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論文紹介:核酸ワクチンによる潰瘍性大腸炎に特徴的なサイトカインプロファイル

今日は下記の様な論文を見掛けたので紹介しておこう。核酸ワクチンの接種が自己免疫疾患を誘導するというのは証明されてきている事実だが、今回の文献ではその中でも潰瘍性大腸炎に着目し、核酸ワクチンによる自己免疫疾患誘導機序の一端を明らかにしている。論文は以下のものである。

「Cytokine and chemokine profiles in ulcerative colitis relapse after coronavirus disease 2019 vaccination」
(J Clin Biochem Nutr. 2024 Mar; 74(2): 127–135.)

RNAワクチン接種後の潰瘍性大腸炎(UC)の再発または新規発症についてはいくつかの症例報告がある。これはいつも言っている核酸ワクチンによる自己免疫疾患の誘導である。しかし、核酸ワクチン接種に伴う大腸炎発症の分子機序は十分に理解されていない。この論文の重要な点は、ワクチン接種後のUCの再発が、ワクチン接種に関連しないUCとは異なる独自のサイトカイン応答によって引き起こされるかどうかを調べているところである。つまり、核酸ワクチン接種後のUC発症例が、通常のUC患者と異なる特徴を有していれば、それは偶然ではなく核酸ワクチンに原因がある可能性が高い事を示しているからだ。

これも過去に記事で述べている事だが、新型コロナウイルスワクチンに使われるRNAは、IFN応答の強力な誘導因子である。実際に、新型コロナウイルスの核酸ワクチンは核酸認識シグナルを活性化して強力に自然免疫応答、I型IFN応答を活性化する。今回の論文でも、それに関連した結果が示されており、その様なサイトカインであるIFN-α、IFN-β、IL-1βおよびIL-12/23p40のmRNA発現が、ワクチン接種に関連したUC患者の大腸粘膜で、ワクチン接種に関連しなかったUC患者と比較して高い傾向を示した。免疫蛍光染色による解析でも、COVID-19ワクチン接種に関連したUC患者の大腸粘膜では、ワクチン接種に関連しなかった患者よりもIFN-αの発現が高いことが示された。つまり、核酸ワクチン接種後に再発したUC患者の大腸粘膜では、そうでないUC患者と比べてI型IFN応答が亢進しているという特徴が示唆された。

核酸ワクチンは他のワクチンとは異なる特有の免疫活性化能を有しており、I型インターフェロンの産生はそのひとつである。今回のように、一般的な自己免疫疾患発症時とは異なるサイトカイン産生プロファイルが見られたという事実は、核酸ワクチンによる特有の免疫活性化が自己免疫疾患の発症に寄与するということを強く示唆している。重要なことなので何度でも繰り返すが、核酸ワクチンというのは免疫学的に危険な性質を有したモダリティであり、常に免疫疾患のリスクを懸念しなければならない。


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