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論文紹介:核酸ワクチン接種後の自己免疫疾患の長期リスク(追記あり)

今日はプレプリントであるが、興味深い研究を見掛けたので紹介しておこう。いつも言っている通り、核酸ワクチンは特有の免疫活性化機序を持ち、自己免疫疾患のリスク要因となるのは明白である。以下の論文は韓国におけるRNAワクチンの長期的な自己免疫疾患リスクをコホート研究によって評価した仕事である。

「Long-Term Risk of Autoimmune Diseases After mRNA-based COVID-19 Vaccination: A Korean Population-based Nationwide Cohort Study」
(April 2024, PREPRINT (Version 1) available at Research Square [https://doi.org/10.21203/rs.3.rs-4254839/v1])

※追記:この論文はその後、Nature Communicationに掲載されている(Nat Commun. 2024 Jul 23;15(1):6181.)。これはNature系列でそれなりの雑誌であり、この研究がそれなりに重要だという事が分かるだろう。

この研究では、mRNAベースのワクチン接種と自己免疫性結合組織疾患、いわゆる膠原病発症との長期的関連について、9,258,803人を含む全国規模の集団ベースコホート研究において調査し、さらに性別、年齢、mRNAワクチンの種類、COVID-19の診断、非mRNAワクチンとの相互接種、ブースターワクチン接種に関して層別化したリスク分析を実施している。

その結果、代表的な膠原病である全身性エリテマトーデス(SLE)と皮膚の自己免疫疾患である水疱性類天疱瘡は、RNAワクチン接種者では対照群よりも有意に有病率が高かった。サブグループ解析でも同様の結果が報告され、特に女性または40歳以上の患者からなるサブグループでは、RNAワクチン接種後に水疱性類天疱瘡を発症するリスクが高かった。天疱瘡についてはRNAワクチン接種の初期から症例報告が複数なされており、皮膚の自己免疫反応に関するリスクの提唱も初期からなされてきた。クラスI経路による細胞性免疫の活性化や、皮膚抗原に対する抗体の交差反応など機序についても明らかにリスクがある事は示されてきたのだ。私も数年後には後ろ向きコホート研究によって皮膚の自己免疫疾患については確実の証明されると予言していたが、正に今回の結果はその仮説を裏付けている。

また、SLEについても昨年あたりから急速にリスクに関する報告が増えている。このブログでも複数回取り上げてきたが、やはり明確な自己免疫疾患リスクがあるのだろう。SLEについては分子生物学的機序として核酸シグナルの活性化や自然免疫の活性化は明白なリスクだと訴え続けてきた。今回の結果はその様なリスクを明確に顕したと言える。

ちなみに論文では核酸ワクチンリスクのポジティブコントロールとして心筋炎やギランバレー症候群のリスク増加も確認されている。最早これらについては「核酸ワクチンのリスク」として当然示されたものである。言うまでもなくこれらの疾患も免疫系の活性化に伴うものであり、核酸ワクチンが如何に免疫系を異常に活性化するモダリティであるかが理解出来る。

この1年くらいで、核酸ワクチンが自己免疫疾患の明確なリスクとなる事が複数のコホート研究によって示されてきた。私は各所において当初から核酸ワクチンが自己免疫疾患の発症リスクになる事を訴えてきた。それは分子生物学的機序を踏まえて考察すれば明らかな事実だからである。また、長期的な自己免疫疾患発症リスクはすぐに証明出来るものでなく、数年単位のコホート研究によって証明されるだろうと述べてきた。愚かな人間は「リスクが確認されていない」「エビデンスが無い」などという理論を展開するのだが、それこそナンセンスである。本当に優れた科学とは「データに基づく」判断よりも「理論に基づく」判断の方が重要である。なぜなら「データに基づく」科学というのは所詮頭が悪い人間の逃げ道だからである。真に優秀な科学者であれば真実を理論から導くのは造作もないし、それは必ず未来において証明される。現時点で確認されていないからリスクが無いなどと長期的なリスクを軽視する事が如何に愚かであるか、今回の核酸ワクチンにまつわる一連の流れはそれを強く示している。

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