見出し画像

イーロン・マスクの会社買収で消えたTwitterの永久リモートワーク

※本記事は2022年11月に執筆し、株式会社イマクリエの会社ホームページに掲載していた記事をnoteに移管しています。


マスク流Twitter再建。第一歩は大規模な人員整理

マスク氏は、Twitterを買収するや否や、CEOとすべての役員を解任しました。また、全世界のTwitter社員の半数にあたる3,700人をレイオフ(一時解雇)するなど、マスク流Twitterの経営立て直しを推し進めています。

永久リモートワークが消滅

大規模な人員削減を免れTwitterに残ることとなった社員たちも、喜んでばかりはいられません。

Twitter社は、work⁻from-anywhere(どこから働いても良い)ポリシーを導入し、全従業員に対して永久にリモート勤務を認めています。社員はTwitterのオフィスから遠く離れた地域に住みながら完全リモートで働くことが可能であり、テレワーク先進国と言われるアメリカの中でも、もっとも進んだテレワーク勤務のポリシーを持っている会社のひとつとして知られています。

この永久リモートワークは、Twitterの社員たちの間でとても好評で、2020年6月に社内で取られたアンケートでは70%の社員が、最低週に3日は在宅勤務を利用したいと回答していました。

一方、イーロン・マスク氏はテレワーク反対派として有名で、彼がCEOを務めるテスラとスペースXでは、社員に向けて「最低週40時間オフィスで働かなければ、クビ」という内容のメールを送り、事実上のテレワーク禁止令を出しています。

アメリカのビジネスやテクノロジーニュース専門サイトのビジネスインサイダーの記事によると、マスク氏がTwitter社のCEOとなったいま、Twitter社は在宅勤務を取りやめ、社員にはフルタイムの出社勤務を求めています。出社勤務を再開するために引越が必要な社員には、60日の期限が与えられていると言われています。

また、Twitterではコロナ禍に毎月、全社的な休日として「Days of Rest(休息日)」が導入されていましたが、これもマスク氏により取り消されました。

在宅勤務がダメなら会社を辞める?

在宅勤務についての研究を行っているWFH Researchが2022年3月に発表した調査結果「世界の在宅勤務」によると、会社が在宅勤務を止めて、週5日フルタイムの出社勤務を求められた場合に、回答者のうち約15%が会社を辞めるか、他の仕事を探すと答えています。

今回のTwitterのケースでは、単なる在宅勤務の終了にとどまらず、不透明な会社の将来、企業カルチャーの大きな変化、大量人員整理による業務分担の増加など、社員が転職を考えるのに十分な理由がいくつもあるため、解雇を免れた社員たちが自主的に退職し他社へ転職をしていく可能性があると思います。

実際にTwitterの社員は、マスク氏による会社買収のニュースが出た2022年初めから自主退職し始めていて、これまでにすでに1,000人以上がTwitterを去っています。ビジネス系SNSのLinkedinの分析によると、直近3か月にTwitterを辞めた社員約580人のうち30%以上は、競合のテック企業であるMetaやGoogleへ転職しています。

世界中で優秀なIT人材の採用競争が続いている中で、Twitterは優秀な人材を競合他社へ奪われる形となったわけですが、これが今後のマスク氏のTwitter再建にどのような影響を与えるのか、興味深く見ていきたいところです。

まとめ

イーロン・マスク氏の企業買収により、一夜にして変わってしまったTwitter社。
この様子をヨーロッパの人々は驚きをもって眺めているかもしれません。というのも、アメリカの労働法には、まだ柔軟な働き方の権利が謳われていないため、今回のTwitterのように、企業は自由に在宅勤務を取りやめ、社員に出社を求めることができますが、ヨーロッパでは少し事情が違うようです。

最近ヨーロッパで行われた労働者のアンケートでは、企業による強制的な出社命令を「違法」にすべきだと望む人が多数を占めました。
そして、実際にヨーロッパのいくつかの国々では、働き方の権利を法律で守ろうという動きが出てきています。

ヨーロッパのテレワーク事情についての記事もアップしますので、どうぞお楽しみに。

https://www.imacrea.co.jp/corporate/tw_diagnosis/

出典