蒐集家、久遠に出会う 第一章 七、起動開始
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ぼんやりと、椛は向き合う「親子」の姿を眺めていた。父と呼んだ存在をじっと見上げる刑部姫に、姫路は反応を示さない。静けさに満たされていた部屋の空気を、突如真木が打ち破った。
「刑部姫さん、わたし達を監視していたんですか?」
真木が強く足を踏み込んで掴み掛ろうとするのを、椛は咄嗟に止めた。友の手首をこちらへ引き、ここ二週間ほどを過ごしてきた久遠が何を言うか待つ。刑部姫はあっさりと、真木の問いに肯定した。「七分咲き」の外で彦根の依頼を聞いていたとも、