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読書: 「読書という荒野」という超刺激物

今日は志向を変えて読書シェアです。

同僚のススメで、見城さんの「読書という荒野」を読みました。

Amazon.co.jp:カスタマーレビュー: 読書という荒野 (NewsPicks Book)


この本を一言で表すなら、、、

書籍の中のテキーラ(彦摩呂風)です。

とにかく刺激的、超極端、刺々しさ満載。

 

・読書で多様な人生経験を積まないところに成長はない

・自己検証、自己嫌悪、自己否定が三種の神器

・常に死を意識せよ

等々の内容で、高い熱量の言葉で埋め尽くされています。「お前の人生はそんな半端なままで良いのか」と詰め寄ってきます。率直にこの本を読んで良かったです。

 

一方、違和感の残る箇所もいくつかありました。今回はあえてではあるが、違和感二点を言語化してみます。

①尊敬のない否定が多い

この本は刺々しい否定の言葉が散りばめられています。

否定とは、極端で分かりやすい。純粋にキャッチーな言葉です。

著者が言うように、このような極端な要素が入っていれば入っているほど、注目を集め売れるというのは完全に同意です。

 

ただ、このような意図があったとしても、排他性に満ち溢れた否定語の数々はいただけない。例えば、 "「夢」や「希望」など豚に食われろ"という言葉。読者に対する配慮は無いのだろうか?

「夢」「希望」という言葉に思い入れがある人(例えばキング牧師のスピーチに感動して"夢"という言葉を大切にしている人はいるはず)はこの本を読んでどんな思いになるだろうか?

様々な人生の文脈があって各言葉に対する思い入れも意味合いも違う中で、表面的な言葉を捉えて"豚に食われろ"は乱暴すぎます。

著者の価値観・世界観の押しつけでしかないし、その排他性はヘイトスピーチと変わらない。少し読者への配慮を入れても、刺激性は十二分にあるはずだと想像されるので、もう少々の配慮を加えるべきです。

 

②理想>命 の違和感

日本赤軍のテロ事件、三島由紀夫の最期に対する言及を読み、著者が尊敬の念を持っていることが分かりました。また、ヘミングウェイが自身の肉体が衰えたことを見て自殺したことにも美学を感じていました。

理想に生き、それが達成できないと悟った時に自ら命を断つ行為、どこか美しさを感じる感性は分かる。私自身、中学生の時に父親が持っていた三島由紀夫の最期について特集した本を読んで、何とも惹きつけられたのを鮮明に思い出しました。

だが、読者としてこれ(理想>命)を真に受けることは危険。

理想>命とは、何かのために命(自分か他者かは関係なく)を奪うことが正当化されてしまう思考だからです。

現代で言えば、IS等の自爆テロと根本的に同じメンタリティです。

 

そんなのではなく、自身の命を理想のために使い続ける、最期まで生ききって死んでいく、それが最も勇気あるかっこいい人生ではないだろうか。高揚感やなんとなくの美しさに惑わされるべきではない。

 

この本はテキーラ的であるために何も考えずに身を委ねると、刺激があり、高揚感があり、最後には事故を起こしそうな危うさがあります。

色々書いたが全部全部引っくるめて読んで良かったです。もしご興味あれば皆さんもどうぞ。

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