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とにかく楽しむことが、心を動かす。イメージソースらしさを感じた「μProto」社内ハッカソン最終発表会をレポート

体験づくりの楽しさを改めて感じた、笑顔あふれる最終発表会

「透明ディスプレイを使った表現にチャレンジ」というテーマで取り組んでいた社内ハッカソンの最終発表会が、先日、D2Cグループオフィスのオープンスペースにて開催されました。R&Dプロジェクト『μProto(ミュープロト)』の活動の一環としておこなわれたこのハッカソンは、イメージソース社内から15名の希望者が集い、2ヶ月間でアイデアをカタチにするプロジェクト。各チームの企画と試作が発表された中間発表会から約1ヶ月、各チーム、そして参加した一人ひとりのクリエイティビティが発揮されたプロトタイプスが披露されました。笑顔にあふれ、ものづくりの楽しさを改めて感じた最終発表会。SNS等で先にお見せしていましたが、詳細を本記事でレポートします。

透明ディスプレイを使って、生物のコンディションや演出を表示するプロトタイプ「Biotalk」

基礎開発と要件定義について発表した前回から、目的や企画背景等を改めて整理し、「新しい日常にあたらしいコミュニケーションを。聞こえない声を “見る”、やわらかなインフォメーション・ディスプレイ」というコンセプトのもと、アップデートと開発を進めた今回。物体検出は魚・鳥・蝶といった意思疎通が難しい生物を対象にし、コミュニケーションが難しい対象や状況に置かれているからこそ見出せる、新しい気づきや楽しさについても、印象的なプレゼンテーションでした。

実演では、眠い、空腹、怒り、寒い、暑い、息苦しいといった生物の6つの感情を示す「リアクションモード」、気温や水温、水質、生物の名前や年齢、産地や種類などを示す「インフォメーションモード」、センシングした生物を中心にしたデジタル演出が楽しめる「スペシャルモード」と3つの構想における演出が披露されました。さまざまなモードがあるなかで今回のために開発したのは、オリジナル映像で作成した動き回る魚と蝶の検出、および水温センサーのディスプレイ演出への反映です。今後開発を進めていけば、前述したような、聞こえない声を “見る” ための様々なコミュニケーションが可能とのことです。博物館のような情報表示でなく、生物とのコミュニケーションにフォーカスしたものはあまり例がないので、生き物飼育の新しい切り口の企画として期待が膨らむ実演となりました。今回使用した透明ディスプレイ実機のように、比較的小さなものであればすぐに設置することができるとのことです。さらに、同時に体験できる人数の制限などについての検証も進めば、今後の展開例として挙げている、店頭ディスプレイでの商品紹介や工場見学での活用等、大規模な設置も視野に入れて取り組めそうなプロトタイプができました。

また、今回の実装には、イメージソースが参加しているIntelのクリエイター支援プロジェクト『インテル®︎Blue Carpet Project 』において提供されているIntelのCPUを搭載したPCと同社ソフトウェアOpenVINO™️を機械学習に使用しています。イメージソースは業界を盛り上げるお取り組みをされている企業・団体と共に、今後も活動と発信を続けていければと考えています。

メンバー:山口(プロデュース)、高野(センシング)、田中(物体検出)、塚田(UIデザイン)、古川(ディレクション)、小久保(モーションデザイン)、鳥井(アプリ開発)

対面した人のコミュニケーションを可視化・サポートするプロトタイプ「SURŪ HEART -心を透過するディスプレイ-」

このチームは、今回のお題となった透明ディスプレイ「SURŪ」(ディスプレイ開発/製造:シャープディスプレイテクノロジー株式会社、販売:株式会社タテイシ広美社)の主要活用シーンである、人と人とのコミュニケーションを意識したプロトタイプ。コミュニケーションにおけるパーテーション のあるべき姿について考え、間を隔てるいわば “境界線” はコミュニケーションを促す存在となりうるか、また “境界線” があるからこそ成り立つコミュニケーションとは?を模索しながら体験づくりをしてきました。

