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「強みをのばす」で本当にいいのか問題。

よく「弱みは置いておいて、強みをのばそう」と言われることがあり、いろいろな意味で困ってしまう。

単純に、「強み」なるものがよくわからない。性格のことなのか。能力のことなのか。あるいは、経験の多さなのか。人との違い、優れていること、ということなのだろうか。なんだか、よくわからない。

例えば、ライオンの強みはなんだろう。足が速いこと?体が大きいこと?力が強いこと?でも、そういうのはサバンナでは役に立つのだとは思うけど、ニューヨークのど真ん中に連れてきたら役に立たないはず。とすると、強みとは環境に依存するものなのか。超一流デザイナーも、ところてん工場の製造現場で活躍は難しいだろう。それは、強みを発揮できない環境に身を置いたから?

強みとは「特定の環境下で他者よりも優位な効果を生む特質」と定義できるのとして、もしそうだとすると、強みとは多分に環境依存的なものになる。それを伸ばす、環境適応度を高めていく、ということになるのではないだろうか。

転職して活躍できるようになったという話が成立するなら、つまり、本人の能力は変わらずに環境を変えることで成果を出すことができる、のであれば、(よくわからないがそういうものがあったとして)強みを伸ばすよりも、強みになる環境を探すことの方が楽でいい気がする。本当に、強みって伸ばす必要、あるの?

そして、本当に弱みには手を付けなくていいのか。例えば、海の中にいた生物が陸上に進出する、というのは、明らかに自分に合っていない、強みを発揮できない環境を選んでいるわけです。自分が弱い環境を選んでいるとも言えるけど、でも、それをやったからこそ、新しく活躍できる場所を作り出すことができたわけで。初めてのことは、やったことがない「弱み」のはずで、すべての挑戦は「弱み」に紐づくものなんじゃないかと。

と、考えてみると、強みとか弱みとか、そういう考え方自体がいい加減というか、視点としてあまり適切ではないのでは、と思ってしまう。概念上はわかるけど、あまり意味がないというか。もっというと、単に、自己肯定感を高めたいがための方便なんじゃないかと。

なので、強みを伸ばす、弱みは放っておく、は信じないようにしようと思ってます。自分の配偶者がそういって、洗濯物たたまないで、アイロンがけの技を磨いてたら、それ違うでしょと言うはず。だから、そういうことなんだと思います。


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