見出し画像

『ツイクストをめぐる冒険』#1 2021年 日本のツイクストのシーン

さて、『ツイクストをめぐる冒険』の#1では2021年の日本でのツイクストシーンを説明したいと思います。

今回の記事は無料記事となります。

■GP版以前のツイクスト

GP版が出る前の状況はこんな感じでした。

ボードゲームデザイナーとして有名なアレックス・ランドルフのツイクストは名前は知られるものの日本国内の数は少ないものでした。ごく初期の3M版などは日本で正式に販売されたものの、量としては少ないものだと思われますし、シュミット版やコスモス版などいくつかのバージョンも同様でオセロや将棋などのようにプレイシーンを作るほどの量ではなかったと推察されます。

2016年前後に発足した私の所属する日本ツイクスト協会は細々とですが中古ツイクストの輸入と販売を行っていましたが100~200程度の販売を行ったくらいですので、プレイシーンを大きくするほどの数ではなかったと思います。

■2020年GP版ツィクストの発売

GP版ツィクスト*は2020年11月前後に発売されました。GP版ツィクストは2020年のゲームマーケット秋で広く発売開始されたという感じですので、現時点では半年ほど経過したところですね。


ツィクスト

GP社のツィクストとこれまでのツイクストとの大きな違いは、ペグに上下がある所と盤自体にピースを置くためのポケットがある点ですね。この2つはツイクストのプレイヤーとしては割と嬉しい変更で、上下のサイズが違うためプレイ中に転がってもテーブルからこぼれ落ちることが少なくなりました。

*個人的にGP版を指す場合は敬意を評してツィクストと表記するようにしています。それ以外の場合はツイクストと表記します。

■GP社さんのビジョン

GP社さんのツィクストの発売に際して、GP社の方と日本ツィクスト協会の私や副会長のねくろん氏とで何度かミーティングを行ってきました。因みにtable games in the worldの小野さんにGP社さんとの縁を繋いでいただきました。

お話を伺った上でのGP社さんのツィクストに対するビジョンはツィクストをロングテール戦略で売っていこうというようなものだと捉えました。

GP社さんの有名タイトルといえば『カタンの開拓者たち』通称カタンですよね。GP社さんがカタンを盛り上げるために行っているPR活動はボードゲーム業界の中では有名だと思います。カタン日本選手権を主軸として様々な活動を行っていますよね。

つまりはGP社さんはカタン日本選手権で行っているような競技シーンを提供する事でツィクストを盛り上げていこうと試みているのだと、私は捉えています。

ただ、今現在のコロナ禍の状況で人が多く集まるようなイベントを大々的に行えなくなっており、展開が難しくなっています。

■ツイクスト強豪の集う店など

さてGP版ツィクストが発売された事によってツイクストのプレイシーンもだんだんと盛り上がっていくのではないかと思います。その中で、ツイクストの強豪プレイヤーが集う場所などを紹介したいと思います。

ゲーム盤自体の普及が始まったばかりなので、いきなり国内トップのプレイヤーと気安く遊ぶことが出来ることや、今からプレイングの研究に自ら参加出来るのが魅力かもしれませんね。

画像2

樹林さんは今もっとも日本でツイクストの盛んな場所ですね。毎月第一金曜日はツイクストのイベント日とされていてプレイヤーが集まります。日本国内でツイクストの強いプレイヤーと遊びたかったら一番に行ってみるべき場所ではないでしょうか。

囲碁・将棋喫茶ということもあって二人用アブストラクトゲームに対して忌避感を持つプレイヤーは居なくて競技的な場が成り立っていて面白いです。店長さんや、たりうる氏、Mr.bule氏、エサ氏などが強豪プレイヤーとしていらっしゃいます。

