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「“非効率”を愛する」—効率優先で忘れかけた豊かさに巡り合う【Z世代の新・起業論】

コロナ第8波…うんざり気分がまん延するなか、気候変動や国際情勢も見通せず、国内では約30年ぶりの円安で身近なモノの値上げが続く—。
VUCAと呼ばれるこうした予測不可能な状況に向き合う中で、これまでの社会のあり方や働き方に“違和感”を感じはじめている方も多いのではないでしょうか。

個人の価値観が変化しているだけではなく、起業家のなかにも、これまで常識とされてきたアプローチを疑い、これからの「豊かさ」を求めて事業を展開されている方々がいらっしゃいます。

そんな起業家をシリーズで紹介しているのが、ひろしま創業サポートセンターが発行する「Z世代の新・起業論」です。

第1回はこちら↓↓

続く第2回で取材した起業家は、「ししゅうと暮らしのお店 itobanashi」代表の伊達文香さんです。お店は、東広島市志和町で月に3日だけ営業しています。

聞き手は、コワーキングスペース「co-ba hiroshima」でコミュニティーマネージャーを務める井口いのくちみやこさん。Z世代の学生と一緒に働く立場として素直な気持ちをぶつけます。
おふたりの会話を覗かせていただきました。

好きなことをやり続ける…“非効率”を愛する伊達さんのお話

月に3日だけ営業する「itobanashi」の店内。どこか懐かしさを感じられる古民家で、並べられている品物もつい触れてみたくなる品々ばかりです。

人文系私設図書館「Lucha Libro」(奈良県東吉野村:前回note参照)とはまた違う時間の流れを感じますね。こちらもなんだかゆったりとした雰囲気で、なんというか、伊達さんもスタッフの皆さんも、そしてお客様もせかせかしていない。自然と笑顔があふれます。

この不思議な魅力に惹かれ、3日しか開いていない営業日めがけて、毎月来店されるお客様も多いそうです。

私の場合、毎月必ず行くお店って実はありません。
『もっと営業日を増やせば売上も上がるのでは?』とご助言いただくこともありますが、今の営業スタイルだからこそスケジュールに書き込んでまで来てくれるお客様もいらっしゃいます。

効率や利益を追い求めることもある面では大事ですが、いいものを扱えば、お店に対するお客さんの信頼は得られると思っています。“いいことをしている”とも違う“いいものを扱っている”ということ。SDGsのような社会貢献的な意味合いだけではなく、純粋に“いいな”“かわいいな”と思ってもらえるものを扱っていきたいし、手仕事による品々はそのような魅力にあふれています。

ししゅうと暮らしのお店 itobanashi 代表 伊達さん

……おっと、もう少し書きたいところですが、伊達さんの詳しいお話はぜひ本編でお読みください。

井口さんが感じたこと

ここ最近の私、余白がなかった

さて井口さん、インタビューを終えていかがでしたか?

『“非効率”を愛する』という伊達さんのお話を聞きながら、ここ最近のスケジュールを思い出していました。なんだかいつも何かの締め切りに追われて、余白がまったくなかったなぁと。
昔はもらった服を自分で縫い直したりするなど、心豊かに過ごすこともあったのに…最近は平日にできなかったことを休日に片付けたりして、自分のためのお休みもあまり取れていませんでした。

コミュニティーマネージャーとしては、手を動かす時間と、ぼーっと考え事をする時間、どちらも大切です。あえて何もしない“余白”の時間を意識した働き方をしていきたいなと思えるインタビューでした。

コワーキングスペース「co-ba HIROSHIMA」 コミュニティーマネージャー 井口さん

コワーキングスペースの運営やイベントの企画、起業者やスタートアップを含め、様々な人と会う機会も多い井口さん。
いい企画、いいサポートのためにも、一見“非効率”に思える時間の使い方が井口さんの魅力をさらに引き出してくれるかもしれません。


EDITORIAL NOTE —小林のつぶやき

締切に追われて、効率を求める日々…うぐ、私も思い当たる節があります…。
考え事をしていても、いいアイディアが浮かばないともやもやして、考え事をする時間を楽しめていないかも。

なんでも効率的にさっさとこなすことが善で、時間がかかりすぎることは改善すべきと考えがちかもしれません。もう少し“余白”とか、“ムダ”に思えることも楽しんで生きたいと、私も感じました。

あ、でもひとつだけ!
着物をユニフォームにしている私は、着替えにも手入れにも手間暇かけて“非効率”を楽しめているかも。

『いま、い“こ”』 小林祐衣

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