38時間38分?

 俺の腕時計に表示されている時刻はそうだった。これは俺の混乱の断片だ。水?俺の傍らには幸いにも水があるようだ。俺はそれを飲み干す。たぶん市販の容器では900mlあったようにも思うが、それはどうでもいい。俺が給水をできたという事実が必要なんだ。

 俺は同様に食事を試みる。誰かにとってそうかは分からない。でも俺にっての食事とは作業そのものだ。いわば食事という作業をしている。俺はある意味では義務的に飯を食っているといっても問題あるまい。食事が特に好きではないのだ。俺は生きる上で必要な栄養を摂取しているだけだ。

 液体は好きだ。全ての液体に貴賤はない。時々人に「何を食べたらそんなに大きくなれるんですか?」と聞かれる。食事などは成長と大した相関性はない。毎日適当に食べて運動し学校給食で供される紙パックの牛乳の3倍の量コーラを飲み8時間眠ればそこそこ大きくなれる。

 また食事についての話になるが、俺は昨日から食事をしていない。もちろん水分は割と大量に摂取しているが、およそ1日間ほど固形物を食べていない。自分でもよくこれで生きていられるなと思う。

 そして自分でも驚くほどの発汗があった。確かに運動をしていた頃はこれくらいの発汗があった。でも俺はただ横たわっているだけだ。でも着替えないといけないくらいに汗をかいた。もちろん座禅を組んで瞑想をしていたわけでも何かのイメージトレーニングをしていたわけでもない。なぜか運動もしていないのに汗だくになった。

 正直「何が必要か?」と聞かれても俺にはよく分からない。必要なのは生きていること、生存そのものだ。逆にこういった瀬戸際まで来る機会がない人には却って不必要なアドバイスになるのかもしれない。

ただひたすらに生き延びろ。俺に言えるのはそれくらいしかない。

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