深夜1時、命のタクシー

先日実家に帰っていた間に、終電で帰宅したときのこと。

父は私と入れ替わりで出張で東京に行っていて不在、
遅い時間だったので母にも先に寝てもらい
私は駅でタクシーに乗ることに。

降りたのは最寄りではないけれど車で7-8分の、便利なもう一つの別の線の駅。

学生時代は遅くなっても人が結構降りていて、
もちろんタクシーもとまっていて、
私はすっかりそのタクシーに乗るつもりでした。

でも降りてみると終電もあってか人もまばら、
タクシーも一台もいない。
コロナもあってなのか、時代なのか。
もともと決して派手ではなかったけど、
昔よりもっと静かになった気がする駅。

携帯の電池も切れてる。

さてどうしたものか。

今思えば駅で電話を借りればよかった。

しかし駅も閉まりかけていて外に歩いて行った私。

タクシーがバンバン通りそうな道まではちょっと距離があって、そこまでは家もあまりなく人通りも少ない。
気持ち悪い。

コロナで長期間夜出歩いてなかったのもあってか、
なんとなくいつもより気持ち悪く感じたのです。

話は逸れますが
本来は、警戒心が強い私。
昔から電車内で変な人がいたらこうしよう、今襲われたらこれを武器にしよう、痴漢にあったらこうしよう、こんなこと言われたらこうしてやろう、、犯罪に対してそんな事を結構いつも想定していました。
実際にうまく行くかは別として。
後ろから誰か来ても、だいたい自分が止まってその人を前に逃します。

CAになってからは、そういう警戒心を持って保安するのが仕事の一環でもあったのでなお一層その意識は強まりました。

が、そういう性分が滲み出ているのか、昔からあまり痴漢をされません。
以前、好きだと言ってくれた男の人に、「私、もし変な人に嫌なことされたらこうしようと思ってる」と、
擬似でやってみた私を見て「お願いだからもうやらないで」と言われたことがあるので、(相当気持ち悪かったらしい)
きっとそれは効果的なんだなと思っているのですが
やはりそういう場面には遭遇したくありません。


話を戻しますが、なぜか今回は気持ち悪いながらも一旦タクシーのいそうなところまで、と警戒しながら歩いて行きました。
距離にしたら本当はそんなにないだろうけれど、夜の静かな道、遠く遠く感じました。
そしてでてきた信号、その手前に、夜中も受付の光がついてるのが見える、お洒落な老人ホーム。

「何かあったら、ここに逃げ込もう」と思いながら、信号待ちをしていました。

そこに、
ブーンと、小径からバイクが曲がって来ました。


バイクのおじさんがこちらを見て

そのまま、通り過ぎながらまだこっちを見て、、る、、

「これ、引き返してくるな」
と、ピンと来た私。キャリーバッグを持ったまま猛ダッシュで老人ホームの駐車場敷地内に。
そして、玄関にいきました。

すると、案の定、少し向こうまで行った後ブーン!と引き返してきて、
老人ホームの駐車場のむこうにとまって、みてる。
本当に私がこの老人ホームに用があるのかどうかを。



あるはずなかろう、夜中の1時に。
賢い人なら一時的に逃げただけだとわかってて、そのあともう一度ノコノコ出てくるのを待ってるのかも。
実に気持ち悪い、
そう思いながらも

お人好しの私の頭の中

「いやでも待てよ、もしかして知り合い?」
「心配してるんか?」
「もしかして小娘に見えて家出と思ってる?」

一瞬そんなことがよぎりましたが

マスクで目の下から見えない、
服装や髪型から女ということだけは定かである、

=やっぱり危険性が高い

と判断しました。

ものすごい心の優しいおじいさんだったりしたらほんとにごめんなさい。でもそれならそれで良いんだけど。
こんな地元にそんな他人に危害与える不幸な人がいない事を信じたいけれど。

でもやっぱりブーン!と追いかけて来たのは怖い。


1-2分ほど経ちわたしがチャイムを鳴らすのを見たかみないかくらいで去っていきました。

こわい。
もしあのままこっちに突進して来たら。

この場所がなかったら。


あぁこわい。



さて、、

おじさんが去り



老人ホームのチャイムを、、、


キャリーバッグをひいて
ド派手なコートで


夜中の1時におす私。。


それはそれでとても怪しい。。



何してるの、、、

しかしこのままではここから身動きできない


というわけで


ピンポーン


玄関から、薄いカーテン越しに女の人が夜勤されているのが見えていて、
インターホンに出てくださいました。

「すいません、あの、いまバイクの変な人に追いかけられちゃって、怖くて、でも携帯の電池切れてて、タクシー呼びたいので電話だけお借りできませんか、、?」

すぐにお二人で飛び出してきてくださって、

大丈夫でした?怖かったでしょ、と。


もう、この時の安心感といったら。


そしてすぐにタクシーを電話してくださるも、
3社くらい連続でいない。
(そんなに田舎なわけでもないのに)
コロナでかなり稼働数が減っているそうです。

そこでお若い職員の方が、
携帯のアプリで呼んでくださり、
5分後にタクシーが。

本当に本当にありがたく、
帰省前に改めてお礼をしに行ってから帰りました。


ほんの1200円ほどのタクシー。
これで安心が買える、命が救われるんだと実感しました。
日本のこの安心なタクシー、本当に感謝。
家にたどり着くと、
可愛い可愛い愛犬が大喜びで迎えてくれて、いつも通りピョンピョン飛び跳ねながら大暴れしてるのを見て、
あぁ生きててよかった、と思ったのでした。

高校時代からの家族みたいな友達にすぐに報告すると、
翌日会った時に
「今日かなにあったらタクシーのアプリは携帯に入れときって言おうと思ってたんよ!」
充電もちゃんとして、と言われました。
心配してくれて、美味しいお好み焼きをみんなで食べて、こんな幸せな時間も生きてたからこそ。。


やっぱり人通りの少ない夜道は歩いてはいけない。
今の時代、女性だけでなく男性も危険です。
もちろんどんな理由あれ人に危害を与えることは絶対に許されないことだけど
このご時世、色んなモヤモヤした思いを抱えて生きてる人がたくさんいるからこそ
悲しい出来事が起こりにくいよう、こちら側も隙を見せない、作らない、そういう心がけも
平和な世の中作りに必要なことかも。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?