画像3

庵さんは三重県桑名駅前にあるお店で、立地的に名古屋から近い事もあって名古屋在住の私や副会長とで月一回のツイクスト例会を行っています。

桑名七盤勝負という囲碁(9路)、将棋、チェス、オセロ、連珠(競技五目並べ)、どうぶつしょうぎ、バックギャモンの7種類を同時に行い、先に4勝した方が勝ちになるという競技を行っているお店でもあります。

私や副会長以外には、チェスプレイヤーである鈴木夫妻やお付き合いでプレイしていくうちに強くなった店員さんのゆみこさん等がいらっしゃいます。

■MSO-マインド・スポーツ・オリンピアード

さて、2021年の今現在でのツイクストの国内での競技的な大会などは存在しないのですが(協会で2019年に実験的に開催したことがありますが)。

マインド・スポーツ・オリンピアード wikipedia

国際的にはマインド・スポーツ・オリンピアード(以降MSO)という大会が存在します。MSOは簡単に言ってしまえばボードゲームで競うオリンピックです。チェスやバックギャモンやカルカソンヌなどと共にツイクストもその一つとなっています。

--MSO 2019年大会でのツイクスト

このMSOは、コロナ禍の状況に対応するため去年からオンラインでの大会運営となっていて、それによって日本からの参加も可能になりました。参加資格のための大会があるわけではないので参加は容易そうです。たぶん、多数の参加者が居る場合は日本国内で調整を行う事になるかと思いますが。ただし、大会の運営地がイギリスなので日時によっては深夜のプレイもありうるかと思います。

日本ではまだまだ競技的な大会の無いツイクストですが、いきなり世界大会のMSOを目指してみるのはどうでしょうか?

■リトルゴーレムとツイクストボット

さて、現在ツイクストをプレイ出来るサイトにリトルゴーレムというサイトがあります。スマホなどのアプリでプレイ出来るものはなかったと思うので、ネットでプレイ手軽にプレイしてみるにはおすすめのサイトです。

リトルゴーレムは海外のターンベース(1手を決めるのに数時間から数日まで使える)のゲーム対戦サイトで、いくつかあるゲームの中にツイクストも含まれています。そのため、海外でのツイクストプレイヤーが活発にプレイしています。

個人的には、自分の環境ではワンプレイ30分~60分という対局時間でプレイすることが多いので、ターンベースのゲームであるためプレイのリズムが違っていてちょっととっつき難い所がありますが、なかなかレベルの高いプレイヤーと巡り合う機会が無いなんて人は触ってみると良いかもしれません。

さて、そんなリトルゴーレムの中にはツイクストbotというAIプレイヤーが存在します。ツイクストbotはAlphaZeroの技術を使用して作られているツイクストのAIです。

ツイクストbotと戦ってみた感想としては「ものすごく強い」AIでした。というか異次元の強さであり、参考にしたプレイをするのもなかなか難しいのではないかなと感じました。

リトルゴーレムではこうった最強AIのツイクストbotとも対戦出来るようになっているので、興味ある方は実際に対戦してみることをおすすめします。

■まとめ

さて、今回の内容をまとめるとGP版のツィクストが発売されましたが、コロナ禍でなかなかイベント等を行う事ができないツイクストの状況ですが、将来的には競技的なシーンが整えていければと言った所で、海外ではリトルゴーレムやマインドスポーツオリンピアード(MSO)などの競技シーンがあり、MSOについては日本から参加するのも不可能ではないという感じです。

まだまだ始まったばかりの日本でのツイクスト、この機会にあなたも始めてみてはいかがですか?

インデックス 『ツイクストをめぐる冒険』-はじめに
次回 #2ツイクストとはどういうゲームか?

ここから先は

0字
7人以上のライターが月に1本以上、書いています。是非、チェックしてください。

アナログゲームマガジン

¥500 / 月 初月無料

あなたの世界を広げる『アナログゲームマガジン』は月額500円(初月無料)のサブスクリプション型ウェブマガジンです。 ボードゲーム、マーダー…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?