『ツイクストをめぐる冒険』#3 ツイクスト初心者が押さえるべき戦術
自分は日本ツイクスト協会の一員としていろんな場所でツイクストのルール説明をしていたりします。それに加えて余裕があれば、ツイクスト上達のコツも伝えることもしています。
今回は、自分がツイクストを始めたてのプレイヤーに伝えるようにしている上達するコツをnoteの記事として書いていきたいと思います。
今回の記事は有料記事となります。
■ツイクストは挿す
今回の話とは全く関係ないけれど、ちょっとこの話を挟みます。
伝統ゲームにはその一手を表現する固有のことばがあります。将棋で言えば「指す」。囲碁で言えば「打つ」。他のオセロや連珠(競技の五目並べ)にもあるのかもしれません。
日本ツイクスト協会でツイクストのテクニックを整備していく時に多くが囲碁用語から引用しました。その中でツイクストの一手を表現する時に選んだのが「挿す」だったりします。
ちなみに、ツイクストのテクニックの殆どが副会長のねくろん氏が整備してくれました。ツイクスト用語についても同様です。
■序盤の布石の挿し方の3つのポイント
ツイクストのルールを説明したあとに「じゃあ、どうすれば強くなるの?」という疑問に答える時に伝える3つのポイントがこちら。
「この3つのポイントを自分のものと出来れば中級者くらいにはなったと言えるでしょう」とよく対面で言ってます。
今回はこの3つのポイントについて解説していきたいと思います。これらを押さえることでツイクストの技術が向上して行きますので、ツイクストを始めたてのプレイヤーさんなどは参考にしてみてください。
基本形というのは何かというと、ツイクストでの強い形みたいなものです。英語ではセットアップと表わされていますし、GP版のツィクストでもそうなっていたかと思います。日本ツイクスト協会ではGP版以前にツイクストのテクニックをまとめたこともあり基本形と表現して、それぞれ囲碁に因んだ日本語名をつけています。
基本形の性質として2つの特色があります。
1つ目は2つのペグを一気に繋ぐことができる点です。ツイクストでリンクを繋ぐには桂馬の位置関係にあれば手番を消費せずにかけることが出来きますから、それを利用すれば2つのリンクをかけれるということです。
2つ目は基本形では繋がる場所が2箇所あることです。どちらか一方の穴を塞いでも、もう一方で繋ぐことができます。
基本形を覚えるというのは、単純に知識として知っているというだけではまだ不十分です。自分が基本形を使えることと、相手が基本形を使ってきたらそれに気づくことが出来ること、この2点を実践できることがツイクストの実戦で使える「基本形を覚えた」という状態なのです。
▲基本形(セットアップ)にはどんなものがあるか
以下、5つの基本形を画像つきで説明していきます。それぞれの基本形はバツの部分にペグを挿すことで黒の2点間にリンクをかけて繋ぐことができます。
三間ビラキ(ビーム)
三間ビラキは基本形の中で一番長い距離を繋ぐ事ができる形です。直線的なので切られたらリカバリーがし難いです。2点間に穴が3つぶんあるので「三間(サンケン)」。
ナナメ二間(ティルト)
ナナメ二間は長い距離をげる形でありつつ、斜め方向の形なので進路上を邪魔された時などに避けることもできます。直線的なので切られたらリカバリーがし難いです。2点間で斜めに穴が2つぶんあるので「ナナメ二間(二ケン)」。
大ゲイマ(コイン)
大ゲイマは距離もそこそこ有りつつ、角度があるので邪魔された時に一番切られにくいし切られてもリカバリー出来る事があります。
見落とされやすい形の一つでもあり、ツイクストの実戦で一番使える形でもある。リンクが繋がる桂馬よりも1穴ずらした位置関係のため大きな桂馬で「大ゲイマ」と呼びます。あと囲碁用語にも因んでるらしいです。
一間ビラキ(メッシュ)
一間ビラキの距離はとても短い。先の3つのように距離を稼ぐためには使わないです。別々のフィールドから来た繋がりどうしをこの形を使って切られないようにするという使い方をします。
角度があるので邪魔されにくい。見落とされやすい形の一つだが、初心者の戦いでは出にくい。2点間で間に穴が1つぶんあるので「一間(イッケン)ビラキ」。
コスミ(ショート)
コスミの距離はとても短い。先の3つのように距離を稼ぐためには使わないです。別々のフィールドから来た繋がりどうしをこの形を使って切られないようにするというような使い方をする。角度があるので邪魔されにくい。見落とされやすい形の一つだが、初心者の戦いでは出にくいです。囲碁用語から採用されて「コスミ」。
距離の短い「コスミ」や「一間ビラキ」については上記の図の白ような感じで盤上に散りばめた布石を繋げていくさいに使用して、間を切られないようにするという使い方をします。
上記の図だと白は一間ビラキを作ってますね。
■②シチョウを読めるようにすること
次はシチョウについて説明します。シチョウもまた囲碁用語から取られた言葉です。ツイクストで発生するシチョウと似ていることから、そのままツイクストでもシチョウと呼ぶことになりました。
白の勝利条件は上から下へとリンクを繋ぐことです。黒は左から右へとリンクを繋ぐことが勝利条件です。
上記の図では白は下へ行きたいと①と進み、黒は白に行かせまいと②と阻みます。
これをどんどん互いが譲らずに並行に進んでいくと上の図のような形になります。ツイクストにおけるシチョウとはこの様に並行に互いが譲らない流れのことを言います。
上の図の情勢をについては黒が優勢のシチョウですね。補足すると黒のラインを越えられるのは黒プレイヤーのみというツイクストのルールがあるので、黒が右側のラインを越えることを白は防ぐことが出来ません。
では「シチョウを出せたから黒は勝てたんだ」というかというと、話はそう単純ではありません。次の図をみてみましょう。
この図では白が自分のラインへと到達出来ています。白が下へと到達出来たということは黒にとっては左へと到達出来ない状態でもあります。
ここで重要なのは最初の図も今回のも白と黒の初期位置は同じということです。実はシチョウはそれ自体に有利不利はないものです。重要なのはシチョウが発生する時の位置関係によって有利不利が決まるということです。
因みに、青線で示された線はヘルプラインと呼ばれる線です。シチョウの見極めを視覚的に簡単にする為の線です。この線が描かれたツイクストは無いのですが、プレイの手助けになるので実コンポーネントをお持ちの方は線を描いてみることをおすすめします。マスキングテープや消せる鉛筆など使って描いてみると良いでしょう。
ここから先は
アナログゲームマガジン
あなたの世界を広げる『アナログゲームマガジン』は月額500円(初月無料)のサブスクリプション型ウェブマガジンです。 ボードゲーム、マーダー…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?