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STEP 1-1:注意について知る|覚醒ネットワーク

1. 注意の覚醒について

集中しようと思っても集中がうまくできない時があります。疲れていている時は集中しようと思っても、なかなか集中できないものです。このような状態は、注意の覚醒が弱い状態ということができます。反対に、元気な時には課題にすぐに集中できます。このような状態は注意の覚醒が強い状態といえます。

注意の覚醒は強ほど良い状態と思われるかもしれませんが、注意の使い方が苦手な人は、覚醒が強すぎることで困った状態になることもあります。その代表的な例としては「過集中」をあげることができます。過集中は没頭している状態に近いので、仕事や勉強をするうえでは良い注意のモードにも思えますが、とても疲れやすいモードでもあります。極端な場合には、90分ごとに休憩を挟んで8時間の作業をするところを、一気に4時間集中してダウンしてしまうという状態になることもあります。つまり、過集中はペース配分ができないことにつながります。一方で、低覚醒は弱いほど悪い状態と思われるかもしれませんが、ポジティブな側面もあります。たとえば、リラックスしている時などは低覚醒の状態です。

これらのことをふまえると、注意の覚醒の強弱そのものに、良いも悪いもありません。もう少し言えば、覚醒状態を自分でコントロールできるかどうかが問題になります。

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覚醒の調整がうまくいかないと、先ほど紹介したような「やる気」や「ペース配分」といった作業的な問題につながったり、リラックスができないという健康的な問題に関わってきます。

2. ADHDの人における覚醒の特徴

ADHDの人のなかには、自分の興味関心が高いものには驚くべき集中力を発揮する人が多いのは事実ですが、同時に疲れやすいことも知られています。また、興味関心が低いものについてでは、作業が極端に捗らないという悩みを持っている人が多くいます。つまり、ADHDの人は自分の意図で覚醒が高まったり低まったりしているのではなく、外的な刺激にともなっている関心度によって覚醒がコントロールされている状態であるといえます。この覚醒の特徴は、作業や勉強面だけではなく、感情面においても影響を及ぼします。たとえば、興奮するとなかなか興奮がおさまらなかったり、気分にムラが出てしまうことにもつながります。

このシリーズで紹介するマインドフルネスのトレーニングでは、どんなことにも好奇心を持ちつつ冷静に注意を向けることを練習していきます。つまり、注意の覚醒の度合いを自分で調整できるようになっていきます。マインドフルネスのトレーニングを通じて身につけられるのは、興味関心がないものであっても、注意の覚醒を高めて作業や勉強を行うことを可能にします。また、興奮して過集中になっている状態から冷静で穏やかに集中できる状態に調整することも可能にします。

最後に、誤解を避けるために言っておかなければいけないことがあります。それは、マインドフルネスで覚醒を調整するためには、生活習慣を整えておくことが大切だということです。お腹が空いていては覚醒が弱くなります(食べ過ぎても覚醒が弱くなります)。睡眠が少ないと眠気が強くなり(覚醒が弱くなり)、マインドフルネスのトレーニング中に寝てしまうこともあります。

3. 自身の注意の覚醒について知る

集中力に関する自分の特徴は、意識しないとなかなか知ることができません。自分の作業や勉強の仕方を思い出しながら、以下の項目について書き出してみましょう。書き出す時のポイントは、覚醒の特徴そのものが「良い」とか「悪い」とか自己評価をしないことです。覚醒の強さと弱さは適切に調整できるようになれば、あなたの強みになります!

□ 何時間でも継続して作業できるものを書き出してみる
□ やる気が出ない作業やすぐに注意が散漫になる作業を書き出してみる
□ 自分がリラックスできる趣味や作業について書き出してみましょう
□ 集中している状態と疲労度の関連について振り返ってみる



心理学の知識を楽しくご紹介できるように、コツコツと記事を積み上げられるように継続的にしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。