外出自粛が続いた後、久しぶりに登山に行く人に注意して欲しい7つのこと
緊急事態宣言が解除され、山にも登山者の姿が増えてきました。
「やっと山の空気が吸える!」
そう喜び勇んで山にでかける方も多いことでしょう。
ただ、久しぶりに登山する人には注意して欲しいことがあります。
1.思っている以上に体力が落ちているものと思う
あなたの体力は、あなたが思っている以上に落ちていると思ってください。これは登り始めればすぐにわかります。
「いつもより体が重いな」
「いつもより息が上がるな」
歩かないと筋力も心肺機能も低下します。
「外出自粛中も定期的にウォーキングをやっていたから大丈夫」と思う人もいるかもしれません。残念ながら、ウォーキングの効果はあまり期待できないでしょう。平地を歩くのと山を歩くのでは、使う筋肉が違うからです。
男性は特に認めたがらないものですが、まずは現状を受け入れるところからスタートすることをお勧めします。
決して過信しないでください。
2.装備の点検をする
出かける前に、一通り装備の点検をしてください。当たり前のことですが、とても大事なことです。特に「“山では重要”と言われる装備」については、念入りにしてください。そう、靴、レインウェア、ザックなどはしっかりと。
登山靴で多いトラブルは「ソール剥がれ」です。たまに遭遇しますし、登山道にも剥がれたソールが落ちています。久しぶりに履く靴は要注意です。
原因は保管方法にあります。大事に箱にしまって保管していませんか?ソールの劣化につながります。山に出かける前によく点検してください。ついでにほつれや靴紐などもチェックしましょう。
レインウェアも家で着てみてください。一度雨の日に着てみて、撥水状態を確かめてみるとなおいいです。付属の小さな袋の中にぎゅっと押し込まれたまま何ヶ月も放置されていませんでしたか?生地が劣化していたり、撥水効果が落ちていたりします。そのまま気がつかずに山に行って雨にあったら、全身濡れて低体温の恐れがあります。
ザックも点検しておきましょう。こちらも防水性を高めておきましょう。バックルなどのプラスチック部品は経年劣化でパキッと壊れやすくなってきます。「ホコリがかぶらないようにビニール袋に入れて押入れの中に入れっぱなし」にしてなかったですか?靴もレインウェアもザックも、すべて「風通しのよい所」で保管、ですよ。
その他、ボトル、ハイドレーション、ストック、ヘッドライトなど持っていくものは出かける前にすべて点検しましょう。
3.熱中症に気をつける
日中の気温が25℃以上の夏日になってきました。特に低山の場合、山に行っても暑いです。また雨の時期になると、カッパの中に熱がこもって脱水症状になることもあります。
そもそもこの時期はまだ体が暑さに慣れていません。上手に体温調整ができずに、バテたりフラフラしやすいです。加えて「外出自粛による運動不足」です。その間ジョギングなどで汗を流していた人は「汗をかける体」になっていますが、そうでない人は汗をかく機能が低下しています。すると汗がかけないため、体温を下げられずに体内に熱がこもってしまい、熱中症のリスクが上がります。
少しずつ「汗をかくトレーニング」をすることをお勧めします。そして登山に出かけた時には、いつも以上に水分補給を意識してください。
4.道が荒れているかもしれません
コロナの影響でこの春は登山する人が少なかったです。大勢の人が歩けば自然と道はきれいに歩きやすくなっていくものですが、登山者が少なかったということは、道が荒れている可能性があります。
加えて、普段登山道を整備してくれている方の手が回っていない可能性があります。道はすぐに傷んでくるものです。定期的に「道直し」が必要なものです。今まではそれをやってくれている方のおかげで快適に歩けていましたが、今年の春はちょっと事情が違っているかもしれません。
「今年の山はいつもとは違う」という心づもりで山に入りましょう。
5.いつも以上に転倒に気をつける
いつも以上に転倒に気をつけてください。思っている以上に転びやすくなっている上に、骨折しやすくなっているかもしれません。
1つ目の理由は「体力の衰え」です。登山から遠ざかっていると、登山で使う筋力が衰えます。これにより、思っているより足が出ていなくてつまづいたり転びやすくなります。長い下り坂では膝がガクガクになるかもしれません。またバランス感覚の衰えも大切なポイントです。普段意識的にトレーニングをしていないと、鍛えることが難しいからです。
2つ目の理由は「道が荒れている」ためです。
・道が崩れている
・石が浮いている
・落ち葉が積もっている
など、転びやすい状況はたくさんあります。
3つ目の理由は「骨がもろくなっている」可能性です。外出自粛生活で日に当たっていなかった人は、ビタミンDが不足して骨がもろくなっている恐れがあります。また骨の形成・強化には適度な衝撃が必要ですが、運動不足でそれができていない恐れがあります。つまりちょっと転んだだけなのに、骨折につながる可能性があります。
「登山口で転んで手首を骨折した」という例もあります。ぜひ最初から最後まで気を抜かずに注意しましょう。
6.何かあっても対応できるようにする
これらのことから「何かトラブルが起こるもの」と思っておきましょう。
・バテる
・膝がガクガク
・怪我をする
・熱中症になる
・装備に不具合が出る ・・・etc.
“取り越し苦労”くらいでちょうどいいです。
そして、「何か起こっても対応できる手立て」を何重にも持っておきましょう。
・短い山行(例えば半日)から始める
・行き慣れた山に行く
・アクセスしやすい山に行く
・グループで行く(一人で行かない)
・ガイドと行く
色んな対策が考えられることでしょう。
いつも以上に慎重になってください。
「今まで登山に行って、そんなことは一度も経験したことがない」と言う人もいるでしょう。でも「だから今回も大丈夫」とは思わないでください。なぜなら「今まで一度も経験したことがないこと(外出自粛)を、私達は経験した」のですから。
7.登山で免疫力が下がる!?
「運動をすれば免疫力が上がるし、自然の中でおいしい空気を吸うことは体のためにいいんだ」と思いますよね。確かに登山に行く理由の一つに「健康のため」という方は多いです。
有酸素運動のような適度な運動は確かに免疫力が上がるでしょう。一方で「激しい運動をすると免疫力が下がる」という報告があります。
登山の場合「おしゃべりができるくらいのペース」で歩けば前者に当たるでしょう。ただ「ゼエゼエ、ハアハア息を切らしながら登る」のは後者に当たるかもしれません。そもそもそういう歩き方は体力を消耗し、“トラブルのもと”です。
「楽しい登山から帰ってきたら変な病気にかかってしまった」なんてことにならないように、ゆっくり楽しみながら歩くようにしましょう。
なお「体力の低下」「装備の不具合」「熱中症」というのは、毎年この時期の“あるある”だったりします。今年はそれに加えて異例の“外出自粛生活”です。いつもとは違う春を迎えていることをくれぐれも念頭に置いてほしいです。
事故の大きな原因は「過信」「不注意」から起こることを知っておいてください。どうか楽しい登山になりますように。
ちなみに、少しずつ体を慣らしていくための「リハビリ登山」を企画しました。当面は長野県内の方のみが対象になりますが、よかったらご参加ください。
また、長野県の山に登ろうとされている方は、こちらも参考にしてください。
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