“境界線” のほか、 “心を表す存在” “コミュニケーションをサポートする存在” といった役割のあるパーテーション 。向き合った2人のコミュニケーションについて「姿勢」「視線」「声」「言葉」について評価し、良好なコミュニケーションが取れている場合には、ディスプレイ越しの相手がクリアに見え、コミュニケーションに何らかの問題がある場合にはディスプレイが曇り相手が見えなくなってしまったり、相手の状況や自分のコミュニケーションが適正かを知れるアイコンが表示されたりといった体験ができます。それらの裏付けとして今回、「姿勢」にはコミュニケーション時に相手の姿勢が同じように向き合っているかといった「ミラーリングの法則」を、「視線」には視線の方向から心理を読む手法「アイ・アクセシング・キュー」、「声」には客観的に騒音レベルを判断、「言葉」については会話が弾んだ状態や適切な間などを解析するといった心理学的整理をし、今回の短期間のプロトタイピングでは、「姿勢」と「声」の2つについてKinectを使い実装しました。

実際に体験すると、コミュニケーションの向き合い方次第で相手がクリアに見えたり、声量が大きすぎるとバツのアニメーションが出てきたりと、安心してコミュニケーションができる状況が視覚化されていました。今後は、音声から感情解析ができるAI「Empath」を使用するなど、予算や工数次第で様々な可能性が広がりそうです。パーテーションはコミュニケーションをサポートするものとして、面接が例に挙げられていましたが、例えば婚活やバレンタインイベントなどの恋愛コンテンツに活用してもおもしろそうです。

メンバー:梅園(エンジニア)、猿橋(モーションデザイナー)、菅野(ディレクター)、小田(ディレクター)、長岡(広報)

透明ディスプレイを曇ったガラスに見立て、インタラクティブに落書きができるプロトタイプ「Wipe Fake」

前回の発表では、曇りガラスを指やガラススクイージーで拭いた際のデモ映像が発表され、今回は実際に体験できるものにアップデートされて披露されました。今回の発表では、指で落書きする体験を実装。結露した窓に指が触れた瞬間にじんわりと滲み、雫が滴ったり、また落書きした後に再び曇り出したりと、大変リアルに表現され、参加したD2Cグループのメンバーからも「感動しました!」との声が聞かれたほど。みなさんが “子ども心を忘れない” 体験ができたのではとチームメンバーから語られ、多いに盛り上がりました。

デザイン面では、結露した窓の表現として、にじんだ窓のグラフィックのアップデートや雫の反射する色味の調整、さらに触れていない時の映像演出も加えられ、よりエモーショナルな体験づくりが叶えられました。実装面では、水滴の描画はUnityのShaderで記述、筐体の周囲に設置したタッチセンサーでマルチタッチパネルのように使用し、触れた箇所とランダムに、時間経過で雫が垂れるようにしました。エンドレスな落書き体験ができるようにも設定し、指は最大10本まで検知可能、サイズについてもディスプレイをつなぎ合わせればより大きなもので体験が可能とのことです。
こちらのプロトタイプはSNSや各メディアにも取り上げられ、体験してみたいとの声が多く聞かれました。みなさんをワクワクさせられたのは、本物の「追体験」に加えた、「非現実的」な演出も、イメージソースらしいエッセンスだったのではと感じています。

メンバー:鈴木(ディレクター)、斎藤(デザイナー)、小山(デザイナー)、石川(エンジニア)

μProtoの活動に今後も期待!

昨年秋から始動したイメージソースのプロトタイピングとアイデアの種を発信するこの『μProto』も、このハッカソンをひとつの節目とし、第2フェーズに入っていきます。今回開催されたハッカソンは大変盛り上がり、『Prototyping the Future』とビジョンを掲げるイメージソースとしては、やはりこのような活動が自社や業界のクリエイティブの底上げを担っていると再確認しました。社内でここまで頑張れる力が、個人にも企業にもあることに自社ながら感動した会となりました。近年で発表してきたプロトタイプスは、個人(単独)のアイデアを練り上げていくものが多かったので、制作に携わるスタッフみんなで創り上げていったこの経験も、今後組織として変遷していくなかで良い方向に向かえたのではと思っています。今後も、いいものを創ろうというこのマインドは、大切にしていきたいです。

『μProto』では、今後もクイックな試作と情報発信をおこなうことで、社会や業界に貢献できるよう活動していきます。
共同制作やR&D活動のサポート等でお役に立てると思っておりますので、ぜひお気軽にお声がけください。

TwitterとInstagramでも活動を発信していますので、ぜひフォローお願いします。

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