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NPOではたらき続けるために必要な4つのこと

このnoteはstand.fmで公開されている「NPOではたらくをアップデートする」で公開した内容を文字にしたものです。企業からNPOに転職することを検討している人向けの音声配信です。

過去にNPO法人で働いた経験から感じる、NPO業界で働き続けるために必要なことは以下4つあるなと思っています

1.きちんと生活できる給料をもらえ、将来の見通しが持てること。
2.自己有用感を感じられること。
3.心理的安全性の高い職場で仲間とともに働けること
4.自分自身のスキルを高め続けられる

1.きちんと生活できる給料をもらえ、将来の見通しが持てること。

「きちんと生活できる」の定義は人によって異なりますが、自身のライフイベントによって変わってきますよね。例えば、ご結婚されて、子どもが増えたとすると生活費や教育費が増えますし、住居についてもお金がかかる、子どもの将来の学費も用意しないといけない。そうなると生活上必要になる給料のレンジは高まります。働いている団体がそのレンジに対応できていれば働き続けることはできますが、外れている場合はいくら環境がよくても居続けることはできません。NPOは社会問題解決のために存在していて、職員の雇用維持のためにあるわけではないですが、有能な方の場合、別の団体や企業でも働けるので、あまりにも給料のレンジが低かったり、あまりにも昇給額が低い場合は、転職をするのがよいと思います。

そんなことで転職するなんて当事者意識が足りない!とか覚悟が足りない!と思う人もいるかもしれませんが、マネジメントができたり、複雑なことに対応できたり、満足度高い作業を提供する人に、定常的に働いてもらうには、ある程度の支払いが必要です。それが支払えない状況というのは、まだその段階ではない、もしくは、そうした人材が必要でない活動ということです。団体の成長段階と合っていなかった、団体の活動主旨とはずれていた、それだけかなと思います。社会的なニーズに応えた対応、応えた成長をしている団体には、委託、助成金、寄付、投資、自主事業の売上などの資金が流れてきます。そういう団体でしか、企業からNPOに転職して生活していく人は生きていけません。団体の活動もシビアかもしれませんが、それで生活する方もシビアですので、こうした見方をするのは当たり前です。

2.自己有用感を感じられること

NPOはいろんな成長ステージがあります。たちあげたばかりの団体と、創業20年の団体では成熟度合いがことなります。おのずと求められるものも異なります。立ち上げたばかりの団体では、これまで事業化されていなかったことをするわけで、0から1を生み出す作業となります。これは様々な試みを短いスパンで繰り返しやり続けることが必要なので、瞬発力や分析力など行動力が求められます。

一方、創業から期間が経っている団体は主要な事業ができあがっていますので、チームワークをよくしながら事業をすすめるマネジメント力が求められることが多いです。立ち上げの時に適した人でも、事業を回すのが苦手だったり、複数の人と仕事をするのが苦手だったりすると、団体が次のフェーズに行った際に適応することができません。

ビジョナリー・カンパニー 2の一説だそうですが、私が過去に勤めていたNPOを辞めた直後に、代表の方がSNSで書かれた言葉が印象的でした。

適切な人がバスに乗り、適切な人がそれぞれふさわしい席につき、不適切な人がバスから降りれば、素晴らしい場所に行く方法を決められるはずだ。

私はその時の団体からすると、不適切な人になってしまっていたということで、このメッセージを見てかなりショックを受ましたが、その後の転職先のNPOも決まっていましたので、まぁそんなものかと思いなおすことができました。同じ組織で自己有用感を得続けることは結構難しいことなのかもしれません。

3.心理的安全性の高い職場で仲間とともに働けること

心理的安全性は仕事の任務遂行にあたって思ったこと感じたことを伝えることができることです。以前心理的安全性についてnoteを書いているので関心のある方はこちらをご覧ください。

NPOは比較的給与水準の高いマネジメントスキルのある人が多い業界ではないので、職員やボランティアからたたき上げの方が多かったりします。なので、代表やマネージャーが高圧的だったり、モンスター同僚などいることがあります。代表やマネージャーについては企業でも状況が同じですから我慢もできて耐性もありますが、モンスター同僚対応は難しいです。というのも、企業では入社試験や面接を2回~4回経て採用されるため、ある程度の同質性や均質性がある人が多くなりますが、NPOはそこまで採用に手間をかけることがなかったり、応募が少ない状況だったりするので、多様な人が入ってくる可能性があるからです。これまで経験したことのない人から想定外のことをされてとまどうケースもあると思います。なので、そうした多様性を受けとめる仕組みや考え方が定着していない団体は、心理的安全性が低い場合があります。

経験を積んだ中途人材ならそうしたところを改善するのも役割だろう!と思う人もいると思いますが、全くカルチャーの違うところからきた人がきちんとその人のパフォーマンスを発揮するには1年くらいかかります。モンスター同僚のマウンティング力は結構強いので、そうした場で1年もちません。中途で採用した人がすぐにやめてしまうケースは、モンスター同僚が原因であることが多いです。

このように心理的安全性が低いところに転職してしまうと勝ち目がないので、それを感じる場所は転職先として選ばない方がよいですし、入ってから気付いたら、メンタルヘルスを病んでしまうので、別の場所を探した方がよいです。

4.自分自身のスキルを高め続けられる

NPOの事務局スタッフは、企業でいう総合職でいろんなことをやります。事業の最初から最後までを独りでやることも多いので、一気通貫した事業の理解などができるので実力がつきます。企業だと、大きな仕事のプロセスの一部分をやるので、全体感がつかめなかったりするのですが、それがないのでやりがいにもつながる面もあります。その一方で、それがゆえに器用貧乏というか、便利屋としていろいろなところで使われるので、人のつながりは拡がるのですが、仕事のスキルは高まっているのか?専門性は高まっているのか?と問うた時にそれを積みにくい面があります。

そうならないために常にブラッシュアップしていかないといけないのですが、スキルを磨いていくためには仕事を通じて実践する場が必要です。しかし、NPOは事業の幅がせまくて、その場がどうしても提供できない場合があります。大きな企業だと異動して、成長に合わせた場の提供もできるのですが、NPOだとそこまでの規模感がない場合がほとんどです。最近では、大きい団体同志で社員交流をしたりといった流れはありますが、普通のNPOでそこまではできません。

さいごに

NPO業界で働き続けるための4つのことを満たそうと思うと、大きな団体にいくか、中小規模の団体を渡り歩くしかないのかないのではないでしょうか。団体を渡り歩くことを考えると、重要になってくるのが、団体の所属問わずに自分のキャリアについて、話を聞いて、一緒に考える、相談者です。企業で働いている時とはまた種類が違う悩みがNPOで働いているとあります。NPO関係者でキャリアコンサルタント資格を取得している方も増えていますから、信頼できる人を見つけておくのが大切です。

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