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いつまであるかわからない人生を思って、起業することにした

歩です。未曾有の緊急事態真っただ中の2020年ですが、4月1日に合同会社 IMAGICA BRANCH(イマジカブランチ)を立ち上げました。

この状況で起業するなんて、なかなか頭がおかしいと思います。でもどうしても今じゃないとダメだった。そういう時ってありますよね。あるんですよ。

必然のアクシデント

会社の話をする前に、これを先に書いておこうかな。僕は去年の9月 舌がんの宣告を受けました。それが今起業するに至った最終的なトリガーだったのは間違いないです。

ちょっと出だしからクライマックスすぎますね。

心配されそうなので先にお伝えしておきたいのは、僕のがんは比較的初期段階(ステージ2)のもので、手術も去年無事に終わり、抗がん剤を打つほどには至っておらず、今はほぼ元どおりの生活に戻れています。ただ、これから何が起こるかはわかりません。

もちろん生きる気しかないのですが!

若くしてがんになるなんて思ってませんでした。どうしてもやり遂げたいことがある自分には、そんなこと訪れるわけないと思い込んでいて。こうして文章に書いていても、未だにこれ自分のこと?と不思議な気分になります。

誰が書いたシナリオか知りませんが、がん宣告のタイミングがちょうどBREAK THE BORDERの続きを描くためのクラウドファンディングをやるぞ!となった2週間後だったので、正直かなりしんどい出来事でした。やっと2020年からは自由に動ける(版権が戻ってくるから)と意気込んでいた矢先だったので。

どうして前に進もうとすると行く手を阻まれるんだろう。「夢をあきらめろ」ってことなのか…?PET検査(がんの進行具合がわかる検査)の結果が出るまで、最悪のパターンが頭をよぎったこともありました。

こんなに、死を身近に感じたのははじめてでした。今は普通の生活に戻れていても、宣告以前とは明確に変わったことがあります。

死の概念。

がんになる前までは、死はもっと遠く、自分とは関係ないものみたいに思ってました。

でも今は、"死は常に隣にあるもの"と思っている。これは、今のご時世皆さんも少なからず感じていることかもしれません。

長くなるので今日は詳しく書きませんが、僕のがんが早く見つけられたのは奇跡的なきっかけがあったからで、本当にたまたま助かっただけなんです。

このたまたま助かった命を、これからどう使っていきたいか…そう考えるのは自然の流れでした。

僕はBREAK THE BORDERのことを人に話す時、「これを描ききらないと絶対に死ねない」といつも言ってきました。本心だけど ほぼ例え話として言ってきたその言葉に、今はものすごくリアリティを感じます。

"達成しないまま死ねねぇよシリーズ"はもうひとつあって、それが「自分のスタジオを立ち上げること」でした。これは10年前くらいからずっと頭の隅にあったことです。

なんつーか、こうなってしまったら もうやるしかないじゃないですか。おまけに前から今年の春ごろが起業にちょうど良いのではと思っていただけに、タイミングもほぼぴったりと来たら。

バスケがやりたい一心で美術部からバスケ部へ転向した高1のときから、人生の重要な決断はいつも直感で、自分の心に正直に決めてきました。

だから勘でわかるんです。今は現状維持する時じゃなくて、踏み出すべき時だって。

コロナ禍の中で踏み出すのは不安、てのもまた本心だけど、人生はいつ終わってしまうかわからないから。

IMAGICA BRANCHについて

さて本題はここからでした。

会社のコンセプトがこちら。

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ちなみに”私たち”と書いてあるけどまだ僕しかいません 笑
(ロゴもまだβ版)

クリエイティブスタジオってなんやねん?て話ですが、小さなスタジオジブリみたいなものを作ろうとしてるんだと認識していただければ充分です。


そして、メインコンテンツとなるのが…

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はい、来ました!バスケ漫画「BREAK THE BORDER」です。

以前出版社で連載していた本作ですが2年の契約期間を終え、この春晴れて弊社の持ち作品となりました。

打ち切られたり病気になったりなんだか色々ありましたが、、結局のところ本来の理想だった自社で発信していくスタイルに落ち着いて感慨深いです。こうなるために今までの試練はあったのかな。ストーリーも会社も肝心なのはこれからですが、それでもね…嬉しいもんは嬉しいです。

他にも構想のある物語はいくつかあって、今後もそれらを自社で発信していく体制を確立するための会社化でもありました。ただ、一度にいくつも連載できるタイプではないので、まずはこの作品を完結まで走りきることに注力します。


加えて、引き続きイラストレーターのお仕事も継続してやっていきます。デザインもできるので、BREAK THE BORDER関連やその他グッズの企画・デザインも。

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僕にとっては漫画もイラストも、「物語を描くこと」なんです。


去年イラストのお仕事で、Wリーグオールスターのアートワークを担当させていただきました。

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これは実在の選手たちを描いたものですが、"イラストにする"って、すなわち描き手がそこに物語を見出し、見る人に伝えるということ。絵だからこそ伝わる躍動や鮮やかさ、メッセージがある。

会社のコンセプトにもあるように、僕にとって絵はずっとメッセージでもあり、時に人との出会いを連れてきてくれたり、知らない世界へ連れて行ってくれる魔法のようなものでした。

