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人生で大事なことは、すべて小さな畑が教えてくれた

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リモートワークの傍ら、自宅近くに小さな畑を借りて、無農薬・有機栽培の野菜づくりを始めた。その学びの記録です。
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#農業

野菜づくりのハイライトは、収穫して食べることではなかった

畑をはじめて4ヵ月と少しが経った。季節は、土も苗も干からびそうだった残暑から、天高い秋を過ぎ、霜が降りそうな冬へと移行した。 収穫まっさかりの頃の大根畑 いまは収穫のピークを過ぎて、すっかりペースダウンした野菜たちの成長を見守りながら、細々と手入れ程度の収穫をしている。つまり、はじめて「収穫期」を経たことになるのだけど、そこで気づいたのは、私にとって野菜作りのハイライトは、収穫して食べることではなかった、ということだった。 最初は、あえて考えないほどごく当たり前に、畑を

畑の時間、人の時間

3ヵ月ほど前から、自宅近くで小さな畑を借りて、無農薬の野菜づくりをしている。 「来週の土曜日、畑に行ったら何が採れる?」そう聞かれて、はたと答えに窮した。畑ビギナーなこともあるけれど、正直、1週間後の野菜の成長具合なんて予測がつかない。毎回、行ってみて「へー」という感じである。あまりの成長の早さに驚くこともあれば、枯れかかっていることに心配したり不安になったり、虫に食べられてしまったことに同情したり落胆したり。同じ日に撒いた種も、違う日に芽を出す。とにかく、そこに行って初め

畑には「間引菜」という秘密の収穫物がある

都内の小さな畑で野菜はじめて、「収穫はまだまだ先だな」と思っていたら、そんなことはなかった。 種から育てる場合、1か所に4粒くらい撒いて、育つにしたがって徐々に間引き、最後は1粒分まで減らしていく。最初から1粒しか撒かないと、それが発芽しなかったり、ちゃんと育たないともうアウトなので、そのリスクを避けるための方法でもある。 大根ゾーン。まだ間引き中。 そして、この間引菜だけでも結構な量になる。全部間引いても消費しけれないので控えめに間引いていると(でも間引くタイミングが

小さな命の生きようとする力を信じる~今にも消えそうな苗が、見違えるほどの成長を見せるまでの1ヵ月

都内の小さな畑で無農薬・有機の野菜づくりを始めて、最初に植えたのは、キャベツと茎ブロッコリーだった。どちらも日照りの中で苗を植えた。 植えてから、なぜか苗はどんどん元気をなくして、今にも消えてしまいそうな、弱弱しい姿になっていった。約1週間が経ち、本当なら成長しているはずのそれは、最初の時より小さくなってしまった。 (左:キャベツ、右:茎ブロッコリー) でも、できることと言えば、多少の水をあげることと、励ますことくらい。ほとんど何もできないに等しいことに無力感を覚えた。