写真展というのが開催されております。新聞やテレビでも報道されましたので、名前をご存じの方もいらっしゃるかと思いますが「すごいぞ!出雲駅伝」という写真展が開催されています。このような機運を挙げるような活動に、願わくば市の方も積極的に応援をいただいて、市長も仰いましたが「出雲駅伝」という襷を未来へ、来年へ繋いでいただきたいと思います。出雲路でスピード駅伝が見られることを願いまして、私の質問を終わります。

(質疑答弁終了)

サポートを検討してくださってありがとうございます。そのお気持ちだけ受け取らせていただいて、出雲駅伝主催者の出雲市が作った「出雲駅伝タオル」をご紹介させていただきます。 https://www.izumo-ekiden.jp/towel/index.html