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●良いことばかりではもちろん無いぜと叫びたい。一回諦めてみるはなし●


皆様こんにちは。今井夢子です。

さて日々スペインセビージャからフィジカルシアターカンパニーの珍道中を綴っている私ですが、なんだか皆さんにお届けする文章を書こうと思うと、良いことばかり、素敵に見えることばかり書いてしまいます。

が、

全てが夢の様に素晴らしく理想通りの演劇修行の場かと言われれば、もちろんそんなこたぁ、ありませぬ。

ネガティブなことはなるべく言葉に出さないようにしている私ですが。

今日ばかりは大きな声で言わせてください。

良いことばかりでは無い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

納得いかないことは、

たっくさんある!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

あるんだよおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

そしてその最たるは、やはりコレ。

稽古時間が有効活用されないこと。

これに尽きます・・・・。

私は椿組でたくさんの演出家さんと作品を創る機会に恵まれ、いろんな稽古進行のスタイルを知ることができましたし、自身の主宰するユニットManhattan96では自分で稽古時間をデザインしています。
過去、どうやって稽古を進めていいのかわからなかったときには、たくさんの時間を無駄にしたし、その後いろんな仲間たちに怒られたり助けられたりしながら、「稽古時間をいかに有益に過ごすか」が、作品にとってものすごく大事なことだと教わってきたので、その大切さを身を持って知っているつもりです。

だらだら稽古して、稽古時間外に自主練や合わせ練までしたのに、シーンが出来上がらない。
だらだら仕事して残業までしたのに、仕事終わらない。

こういうのが本当に嫌なのだ!
ズバッと稽古して成果を上げて、残った時間をさらなる探求に使いたいワケ!

しかし、やはり日本人とスペイン人では、時間の感覚が違うのか、なんでやねん!とツッコミたくなる稽古時間の使い方が多々あります。

本当にいっぱい謎は在るんですけど、その中の最たるひとつがこれです。

「突然の来客により、稽古が中断され、2時間ほどカフェタイムが始まる」

どうか皆さん!来客を締め出そうとする心の狭いヤツだな、などと思わないでほしい。
もちろん突然の来客嬉しい!共作した地方劇団のメンバーが「近くに来たから」とおやつを持って訪ねてくれたりするの、めちゃめちゃ嬉しいしほっこりする!
私は未だにスペイン語がほぼ喋れないが、お喋りしたい気持もわかる!

しかしディレクター及び、その時稽古を仕切っているメンバーは言う。
「じゃあみんなお財布持って、カフェしにいこう!」
うっ・・・・ギリギリ私にはわからない・・・出かけちゃうの?稽古場でお茶でもよくない?だって今めちゃめちゃ稽古良いところだったじゃん!ここを詰めればシーンがぐっと良くなるという山場の稽古がまだ終わってないじゃん!せめてキリの良いところまで終わらせてから出かけよう?って思う。

そしてキリの悪いところで稽古を中断して、みんなで過ごすカフェタイム。
おおよそ2時間。

待って。

長くね!?!?!?!?!?!?!

もう2時間もコーヒー飲んでだらだらしてお喋りしたら、稽古する気にならなくない??
むしろキリのいいとこまで稽古して、2時間早く稽古切り上げて、みんなでディナー行くとかの方が良くない???

というわけで、この謎の「突然来客カフェタイム」が、いつも結構私にはストレスだったわけです。
さっき中断した稽古のことが気になるし、次のシーン稽古したいし、だらだら喋ってるこの時間で自分の作業できるじゃん・・・とか、正直ちょっとイライラしてました。

どうぞ、クソ真面目だと、バカ真面目だと笑ってくださいまし。

しかし、昨日。
私はクソ真面目から片足脱却する自分を感じました。
同じように「突然来客カフェタイム」が訪れたとき、私はつくづく思ったのです。

「ああ、また2時間カフェだな。これはもう、しょうがないな」と。

諦めたのです。

この国の人たちは、コミュニケーションをすごく大切にするし、人とおしゃべりすることが大好きだし、稽古時間に関する考え方も私とはちょっと違う。
もうそれは、違うんだから仕方がないし、そこで私がひとりでイライラキリキリしたってしょうがない。
しょうがないじゃん、っていう言葉、他力本願なように感じて今まであまり好きではなかったのですが、昨日はとってもしみじみと「しょうがないな」と思えたのです。

そしたらすごく気持ちが楽になりました。

今は今でこの時間を気楽に過ごして、あとの稽古でやることやればいいや、と思えたので、イライラして余計な体力を使うこともなく、結果稽古へのモチベーションも上がるし。
今まで言葉があまり分からないことで楽しめないのだと思っていたカフェタイムも、すごく楽しく過ごせて、ペルー人とスペイン人と日本人で、南アフリカでクジラに食べられたけど生還した動物写真家の話で爆裂盛り上がったりしました(なにそれ、って我ながら思う話題のチョイスではあるが)。

しょうがないことはしょうがない、と諦めてみるのも時には必要なんだなあと、クソ真面目な私は思います。
それは言葉を変えると「受け入れる」ということ。
今まで受け入れられずに、自分の考えに固執してキリキリしていた数々の例が浮かびます。
結果的に、疲れるんですよね、それって。何も解決してないし、なにも生産もしてないし。

今起きていることを受け入れて、そこに居る。
その方が楽しいし、自由だし、感じられることも増えるし、いっぱい笑える。
そしてやるべきことをやるべきときが来たら、その時クソ真面目にやればいいんだなと。

今年の初め、セビージャに到着したときに、カンパニーの仲間が大好きな言葉なのだと教えてくれたブルース・リーの名言が浮かびます。

Be Water My Friend

時には水の様に流れてみてもいいし、そこにある杭や岩や魚なんかで流れが変わることがあっても、私が水であることは変わらないんだなあと、そんなことを思った突然来客カフェタイムなのでした。


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