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記事コメ:新型コロナ、再感染で死亡率や後遺症のリスク増大=米研究

ロイターから新型コロナウイルスに再感染すると、ワクチン接種状況にかかわらず、最初の感染時と比べて死亡、入院と深刻な合併症のリスクが著しく増えることを示唆する研究結果が10日、医学誌「ネイチャー・メディシン」で発表されたという記事が出ていた
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-reinfections-idJPKBN2S107P

Nature Medicineというのはかなりインパクトファクターの高いNatureの子雑誌で、その論文は「Acute and postacute sequelae associated with SARS-CoV-2 reinfection」(Nat Med. 2022 Nov 10. doi: 10.1038/s41591-022-02051-3.)である。

この論文では1回感染群(n=443,588)、2回以上感染した群(n=40,947)および非感染対照群(n=5,334,729)を比較して死亡、入院、および後遺症のリスクを推定している。再感染が無い場合と比較して、再感染は死亡(ハザード比(HR)=2.17、95%信頼区間(CI)1.93~2.45)、入院(HR=3.32、95%CI 3.13~3.51)の追加リスクがあることが示されている。また、肺疾患、心血管疾患、血液疾患、糖尿病、胃腸疾患、腎疾患、精神衛生、筋骨格、神経疾患を含む後遺症をもたらすことも明らかとなった。さらに死亡以外のリスクはワクチン接種の有無にかかわらず高いままであった。この論文によって、再感染は、明確に複数の臓器系における死亡、入院、後遺症のリスクを高めること、そしてワクチンの効果は極めて限定的であることを示しており、新型コロナウイルスによる死亡と疾病の全体的な負担を軽減するには、再感染予防のための戦略が必要であると述べている。

飽きるほど繰り返してきた内容だが何度でも訴えよう。新型コロナウイルスはACE2に加えてNRP1を補助受容体にしており、血管系や神経系に他のウイルスとは比べ物にならない影響を与える可能性が極めて高い。また、特に神経系への影響は重要であり、感覚神経の長期機能障害や、認知機能障害など明確なリスクとして規定されているものも多い。加えて中枢神経系への潜在性感染により、長期にわたって出て来る影響などは未知数であり、自覚症状が無くとも認知機能の低下や記憶力の低下が示されている例も多く、その脅威は全く甘く見てよいものではない。今回の再感染による悪影響の蓄積は、そのような組織障害が確実に蓄積していく事や、再感染によるADEの懸念、そのような状態に対するワクチンの無意味さを示しており、一度罹ったから大丈夫などという言説はあり得ないし、一度も罹らないに越したことはないという明確な答えを導いている。完璧な感染対策こそがいかに重要かという事が伺える。

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