六段の調べ 序 三段 二、宮部玄
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屋敷の扉前では、何人かの門番がシャシャテンを見るなり頭を下げた。彼らの視線を受けながら、清隆は玄関で靴を脱ぐ。冷たい木張りの廊下には、山より吹く肌寒い風が吹き込んでくる。左右に並ぶ部屋は青竹で出来た簾――青簾によって中が見えない。突き当たりの部屋から女官と思しき人々が出てきて列を作り、シャシャテンに礼をした。彼女に続いて清隆たちが通り過ぎると、女官の多くはひそひそと声を立てる。それが陰口を言っているようにも聞こえ、清隆は密かに腹を立てた。
「そ