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俳句の森を歩く

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俳人への道を歩きながら、見つけたもの、出会ったものを記録しています。
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#松尾芭蕉

坐禅と俳句 ~「いま、ここ」にある光

はじめて、オンライン座禅会に参加した。 お寺の匂い、床と座布団の感触、外のような中のような曖昧な空間、お坊さんの背筋や声、どこからか集まった名前も知らない人たち。昔は、そういうしつらえの中に身を置くことも、「坐禅」の一部だと思っていた。 でも、オンラインはオンラインで、空間は離れていても、お坊さんと自分だけ、他に何も気にすることがなく、それなりの良さがあった。 坐禅。「いま、ここ」にしかない身体と、「いま、ここ」ではない時間と空間をさまよう心。その心を「いま、ここ」にと

古池には、何匹の蛙が飛び込んだのか ~俳句の翻訳について考える

少し前、「俳句は(本当の意味で)翻訳できるものか?」と問われ、そのことがしばらく頭に残っている。 最も有名な句の一つを例に、考えてみたい。 古池や蛙飛びこむ水の音 芭蕉 これは、様々な人が、様々な訳を残している。たとえば、この2つ。 Old pond — frogs jumped in — sound of water. ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)訳 The ancient pond A frog leaps in The sound of the water