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妙なCDを買った話

 中古のCDアルバムなのだから、誰かが最初に買ったものが陳列されているのだ。でもこんなCDは初めてだ。誰がスペインのインダストリアルミュージックなんて珍奇なアルバムを買ったんだ?

 しかも帯によれば世界で700枚しかプレスされていないというかなりの偏屈なブツだ。逆に「よくこんなものを発見し購入に至ったな」と前の所有者を少し評価したいほどだ。俺の偏屈具合もそこそこのものだが、さすがにこれを初めに買った人には敵わない。スペインなのだからスペイン語で検索すれば色々と情報も出てくるのかもしれないが、そもそも俺にはスペイン語なんてさっぱりだ。俺がインンターネッツに触れたのは大学入学以降の2003年なのだ。どういう情報を辿っていけばこのアルバムに辿り着くのか全く見当が付かない。サウンドはなかなか狂暴だったが、これが最初はテープでリリースされたものをCD音源として再プレスしたというのだからよく分からない。感触としてはナウシカの劇伴でかなりミニマルな音楽を作っていた頃の久石譲に似ているように思うが、「劇伴」というくくりがないせいか、かなりアグレッシブというか攻撃的な面も見える。一応国内盤ということで1枚だけライナーノーツが入っていたのだが、正直「俺がこのユニットについて何も分からないということは分かった」というものだった。なかなかどうして音楽というのは奥が深い。俺の鼓膜を殴れ。必要なのは拳を握らずに俺を殴りつける音だ。もっとヘンテコな音楽をくれ。

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