子供のころは、その魔法は自分だけのものでした。

でも中学の頃からあたためていたBREAK THE BORDERを構想していく中で、「この作品が、誰かにとって生きる楽しみや希望になっていけばいいな」と大人になるにつれ考えるようになりました。

今まで僕にエネルギーをくれたエンタメ作品たちのように。

「誰かにとっての魔法」の裏には、そんな想いがあります。

BREAK THE BORDERの目指すところ

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ひとことで言うと、Netflixでアニメ化するくらい世界に通用する作品にしていきたいんです。

僕が信じているのはこの作品の"越境力"

ただの女子バスケ漫画ではない色んな要素が入ってますが、スポーツ漫画という形だからこそ色んな世代・性別・国籍問わず受け取ってもらえる。

そして単に人を楽しませるだけじゃなくて、女子バスケの発展や、多様性ある社会に貢献していけるような作品でもありたいとも思っています。

これは僕の生い立ち(トランスジェンダーで女子バスケ部だった)と原体験から来る想いです。

エンタメって色んな可能性を持ってます。
自分の人生を振り返ってみても、ターニングポイントには必ずエンタメがありました。

ゼルダの伝説が絵を真剣に描くきっかけと物語をつくることへの興味をくれたし、僕の人生を変えたバスケに出会わせてくれたのはスラムダンクで、自分のセクシャリティを自覚できたのはラスト・フレンズを観たからでした。

その受けとったバトンを、僕もつないでいきます。


エンタメは"不要不急"なんかじゃありません。
とくに今みたいな状況下では、むしろ必要なんです。

僕だって、近ごろ気づいたらゲームのコントローラーを握ってたりするし、映画を観ているときは今の社会の重い空気を忘れられます。

単に人を楽しませるだけじゃなくて、生活の中で生まれるどうしようもない感情を癒したり、一時的に忘れたり、逃げたりする余白が人間には必要なんだと思います。
その余白を提供するのがエンタメの存在意義のひとつだと僕は思ってます。

今こそ自分の仕事に、誇りを持ってやっていきたいです。

今後のいろいろ

永遠に語ってしまうのでこの章で最後です。

①発信を強化します
漫画で語りたいことはBREAK THE BORDERに託すとして、これからは今まで出来ていなかった漫画以外の発信も強化していきます。
そのコンテンツの集合場所がここIMAZINEです(今までほとんど活用できてなかった!)。

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めちゃくちゃ手探りですが、もうちょっと自分の持ち札を活かして色々やってみたいと思います。

また、BREAK THE BORDERは次回分から、最新話は有料マガジン(申請中)内で先行配信→先行期間終了後、無料公開という形式にさせていただく予定です。これも手探りなので何度か試行錯誤するかもしれません。

▼その他こんなのをやるかも▼
・公開グッズ開発企画
・女子バスケの話
・ジェンダーの話
・対談
・表には出さないクローズドな制作日記
・その他思いつくまま

*発信は強化していきますが、「漫画だけ読みたい!」という方は漫画だけを追っていただければ、本当にそれだけで充分です。

②BREAK THE BORDER電子書籍版が出ます🏀
1巻の電子書籍版がカバーデザイン新たに、5月末〜6月頭ごろリリース予定です。2巻もただいま執筆中。

▼書影最速公開▼

ブレエコ電書


弊社から出る最初のリリース作になります!(感涙)
色々語るのはリリースの時にしておこう。。

ご要望の多い&僕も欲しい紙単行本も、今後実現させたいので今しばらくお待ちください!

③引き続きお仕事募集しております!
2巻に向けて原稿作業中なので、いま主に出来るのはイラストのお仕事になりますが、引き続き募集しております。

その他、今後IMAZINEで更新される記事をご覧になって、「この人、こんなこと出来るのでは?🤔」と思ったらお気軽に声をかけてみてください。何が出来るのかをお見せする場としても、この場を使っていきたいと思います。

ご連絡▶︎ info@imagica-branch.com

作品はこちらでご覧ください🔍


夜は空けたということで、手探りしながら作りたてのイカダを漕いでいきます。

荒波に飲まれたり航路を間違えたりする時もあるかもしれませんが、そんな時は皆さんの応援の声を思い出させてください。

今後もBREAK THE BORDERとIMAGICA BRANCHをよろしくお願いします!


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▶︎IMAGICA BRNCH Webサイト
https://imagica-branch.com

代表者プロフィール
(AYUMI)
漫画家/イラストレーター/デザイナー

1988年北海道生まれ。東京都在住。幼い頃から絵を描き、熱中したゲームをきっかけに物語をつくることにも興味を持ち始める。デザイン系専門学校卒業後、仕事のかたわら作家活動を行うようになるが、中学生のころから温めていたバスケ漫画のことが忘れられず、連載化を目指し上京。スマホゲーム開発会社でのデザイナーを経て、勢いのまま独立する。

2016年、「ECHOES」で第7回『このマンガがすごい!』大賞 最優秀賞を受賞し、漫画家デビュー。現在は同作の改題・長編版である「BREAK THE BORDER」を連載しながら、イラストレーター・デザイナーとしても活動中。2020年4月より活動の本格化・BREAK THE BORDERの普及とコンテンツ強化のためにIMAGICA BRANCHを法人化し、代表を務める。やりたいことがあれば実績も準備も関係なく飛び込む習性がある。

▶️Twitter
https://www.instagram.com/aym_imbr/

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まだ読んでない方はぜひこちらを!!


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