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5月第1週〜横川〜

はじめに

私は大学生になって引っ越してから日常的に信越本線を使っている。特別鉄道に詳しくない人間としてはこれはただの交通手段の1つなのだが、このように毎週どこかへ行く日々を送っているとふとその先に行ってみたくなったのだ。というのも私が鉄道移動の楽しさを知ったのが高校生のときに使っていた路線の先に行ったときだったのである。高々一時間ちょっとの移動であったが当時の私にとっては大冒険であの瞬間に何かの沼に叩き落とされたのだと思う。知っているけれど知らない場所に行くというワクワク感をこの路線で味わえるのはこれは最初で最後。この日はそんな特別な日に最適な晴れの日であった。

横川駅へ

 信越本線の終点は横川駅である。そこまでの道中には工場や自然が多く大きく無骨な人工物と木々のコントラストが私は割と好きだ。この辺りは工場夜景という感じでは無いが昼間に見てカッコ良さを覚える人は多いと思う。
 この日はゴールデンウィークだったこともあって駅は大賑わいであった。観光地として3世代で楽しめるちょうど良い場所という認識はあったのだがアウトドア系の若者も多くいて比較的生き残れている観光地だという感じである。

小さな駅

峠の釜めし

 この日は昼に出たので着いたらまずは釜飯タイムにすることにした。横川駅では群馬の有名な駅弁、峠の釜めしを作っているおぎのやがお店を出している。このお店は駅そば的な面も兼ねていてそこで売っている山菜そばにも惹かれたが今回は流石に釜飯にすることにする。
 この釜飯、駅弁でもあるので冷めても美味しいのがとてもずるい。和食のお店で食べる出来たての釜飯も美味しいのだがそこから冷めて味がしみしみになったものもとても美味しいのだから憎い。
 峠の釜めしを食べる際には中に入っている杏をいつ食べるかという問題があるが私は最後まで取っておく派である。また、付いてくる香の物は毎回どれがどれかよく分からないけれど別で付いているのが可愛いからお気に入りポイントだ。ちなみに梅干しはめちゃくちゃしょっぱいので残すときついので気をつけてほしい。
 なおこの陶器の器は持ち帰ることが出来て群馬県民は大概灰皿か植木鉢にしている。ただこのような実店舗では器を回収してくれるので扱いに困らなくて済むし、なんなら駅では捨てられる容器を使っていることもあるのだ。しかし私の家には高崎駅で購入した際に持て余されてずっとどうしていいか分からないまま仕舞われている器がある。

峠の釜めし

碓氷峠鉄道文化むら

 ご飯の後は碓氷峠鉄道文化むらへ向かった。横川駅の観光地としてはここがメインとなる。天気が良かったので説明書きを読みながらてくてく歩き、疲れたら解放されている車内で風を感じるという高級お散歩を行った。
 中は家族連れや鉄オタがほとんどで知識の無い私のような人が楽しむのは難しい場所であった。ここは屋外博物館が好きなタイプなら楽しんで回ることができるだろう。関東の列車が沢山置いてあってどこか旅へ行きたくなるような場所だった。

列車が沢山置いてある

おわりに

 自分が普段使う路線の先にちょっとしたワクワクがあるというのは浪漫がある。いつも乗っている方向ではなくふと反対方向に行くなんていう楽しみが日常にあるとすると、ただの通勤通学もつられて楽しいものになるような気がするのだ。

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