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【受け入れるまでにかかった時間】

ゲームで遊ぶ時間の制限についてのお話。

Stayhome、休校で、こどもたちがゲームで遊ぶ時間がすっかり長くなってしまった。最初は帰国後の慌ただしさもあり、ゲームしておとなしくしてくれると助かるという大人の事情もあり、見て見ぬふりをしてしまった。

休校がさらに延長されて、5月いっぱい自宅学習予定となって危機感を持ち始める。ゲーム時間、長すぎないかと。このままでは、目は悪くなる一方。学習の習慣も崩れる。

そこで、Switchを購入する際に長男と交わした覚書をもう一度出して、家族会議を開いた。当初の約束では、ゲームは一日1時間まで。5分間遠くを見ることを1日に3回以上行う。これは、かかりつけの眼科の先生に指導されたことだ。

すると、長男、「それじゃあ、足りない。短い!」と逆ギレ。
こちらも負けてはいられない。「これ、あなたが書いて決めたんだよ。」
長男、「1年前のオレ、ばかだ〜。」と叫ぶも後の祭り。

長男がのめり込んでいるオンラインゲームは、チーム編成が決まるまで時間がかかることもあり、1時間の中にロスタイムが結構あるとのこと。ふむふむ、そういうことなのか。でも、画面を見ていたり、ヘッドフォンをしている時間には変わりがない。

オンラインゲームには良い面もあることは承知している。イギリスでは、オンラインゲームで英語が鍛えられた。お陰で授業で困らない程度の英語力を身につけることができた。休校中は、こどもたちにとってコミュニケーションが取れる唯一の手段である。

それならば、と大人の事情を持ち出して、
・ゲームは一日一人1時間。
・ただし、イギリスの友だちと遊ぶときはさらに30分プラスしても良い。とした。長男は、渋々承知した。長男が私たちとぶつかっている姿を見ている次男は、ことを大げさにしないためにすんなりと受け入れる。

しばらくは守ろうとする努力が見られたものの、やはり休校中の自由時間の魔力には勝てず、ズルズルとやり続けてしまう。業を煮やした夫が、通信時間を制限するという暴挙に出る。ルーター側で制御し、夕方3時半から6時までの2時間半が息子たちのゲーム時間となった。

制御1日目。今日からは、3時半から6時までがゲーム時間だと二人に伝える。かなりの反発があったが、それにひるんではいけない。文句を言いながらも二人は3時半から交代で始める。この日は後半が長男だった。6時まであと少しとなっても全くやめる気配がない。非情にも6時ぴったりに通信が切れる。すると長男、何が起こったかわからず唖然としていたが、約束を思い出した。その後がすごかった。「一番良いところだったのに、何だよ!」と激怒。罵声を浴びせる。地団駄を踏み、ソファを殴る。さらには、コントローラーを床に投げつけて破壊した。怒りが止まらない。ただし、すでに動きが悪くなって使えなくなっていたコントローラーを選ぶだけの理性は働いていたようだ。

そのあと、自室にこもってふて寝を始めた。夕食の準備が終わったのにと、あきれるやら、悲しいやらで、長男の機嫌を直す気力は沸いてこなかった。家族の夕食が終わった頃、長男がようやく起きてきた。何も言わずに出されたものだけを食べて、再びふて寝する。次男がお笑い番組を見始めたところで、居間に現れ、次男と一緒に笑い始めた。

2日目。再び3時半から6時まで。この日も、後半が長男だった。前日のことがあるので、6時になる10分前に「もうそろそろ時間だからね。」と声かけをする。返事をしたように見えたが、生返事だったようだ。やはり6時までにやめる様子はなく、遊び途中で通信が途切れた。そして長男もキレる。前の日ほどひどくないものの、ふて寝が再び始まった。今日は、私は動揺しない。もう放っておくと心を決めた。彼自身が納得しなければ、いくら説得を試みても心に響かないのだ。

3日目。さて今日もふて寝かと覚悟した。夕食の準備のモチベーションが下がるので、正直ふて寝は嬉しくない。再び長男が後半。6時が近づき、またキレるかと思ったところで、「オレ、あと5分でやめなきゃ。終わるからね。」と言うのが聞こえた。そして、6時を前に自分で終了させることが出来た。終わったあと、すっきりした顔をしている。

そうか、受け入れるまでに3日かかったのだね。

それからは、毎日、「6時だからもうやめるね」と言って終わっている。
次男とも、どちらがどれだけ遊ぶか、その日その日で相談して決めている。

6月に入って学校がフルタイムで始まってからは、3時半からというのが難しくなった。息子たちは4時から6時半までと言ってきたが、夕食の時間を遅くしたくないのと、最近イギリスのお友だちとやる機会が減っているので、二人で2時間と決めて4時から6時としている。ただ、一緒に遊ぶ友だちの習い事などで時間をずらす必要があるときは、随時、夫と相談して決めているようだ。

荒療治は、はじめどうなることかと思われたが、親もぐっと我慢することで息子たちの自己コントロール力が養われた。残り時間を計算しながら遊びを仲間と相談する。仲間は続けているのに、自分だけやめなければならないことを受け入れる。終わっても不平不満を言わず、次のことに取り組む。私だったらできるだろうか? 我が子の成長に目を細めている。


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