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NPOで働き続けるために平時から準備してもらいたい2つのこと

このnoteはstand.fmで公開されている「NPOではたらくをアップデートする」で公開した内容を文字にしたものです。企業からNPOに転職することを検討している人や、今NPOで働いている人を応援する音声配信です。

以前、音声配信で、NPOで働き続けるために必要な4つのことという内容でお話したことがあるのですが、結構NPOで働き続けるのって難しくて、それだけでは語りつくせなかったので、今回はその続編です。

NPOで働いている人は、その仕事が困りごとを抱えた人や、自然環境の回復など、なんらかを支えることにつながっていますよね。

しかも、それは国や自治体の制度からはずれていたり、とうてい利益が出ない中で支援の活動をしないといけない制約があって、リソースが限られた中でやっていることです。ボランティアやプロボノといった部分的な関わりではなく、自分の仕事としてNPOではたらくことを選んだ人はそうした条件下であっても、支援しなければいけないと思ってそこにいて活動しています。私は、今、そこにいて、活動していること自体がすごいことだなと思うんです。

こうおもったきっかけのお話をします。東日本大震災で被災地支援事業で南相馬でこどもの屋内公園をつくるプロジェクトを2012年にした時、2012年の南相馬というと、数キロ南に福島第一原子力発電所があり、放射能が多く放出されている時期です。その時期に避難した人もいれば、残っている人もいる。別の場所にいくか、ここにとどまるか多くの住民が迷っていた時期です。そうしたところで子どもの遊び場を提供する事業をしようとしたわけですが、そこで働こうという人なんているものだろうか?と私はマネージャーとして疑問だったのですが、ほうぼうお伺いしてお願いすると、数名働いてくださる方が出てきてくださいました。

その時思ったのは、困難な場所に立ち、働いてくれていること自体が尊いなと。仕事をしている人を見る時にいろんな見方ありますよね。大企業とか、給料とか、役職とか、キャリアとか、私もNPOに関わるまでは、そうした一般的な見方しかもちえなかったですが、被災地支援事業を通じて、今、そこにいて、活動していること自体がすごいと思えるようになりました。そして、NPOで働いている人を応援できる人でありたいとも思うようになりました。

NPOではたらいていると、すごくしんどいときありますよね。困っている受益者のために働いているので、働いている人のことは二の次だったりしますので。代表さんや理事の思いも社会を変える、受益者を守る、ところが大きいわけで、そこへ意識を割振ることは優先順位の話としてそんなに多くはできないわけです。

転職したての時は、その状況は当たり前だと受け入れていたとしても、長く働きつづけるための持続可能性がないことに気付き、悩み、傷ついていきますが、そこを受けとめてくれる人は周りにはいませんから、病んでいくわけです。

代表さんよりも覚悟がなく、能力も人脈がないから生き残れない。そんな弱肉強食な世界なんだなと認識してしまっている人もいるのではないでしょうか。

今、私が話したような環境で働いている方には、申し訳ないですが、残念ながら今日・明日・来月・来年に団体が変わってはたらきやすくなることはありません。大きな団体なら別ですが、職員のモチベーションが団体の活動の質に関わるので、そこに資源を投資して改善したいと思っても、資源がないので割り振れませんし、受益者への支援活動に長けた人は多くても、職員をケアする中間管理職の人もいません。資金的・人材的にそこに力がいれられないのが現状です。(もちろんそうした状況下で資源や人をみつけてくる団体もありますが、みつけられない団体もあります)

なので、まずは自分で守る必要があるのですが、これが難しい。

きつくなるパターンっていろいろありますよね。

・困りごとを抱える受益者の環境が厳しくて、向き合っていると自分にも影響してしまってきつい
・ひとつひとつは十分やりきれる仕事だが、数が多すぎてパンクしそう
・あまりにも広範囲の仕事をまるっとまかされていて、能力的に対応できず詰んでいる
・特定のモンスター職員がいて、周りに迷惑をかけているのに、代表やマネージャーが放置していて、正直者がばかをみる状況になっている
・自分はよかれと思ってやっていたことが、周りから誤解されて悪意あるように思われてしまっているが、誰も理解してくれず誤解が解けない四面楚歌状態
・受益者を支援する活動はうまくいっているが、団体内の人たちから陰口たたかれたり言い合いになったりする、いわば後ろから刺されている状態
・代表や理事の力が強すぎて、ワンマンで、自分の自主性や思いが全く反映されていない無力感がつよい
・自分の業務が裏方役で、日が当たることがなく、それを理解しているけど、存在意義が感じられない
・団体の仕事や人間関係はうまくいっているが、家庭を省みずやっているので家庭不和

これは一例ですけど、これが一つ当てはまるだけでも大変ですが、2つ3つと重なっているとさらに困難度が増します。自分に余裕があると回避できることも、忙しくなって余裕がなくなると、これらにはまっていく人がいます。大丈夫大丈夫といいながら無意識のままはまっていくのです。

こうならないためには、2つ対応策があって、ひとつめが、上記のパターンやNPOの状況を理解していて、感情的なことを含めて否定せず受けとめて話を聞いてくれる団体の外の第三者を見つけて定期的に話をしておくこと。
ふたつめが、他の団体の人とのネットワークを拡げておくことです。

ひとつめについてお話します。
最終的には自分ひとりで考えて、対応していかないといけないのですけど、
その過程で考えの整理をしないといけない中で、もやもやした感情や思いを
誰かに受けとめてもらうのって、整理する前段階に必要なんです。というのも、どうしても周りからの期待とか役職の責任とか、稼がないと家族が養えないからとかそういった自分の外側のことに影響されて思考停止してしまいますが、それを外すためには、「本当はそう思っていないのにいやいややっているなとか」日常の仕事での感情的なものを認識することが大切です。

団体の外の第三者と言ったのも、同じ団体の人や近しい人に話をしてしまうと、それ自体が他の関係者に漏れたり、厳しい状況の自慢合戦になったり、自分の悩み相談したはずなのに、相手の相談になぜかのっていたりと、自分のための話にならないことが多いからです。

残念ながら、私にはそういう人がNPOではたらいているときにいなかったので、自分だけで考えて行動することになりましたが、もし、そうした存在の人がいたら、今もNPOではたらきつづけていたと思います。今、NPOではたらいている方には、是非そうした人を見つけることを平時からしておいてもらいたいです。

二つ目の他の団体の人とのネットワークを拡げておくことの大切さは、最終的な選択肢は転職になるので、その可能性を事前に持っておくためです。浅い関係性でもいいので複数の団体さんとの関係があると、どの団体でも求人がでるタイミングは必ずありますから、その時に移れるかもしれません。基本的に今いる団体がすぐに変わることはありませんから、自分を守るためには移ることに罪悪感を感じることはないと思います。

よく、起業家の美談で、起業当初、ワンマンすぎて気付いたら周りに人がいなくなったっていうのよくあるじゃないですか。私はあの手のストーリーは当時の周りの人の気持ちを思うと聞いていられないのですけど、結局はやめることでメッセージするしかないという裏返しですよね。

あの時やめずについてきた●●には事務局長についてもらってと残ってくれて・・・といる人にスポットがあたりますが、その時にやめた人も他のところで結構活躍しているものです。

この2つのことを、NPOで働いている方にはやっておいてもらいたいです。

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