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ダブリンのスタートアップに転職して半年

2023年の9月末にイギリスのブリストルという街からアイルランドの首都ダブリンに引っ越し、現地のスタートアップでiOS app developerとして働いている。

ちょうど最近仮採用期間(Probation period)を突破して、無事に生き延びることができたので、仕事面での感想を記録しておく。

ワークライフバランス

私が働いている会社は70人程度のまだまだ小さな会社だが、それでもワークライフバランスはとても重視されていて、特に子育てに対する温かさみたいなものは強く感じる。
男女問わず育児休暇もガンガン取るし、そこで申し訳なさを感じているような素振りを見せるような人は1人もおらず、みんなでお祝いする雰囲気がある。
有給は年に23日付与されて、特になんの躊躇もなく使える。使い切ることを推奨してくる。アイルランドの祝日はもちろんお休みだし、他にも会社的に重要な指標を達成したりしたら特別休暇が出たりもする。
契約上は9時半から18時までの労働となっているが、子供の送り迎えとか病院のアポとかその他もろもろの用事で数時間抜けたりして、夜その分少し仕事を進めたりもできる。
ここらへんは会社が従業員を信頼して自由を与えている感じがして、とても働きやすい環境だなと思う。

チーム

大体のエンジニアは技術的な専門領域で括られるチームと、プロジェクト単位で括られるチームの2つに所属している。
私はiOSのチームと、モバイルの基盤のチームに所属している。

iOSエンジニアは現在5人で、ダブリンに私とアイルランド人とカナダ人がいて、スペインのオフィスにスペイン人とフランス人がいる。1人も国籍が被っていない珍しいチームかもしれない。

モバイル基盤のほうは、基盤といってもなんでも屋みたいなチームである。VP of Engineering直属のチームみたいな感じで、全社的に重要な技術課題とかがあったらやるし、普段からリファクタをリードするのもこのチームだったりする。技術領域的にも、iOSだけではなくKotlin Multiplatformを使ったマルチプラットフォームプロダクトの開発なども行っている。

自分で考えて提案して主導しやすいこのチームは、自分の性にあっていてとても居心地がいいなと思う。

英語

正直普段の仕事で困ることはあんまりない。チームには非ネイティヴのメンバーが自分以外にも必ずいるし、共通の概念を多く持っているエンジニア同士でのコミュニケーションは難易度が低いと思う。デザインの議論とかはちょっと難しく感じるけど、普段基盤よりのことをやっているのであまり頻度は高くない。

ただ多国籍が故に、アクセントを聞き取れないみたいなことはある。でもそれはネイティヴの人も聞き取れなくて聞き返したりしているし、あんまり気にしていない。都度「今なんて言った?」と聞くようにしている。

もっとかっこよくバシッと発言したいなと思ったりもするが、一応仕事はできてしまっているので、英語に対する向上心はあまりなくなってしまった。努力しているのはできるだけ情報収集を日本語ではなく英語でするようにするくらい。

でもたまに用事があってオフィスに行くと、そこにはほとんどネイティヴしかいないので、超速のアイルランド英語に圧倒されて落ち込んで帰ってくる。そこから1-2日くらいはちょっと英語勉強しようかなと思うが、またやる気がなくなって、そしてオフィス行って打ちのめされて、またちょっとやる気出ての繰り返し。

技術力

技術力的には前職のチームがスーパーマンだらけだったこともあり、比べてしまうと少しだけ劣るかなと思う。
ただみんなコミュニケーションには前向きだし、自分個人としても前職では技術的にも年次的にも一番下っ端だったのが、今は少し技術的にリードできる部分もあるように感じるのでとても楽しい塩梅である。

技術的な観点でいろいろと主体的に自分で勉強して改善しようとする楽しさは、前職ではあまり持てていなかった。絶対的にすごいと思えるシニアなエンジニア達の言うことを信用して、割とそのまま実行していただけだったかも。

評価 Salary & Promotion review

評価は年に1度行われるのでまだ経験したことがないが、普段の上司との1 on 1に、どうやったらシニアに昇進できるのか、積極的に議論を持ち込むようにしている。
会社の定義するシニアエンジニアというものに対して、自分のこの行動はシニアに当てはまりますよね、この項目はすでに達成できていると捉えて大丈夫ですよねとひとつずつすり合わせをしている。

あと意識しているのは会社のValueのような指標に沿った行動を心がけること。ValueというのはThink big, start smallみたいなやつ。自分の成果がちゃんといくつかある会社のValuesのどれかに当てはまっていることを都度上司と確認するようにしている。

肌感としては次のレビューで昇進できるんじゃないかと期待しているけど、スタートアップなこともあり、資金調達などとの兼ね合いもあるので、ダメだったらダメだったでまた身の振り方を考える必要がある。

ダブリンのインフレはとんでもないので、ガツガツ交渉していかなくてはならない。

マイノリティとして働く

最後にマイノリティとして働くことについての感想。
イギリスでの前職はアジア人(主に日本とインドネシア)がなんならマジョリティだったので、あまりマイノリティみを感じていなかったけど、今の会社ではアジア人は数人しかいないし、東アジア人は自分1人だけ。ほとんどがヨーロッパか北アメリカの白人という感じの構成である。

そういうわけで文化的に共有できる話題があまりなく、たとえばロンドンに千と千尋の舞台を見に行くという話をしてもまずジブリが伝わらないので興奮が伝わらない。
侍や忍者、寿司、将軍といった言葉と私の存在が紐づけられている。本当に日本のことを知らないんだなと思う発言を見かけたりする。でも日本人がアイルランドのことを知っているかと言われると… これはお互い様かな。
彼らにとって日常的な日本という国の顔は私だし、間違っていることは間違っていると指摘していきたい。

それでもダブリンで移民排斥のデモが起きたりすると、publicなSlackのチャンネルで「私たちはあなた達がいてくれて嬉しい」と宣言してくれるし、inclusiveであることは会社の大事な指標になっていそうで、定期的に匿名アンケートを実施していたりする。
それはwomen in tech的な文脈でも同じで、女性社員のグループがあって定期的にイベントなどを開いている。声を上げやすい、声を上げたら拾ってもらえそうと思える環境は大事だなと思う。

自分は割とセンシティブなほうだと思うが、特にマイノリティであることで会社で悲しい気持ちになったりしたことはない。今後もないといいな。

まとめ

楽しく働けている。
これ以上に重要なことはない。意味があると思える仕事があって、自分の能力を活かすことができていると感じられるのは本当にありがたいこと。
レイオフで突然仕事を失ってこの重要さを身に染みて感じるようになった。

仕事を楽しむことに責任を持つみたいなことを前職で学んだが、本当にその通りで会社が用意してくれた課題に対して私はありがたく楽しむ方法を探して楽しむだけである。

以上、転職して半年と少し経った今の感想。

散文になりましたが、最後まで読んでくれてありがとうございました。
サムネは最近買ったお気に入りのスウェットです。

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