【雑記】詩を

詩を書こうと思い立つタイミングの話。

少し前は、感情との付き合いが不器用だった。それに加えて、目の見えてない幼稚園児だった。外界は岩の壁のようで、そこに挨拶をしようにも、少しだけ汚れた同じものが跳ね返ってくるだけ。そんな感じだから、心の中には箱庭をつくって、外界には笑顔のアイコンを向けるだけだった。
きっと心は泣いていた。過酷だった。仕打ちにしか思えない。悲しい肉塊だった。日々、存在を終わらせたい気持ちと、それをしてしまったら過去の暖かさが全てなくなってしまう、そんなどうしようもない気持ちの狭間で、見えずとも腐っていた。
そんなとき、言葉を生み出した。癒し、祈り、黒色、救い、澱み、純粋な美しさを言葉に求めた。それが詩となった。

最近は落ち着いた、凪に落ちる羽の速度、灰の降る様子、そんな感じで。今を生きている。
生きていると、ときどき、外界と心が呼応する。そのとき言葉では言い表せないあの輝きが胸を埋める。そんなとき、どうしても言い表したくなる。伝えたくなる、というよりも、遺そうとする心意気に近い。街中で見つけたきれいなきれいなビー玉を、自分だけが知っているビー玉を、誰も知らない空箱にそっとしまうような、そんな感じ。
世の中の味わいを、ずっと大事にしていたい。可能性を。

特に伝えたいことがあるわけではない。何も残さないことは美徳だと思う。波のように、無いものとして、最後は何も言わずに沈みたい。
それでも、まぁ、遺したいものはある。それが、輝いた日々と、それを抱く詩なんだろうな。


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