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NPOにはお客様はいない

旅行にいってホテルにいったとしますよね。フロントでチェックインをすると、「いらっしゃいませ」「当ホテルをご利用くださいましてありがとうございます。」と言葉が交わされます。この時、自分はお客様になりますよね。こうして、お金を払って、その対価でお客様としてサービスを得ることは日常どこでもある姿です。

NPOではこのお客様の関係がない世界かなと思います。いやいや、カフェや物販をしているNPOあるじゃないかと言う方もいると思いますが、NPOが提供するカフェは居場所ですし、そこでフェアトレードのコーヒーを飲めば、コーヒーの生産や流通の中で児童労働や搾取がない活動に協力することになります。お金を払ったとしても、それは活動に参加することの表れで、お客様にはならないのです。

もう一つ例を挙げると、ベビーシッターや福祉サービスを提供しているNPOの場合は、そうしたベビーシッターを利用することで、仕事と育児の両立をする人生を歩むことが、その団体のビジョンで描く社会の実現につながっており、これもお客様ではありません。

似たような言葉で「お客様意識」というのがあります。例えば、自治体主導でNPOの活動が進んでいる地域があるとして、その地域のNPOが自治体の補助金や助成金が出たら活動しますよとか、自治体のバックアップがあったらやりますが、それがなかったらやりません、といったスタンスを持ったとしたら、それはお客様意識を持ったNPOだねとか、口を開けて待っているだけのNPOだよねといった具合になります。

お客様意識とは違う例も挙げますね。自分達でボランティアや寄付を集めてやってみたら、多くの困りごとを抱えている人のニーズが浮かび上がってきて、この活動は公益的な活動だとわかった時点で、自治体から委託をうけて事業を継続したり、協働事業をしていくケースはこれにあたりません。また、市民活動の推進で年間10万円程度のスタートアップ助成みたいな資金提供はこれにあたりません。

それ以外にも、サービスを提供している受益者をいかにお客様意識を持たせないようにするかや寄付者にお客様意識を持たせないようにすることが大切だったりします。受益者であれば、NPOからのサービスがなければ生きていけない依存の状態ではなく、長い時間をかけて自立や協働、よりそいあえる関係にしていきますし、寄付者であれば、自分達の活動の主旨やビジョン・ミッションに共感して応援してくれる存在として関係をつくります。企業からの寄付も、社会をよくするための、パートナーという位置づけにしていきます。ここにお客様意識が入ってしまうと、NPOの活動はおかしくなってしまいます。

お客様意識はいろんな場面で出てくるので、他にもケースを挙げると、私みたいに、NPOの伴走支援をしている者からみて、NPOはお金を払ってくれるお客様ではあるのですが、NPOがお客様意識を持ってしまうと仕事は継続しにくくて、一時的なものになってしまいます。コンサルに入ってもらったらもう大丈夫とか、ファンドレイザーに入ってもらったらお金が集まるという短絡的なものではなくて、そうした第三者の関わりの中で自分達の考えがブラッシュアップされていくとか、見落としていたリスクや自分達の価値に気付ける、といったスタンスがあると、いい感じで関係性が続きます。

NPO関係のお仕事において、自分や相手に「お客様感」や「お客様意識」を感じたら自分達は間違った方向性にいっているのではないだろうか?と見直す必要があると思います。

NPOにはお客様はいないというお話でした。

今回の内容はstand.fmでも聞くことができます。

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