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【ホラー小説】Fall down 5 scrap"D"
ファフロツキーズ現象事例 2
甘露(かんろ)
古代中国の伝承で、皇帝が良い政治を行う吉兆、もしくは世界陰陽の気が充実し調和が取れている際に天から降り注ぐ甘い液体。
神話上の異界に住むとされた人々沃民(ようみん)は鳳凰の卵や、この甘露を飲んでいるとされた。
後にインド神話に伝わる不死の霊薬であるアムリタ、バラモン教において不死の霊酒、ソーマ酒と同一視され甘露と訳すようになった。
中国のほか、アジア諸国の歴史書や古文書でも天から降り注ぐ甘い液体についての記述が古来から認められる。
我が国においては江戸時代に書かれた書物「月堂見聞集」において1700年代に現在の兵庫県で降った記録がある。
「露は乾きてなし、其のあと白き光あり、ねぶりてみるに甚だ甘し」と記述され甘露であると認められる。
1200年代のインドにおいて、空から蜂蜜が降り注いだ。蜂蜜は黄金色に輝いており、当時の人々は空からの蜂蜜を壷に貯めて食べようとしたが、不思議な事に長期保存出来ず、すぐに腐敗したと伝えられている。
第二次大戦中、ジャングルの中で食糧難に陥った旧日本軍が激しいスコールの直後に、植物の葉に溜まった雨粒を舐めたところ大変甘くミルクのような風味があったという。
雨粒は液状以外に白いゼリー状のものもあった。
部隊はその雨粒をかき集めて緊急の食料として活動した。雨粒は翌日も激しいスコールの直後に発見され、数日間に渡って部隊員の腹を満たした。
この雨粒は腹持ちが異常に良く、活動時のエネルギー源となった。
しかし、雨粒はすぐ口に入れないと劣化して強い腐敗臭を放ったという。
部隊員は帰国後「あの雨粒により食糧難を乗り切ることが出来たが、あんなものは今まで食べた事がない」と語る。
総じて甘露は名前の通り甘く、またミルクのような風味を持つという伝承も多い。
次項のマナにおいても共通点が認められる。
マナ
旧約聖書「出エジプト記」第16章に登場する食物。
出エジプト記はモーセがエジプトで虐げられていたイスラエル人たちを率いて脱出する物語を中心に描かれている。
このモーセとは神への祈りで海を割り、十戒で有名な預言者モーセである。
旧約聖書第16章で後に十戒を受けるシナイ山に行く途中、モーセと共に進む人々がシンの荒野で飢えた時、神がモーセの祈りに応じて天から降らせた雨露のことが書かれている。
この露を見て人々は「これは何であろう」と口にしたことから「これは何だ」を意味するヘブライ語のマナと呼ばれるようになる。
モーセは「これは主があなたがたの食物として賜るパンである」と告げた。
マナについての記述によると霜、もしくは白いウロコのような見た目をしており、食べずにおくとすぐに腐敗して悪臭を放つ。
また、味は「とても甘く、クリームのような味であった」とある。
このマナは40年間にもわたって夜ごと降り注ぎ、イスラエルの人々の食物となったと記述されている。
白色であること、甘いこと、クリームやミルクのような風味があること、食物として食べることが可能であること等マナと甘露は非常に共通点が多い。
1800年代末期にイタリアのトスカーナ地方で白く甘い露のようなものが空から小麦畑に降り注いだ。
この小麦畑の持ち主が発見し教会に申し出たところ、これは旧約聖書に書かれているマナではないかという騒動に発展した。
教会から連絡を受けたローマ教皇庁が確認に向かう途中で、マナらしき物質は全て劣化し、強烈な腐敗臭を放つ白濁したゼリー状の物質に変容しており、確認できなかったため奇跡として認定はされなかった。
そのため、マナとして教会に認められているものは旧約聖書に描かれているものだけである。
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