NPOがビジョンを見直すタイミングはいつがいい?

NPOにとってビジョンはとても大切なものです。ビジョンとは、その団体が活動をすることで数年後に達成したい、社会問題が解決した社会の姿であったり、困りごとを抱えていた人が困りごとの原因を解決したり、環境が変化することにより、状況が改善されて前向きに生きている姿のことです。

そのビジョンに多くの人が共感をして、様々な人がボランティアや職員として参加したり、寄付をすることで、リソースがたりないNPOを支えます。そして、ビジョンは、それを達成するための団体のミッションや、価値観につながり、組織文化をつくる源になります。ビジョンを大切にしない団体や、ビジョンが浸透していない団体は、組織として集まる求心力が弱いので、うまくいっている時はいいのですが、危機的な状況になったらバラバラになってしまったりします。

よく、「最終的な目標は社会問題がなくなって団体が解散することです」と
言われる方がいます。意味はわかりますが、そのセリフを言ったあとのフォローの言葉が足りず、誤解されて残念な感じや、無責任な感じを与えてしまっていることが多いです。

この誤解について少し説明しますね。

NPOが事業を行う際は、まずは困りごとを抱えている人の支援をしつつ、社会問題の真の原因の調査をしたり、各要素の関連性をループ図にまとめたりして、なぜ問題になっているのかを考えていきます。この作業に正解や終わりはなく、活動をしていく中で、新しいことが見えてきたり、新しい関係性がわかってきて、常に変化していきます。また、よかれと思ってした活動が逆効果になったり、思わざる結果がおきてしまうこともあり予測不能でもあります。ある社会問題をひきおこしている原因や、なぜ起こっているのかの関係性を明らかにすることは難しく、それが本当に解決されることは不可能に近いです。にもかかわらずそれを解決できると想定しているということは、団体側で難易度が低いことを問題として設定しているか、狭い範囲で捉えているなど、団体の問題を見極める力が低いことを暗に表していることになるので、残念だなと誤解されてしまいます。

また、困難な状況を抱えている子どもとの関わりは、1年や2年では短くて、長期間の関わりでなければ、子どもと信頼関係を築くことができないですし、相手が自然環境であった場合はそれこそ10年くらいの関わりでは変化は少なくて、20年、30年と継続的に関わらなくては改善されないです。なので、「解散します」というメッセージは無責任な印象を与えてしまい、これが誤解の元になってしまいます。

社会問題の方が、組織より長生きなので、誤解されないための言い方としては、団体が存続している間に社会問題の解決にむけて何ができるかを述べるのがよいかなと思います。

このようなことを踏まえた上でビジョンを考えると、10年くらいで見直すのがいいのかなと思います。というのも、社会問題の捉え方が広く・深くなり、実力がついた今の状態で活動をしていると、10年前のビジョンを狭く感じたり、そこからはみでてしまう活動も多くなってしまうからです。既存のビジョンではとらえられないはみでた活動が出てきたら、活動を抑えるのではなく、ビジョンを変えていく時です。

団体設立当初は代表や理事が中心となってビジョンをつくることが多いですが、新しいビジョンは皆でつくっていくのをオススメします。できれば第三者に入ってもらって、時間をかけてワークショップを重ねていくのがよいでしょう。

NPOがビジョンを見直すタイミングはいつがいい?というお話でした。

今回のお話はstand.fmでも聞くことができます。

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