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「買う」が辞められない

初対面から私には違和感がありました。

精神疾患を患ってる私に娘さんとの結婚を許してもらえるのか。ましては相手は手堅い公務員。断られても仕方ないなと思い私はスーツを着て彼女の実家に行き結婚の挨拶に行きました。

バリクソ緊張して道中3回も頓服を飲みました。で、緊張しながら彼女の実家に行くとお父さんは満面の笑み。印象はスタイルのいいオジサン。若いなと思いました。私はひと通り挨拶と世間話をしようとしたら、お父さんは「さぁ、本題を」というモードになり、どんだけせっかちやねんと思い「娘さんと結婚させてください」と言いました。

お父さんは満面の笑みで「娘が選んだ相手だからなぁ。全然いいよ」とあっけなく終わりました。僕に精神疾患がある事、仕事が安定してできない事を話した上で何も躊躇なく結婚を許してもらいました。

ものすごく違和感がありました。
普通なら大切に育てた娘を僕みたいな障害をもった男にポンッと任せられるのかなぁと。

結婚後、妻が実家に帰る時に私も元気な頃はよく義実家に行ってました。お父さんは私を気に入ったらしく、スマホのガジェットの話や株の話など趣味が合ったのでよく喋る事が多くなりました。

仲良くなりすぎてお義父さんとお義母さんと妻と私で旅行に行くようになります。

私は旅行は苦手です。環境が変わると脳が興奮するのかよく眠れず、メンタルも体力も弱いのですぐ疲れてしまいます。家に帰宅したら次の日はずっと横になることしかできまさん。

しかし、お義父さんと旅行するうちに最初に感じた違和感がなんとなくわかりました。

この人は娘に興味がない。
娘どころか家族に興味がないと。

そして、自分が楽しい事に全振りしてると。

お義父さんは普段から買い物が大好きで家の一室を倉庫がわりにして大量の荷物置き場にしてます。その中には例えば未開封の昔のゲーム機が全色あったり大量のCDやDVDなど山ほどありました。

廊下には大量の飲み物や食べ物のストック品があり、ここに住んどきゃ流通が止まってもかなり生活できるなぁとむしろ感心しました。

お義父さんの趣味は最近は社交ダンスらしくその為スタイルもよく若々しいのだなぁとわかります。

車も定年になったら買えなくなると大型の車のローンを組んで自動運転もできる最新の車に乗り換えてました。

旅行に行くときはその車にのり観光地に行きます。しかしそこで、僕には衝撃的なお義父さんの行動を目にしました。

観光地は一瞬で見てすぐお土産コーナーに行き大量のお土産を買うのです。そして宿に着き、そこでもお土産品を買います。

総括すると、この人は軽い買い物依存なのではないかなぁと心配になりました。

お義父さんの信条は生きてる間に自分が稼いだお金を使い切りたいというものでした。なので高価なお墓を建てたり海外旅行などもよく行って友達と週末は社交ダンスやゴルフに行ってます。

家族はもう呆れてしまいお義母さんも働いてるので財布は別にしてお互い老後は自分の資産でやりくりすると約束してるらしいです。

コロナ禍は社交ダンスができず、考えた結果に友達とゴルフで全国に旅行してたとの事。

その為、ゴルフグッズをAmazonで大量に購入し配達のラッシュが大変だったらしいです。

対して私の父親は常にどこでも無駄遣いはするなという教育でした。ジュースが飲みたいと言っても家で麦茶を飲むまで我慢しなさいと言われてたので対照的で衝撃でした。

お義父さんを見てるととにかくお金を払うという行為に固執しており、そのベクトルは家族にほぼ行ってません。義弟の孫が産まれても一切興味がなく義弟夫婦が実家に帰省しても自室にずっとこもりNetflixを見てると聞いて本当に興味がないのだなとなんとなく感じました。

だから僕と娘との結婚もそこまで興味の範疇外だったのかなと思います。

基本的にお金で作った快楽は期間が短いです。なのでお金でストレスを発散する事を覚えるとひたすらお金を使い続けます。

それが良いことかどうかは私にはわかりません。ただ歳をとってもコミュニティを作り楽しく過ごしてるのを見ると羨ましく見える反面、黙って導かれるようにお土産コーナーに向かってるのを見ると、なんというのでしょう。怖さみたいのを感じます。

妻から色んな話を聞いてるうちにただ、少しづつわかった事があり、どうも家庭環境が良くなかったのかなとうっすら見えてくるものがありました。

お義父さんの父親。妻からしたらおじいちゃんですが、どうもその方が若い頃から給料を貰ったら飲み歩きお金を散財して使い、おばあちゃんがコソッと給料袋からお金を取り出し、おばあちゃんは働きながらお義父さんたちを育てたらしいです。

おじいちゃんは死ぬ間際、病院で早く死にたいと毎日泣き叫び大変だったとか。

そんな環境下では父親がどう家庭で振る舞うか思考が歪んでしまうと思います。

ただ家族を大切にするという事は根底にあるらしく年に一度親族で集まり正月で家族会をします。

このケースは買い物依存ギリギリだと思います。家計がちゃんと成立してるので。一度きりしかない人生なので、自分で稼いだお金をどうしようか、特に子育ても終わってる段階なら自由なはずです。それどころか積極的にコミュニティに所属し楽しく暮らしているという点はいいと思います。無駄な人間関係が嫌いだけど孤独感がある僕としては羨ましくもあります。

妻と結婚して、自分の家庭以外の家庭を見られて良かったです。視野が広がりました。妻は几帳面な義母と散財が好きな義父の両面をうまく使い分けた性格になりました。

家庭の常識というか自分の家庭だけを家庭と考えるのは違うのだなと思いながら日々過ごしてます。

先日義父にコロナ禍も終わったのでみんなでベトナムに行かないかと誘われており向精神薬を飲んでる自分としては空港の税関とか嫌だなぁとか思ってます。なんとかして断ります。

何に依存するか。それは自由だと思います。生きがいみたいな事があると幸せでしょう。僕も今は静養に専念してますが療養が終わったら自分のペースで本能的にワクワクする事をしようと思ってます。ただ、買い物の依存だけはならないようになろうかと。そう思う日々です。


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