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『ボードゲームよもやま話』フィラー・ゲームという考え方

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アナログゲームマガジン|秋山真琴|note

■フィラーゲームとは何か?


ボードゲームのことばの中にフィラーゲームということばがある。
フィラーの語源を調べてみると以下の通り。

filler
• 空白・空間に何かを詰める人または装置。
• 空白・空間に詰められる/満たされるもの。

                      wikipediaより

filler
1可算名詞 満たす人[もの], 詰める人[もの].
2不可算名詞 [また a filler]
 a(新聞・雑誌の)埋めくさ.
 b(重さ・量などを増すための)混ぜ物,詰め物.
 c(板穴などの)埋め木,充填(じゆうてん)材.
                     weblioより

簡単に言えばフィラーとは何かと何かの間にある空白を埋めるもの、といったところかと思う。
これらの語源を鑑みて語ると、ボードゲームにおけるフィラーはゲームとゲームの間に入るのがフィラーゲームということになるかと思う。ゲームとゲームの間を埋める存在として、またゲームが登場するというのは一見すると変な話だと思う。単純に連続してゲームをしているだけなのだから。
けれども、ゲームを恒常的に楽しんでいるゲームプレイヤーにとってはしっくり来る感覚だとも言える。
本来的には空間や空白を埋めるフィラーだが、ボードゲームにおいてはプレイ時間のスパンの中で時間的な空白を埋めるものとして定義されているように思う。

例えば、自分のケースで言うと。自分のボードゲームに対するモチベーションのメインどころは長時間ゲームのプレイが中心となっている。主にゲーム会でボードゲームをプレイする環境で、その中で考えると「ゲーム会中に2回か3回くらい長時間ゲームが出来れば良いかな」という意識になっている。
そうなると、こういった長時間ゲームのプレイ環境で、間に挟まれるフィラーゲームとなると30分~1時間程度のゲームかなという意識になる。

ここで気づくのがフィラーゲームとはカテゴリーのようでカテゴリーではなく、またシステムやメカニクスでまとめられるようなものではないということ。
「面白いダイスゲームはこれだ」とか「今、最新のワーカープレースメントはこうなっている」などと言う感じで、カテゴリーとして同列に語ることができないのがフィラーゲームだということ。
それは先に説明したように、何がフィラーゲームかはそれぞれのプレイヤーがどういったプレイ環境やプレイスタイルをしていて、どのようなゲームにモチベーションを持って時間を使っているか、人それぞれ違うからだ。

フィラーゲームはカテゴリーではない。

昨今ではフィラーゲームという表現はそれほど盛んに使われている様子は見て取れないけれども、誰かにとってのフィラーゲームが自分にとってのフィラーゲームにはなりにくい。というかならない可能性が高い。
それはあくまでメインのボードゲームに対する価値観がサブとしてのフィラーゲームを形作っているからで、フィラーゲームへの語り口を考えるにはそういったメインの価値観について理解していないと判別つかないという事に留意しないといけない。

■私のフィラーゲーム事情

さて、そういった前提の上で今までの自分の環境で「これが良いフィラーゲームだったな」と思えるゲームを、個々のケースも交えて紹介して見ようと思う。

振り返ってみると自分はいくつかのボードゲーム会やボードゲームイベントを主催してきた。その中でカレーゲーム会という、カレー屋さんのお店の一角をお借りしてゲームをするという会を行ったことがある。
お店にもメリットが無ければいけないので、まずカレーを注文して食べ終えてからその後にゲームをするというちょっと変な感じの会を開いていた。
ちなみに、お店は今は無くなってしまった(名古屋店)が全国いくつか店舗のあるスープカレーのお店のマジックスパイスさんの名古屋店さんにお願いしてやらせていただいていた。

実施曜日は平日の夕方から。
参加者のみなさんは基本的に社会人でお仕事終わりに来る人が大半でした。そういう状況なのでお店に着く時間もまちまちであり、食事をしてからの参加なのでその時間も差があります。普通のゲーム会よりも参加時間がバラバラで一つのゲームをはじめると、次に来た人の待ち時間が発生しやすいんですね。
そこで重宝したのが「ハイパーロボット」と「ナインタイル」です。

まず「ハイパーロボット」の説明をしますと、「ハイパーロボット」はランドルフ作のパズルゲームです。お題のチップを捲って、その場所にその色のロボットフィギュアを移動させる手数を宣言するというもの。ロボットは直線移動で壁や障害物にぶつかるまでは止まる事ができず、宣言された手数より少ない手数を制限時間内に言って成功すれば勝ち取ることが出来ます。

ハイパーロボット

「ハイパーロボット」がカレーゲーム会にマッチしていたのは、途中からでもルールを知っていれば参加可能であることと、例えルールを知らなかったとしても説明が簡単なのでゲーム途中でも説明しながら参加してもらえる所。さらに、ボードを視認出来ればプレイ人数を限定しない点。また、本質的にはパズルなのでスコア多寡の部分を気にしなければ、プレイの本質的な楽しさを途中からでも味わってもらいやすい。そして、一つのラウンドで区切りやすく、参加者が集まってきたら終了して卓分けしやすい。
こういった点で「ハイパーロボット」を重宝することが多かった。

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