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あこがれや、自分本位の熱意、変な自負心で道をあやまらないでください

このnoteはstand.fmで公開されている「NPOではたらくをアップデートする」で公開した内容を文字にしたものです。企業からNPOに転職することを検討している人向けの音声配信です。

今日2021年3月11日は東日本大震災が発災して10年目の日です。新聞やテレビでは発災当時の様子や、そこからの復旧、復興が報道されています。道路・鉄道などのインフラ整備や、かさあげ、堤防などの大規模な公共工事はひと段落したと言われていますが、全国各地に避難してそこで暮らしている人も多いですし、戻った人も多いです。消滅した地域もありますし、分断したままのコミュニティもあります。震災前とは違うかたちで、生活が戻っている状況だと思います。

私にとって東日本大震災とその後10年は大きな変化の期間でした。

2011年は企業からNPOに転職して1年目で、新しい事業立ち上げの準備をしているところでした。震災が起き、団体で福島の被災地支援事業をしようということになり、そのプロジェクトのマネージャーとなり、事業の立上げと、運営を行いました。私はそこで、受益者からのニーズを聞きつつ、事業を練りながら、資金を集めながら、事業を行う場所の物件を探したり、働く人を求人をすることを、2011年当時混乱していた福島にて行いました。

当時は、与えられた目的・目標に向かって必死にやるだけの状態でした。なにせ、いっさいがっさい何もこれまでやったことがなかったので。代表のアドバイスに沿って行動をして、一歩進んで、困難なことがあって、ふりだしに戻って、また一歩進んでという状況でした。あー、事業化無理だわと思ったことも何度もありました。でも、奇跡的な出会いや支援を頂いて2011年12月に事業を開始することができました。そこからも、毎日いろんなことが起きて大変だったですが、軌道にのり、自主的に閉鎖する2014年まで、事業を続けることができました。

事業をやめる判断を代表がされた時、私はすごく反対しました。まだこの場所を必要だと思ってくれる人が多くいるし、寄付も集まっているから、続けることができるのになぜ辞めるのですかと。客観的にみると、国の交付金がでることに決まり、自治体が同じような事業をすると決まっていたので、撤退するのは当たり前の判断だったのですが、事業の立上げをした自負があったのかそれでもなお続けるべきだと思ったのです。

そのわだかまりがあったのか、それから団体の活動に前向きに意味づけすることができなくなってしまい、その事業終了後の翌年に団体を退職することになります。

それからも福島をなんとかしたいという思いを持って、ファンドレイジングについて勉強したり、それに関わる団体に転職したり、NPOの組織基盤強化の伴走支援の勉強をしたりして、福島のNPOの活動にいつかは役立てたらと思っていろいろやっていました。そして、念願かなって複数の福島の団体の支援をさせて頂くことになったのですが、結局はどちらも途中で活動から外れることになりました。2011年から被災地支援事業をした当事者としての自負みたいなものが強くて、そんなんじゃだめだ、もっとこうしなくてはいけない、みたいな自分本位の熱意がすごく強かったんだと思います。いずれも失敗でした。

自分が思い描く支援を福島でできなくて、どうしようかと思っていたのですが、その次に、地元千葉のNPOの活動を支援しようと思い、市民活動養成講座を受けたり、地元で支援する団体さんと関係を持って、ひとつ仕事をいただきました。それは、地域住民とヒヤリングをして、地域性にあったイベントを開催するというものでした。自分ではいけると思っていたのですが、全然まとめることができなかった。こちらも途中降板となりました。これは自分の能力不足で、市民の言葉をまとめて、何かの運動体にすることは、これまでの自分の経験やスキルでは全く役立たなかったです。

こうしたことを数年やってきて、この方面のことは憧れはあるけど、強すぎる熱意や、変な自負心があって、自分には全く向いていないことを痛感しました。今は周りの人に迷惑かけてごめんなさいという気持ちです。

なので、今後、市民活動に参加して直接的になにかすることはしません。今できることは、こうした市民活動に取り組んでいる人が、困っていたり、支援が必要だと思っていて、それに対して自分が価値あるものを提供できそうだったら、第三者的に関わることだけにしようと決めています。

と、かなりの挫折のストーリーをお話しましたが、一種の諦めを感じてから、第三者的な関わりのお仕事を数件お声かけ頂くことがあり、やっぱりその見立てはあっているのかなと思いつつ様子をうかがっているところです。

代表にもなれない、市民活動家にもなれず、あこがれや自負心が邪魔をして遠回りをしていますが、いいところを見つけたのかもなと思います。そんな10年でした。かっこわるいですね。

今、企業からNPOに転職して働きたいと思っている人や、NPOで働いている人が、あこがれや、自分本位の熱意や、変な自負心で道をあやまらないように、恥ずかしいですが、自分のお話をさせて頂きました。


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