見出し画像

まいにちてがき絵日記 | No.389 | ある旅の記憶 「台北の食堂での一杯」

画像1

「日本は本当に菜食の歴史が長かったんだな…」
自分でも意識していなかった考えが台北の旅の途中で突然たしかなものになって実感したことがあった。
周りくどい言い方をしたけれど、中華圏の肉の調理の仕方と日本のそれには圧倒的な差があると感じたのだ。
そこはたしかどこかの駅の近くの食堂で、黄緑色の店内だった。ような気がする。近くには公園があって市場があったんだっけ?そのへんの記憶はひどくぼんやりしている。お店の人はわたしたちが日本人であることがわかると物珍しそうにじろじろみてきたから観光客メインのお店という雰囲気ではなかった。
わたしはそこで麺を食べた。清んだスープで上にはゆで鶏がのったやつだった。それでその鶏肉は衝撃的な、日本では食べたことのないおいしさだった。
よくよく聞いてみると、おいしさの秘密は鮮度であるらしかった。新鮮な鶏肉が手に入らないとつくらないという。
そこは別に高級料理店でもない。一般的な食堂である。もしかしたら、この店には特別なこだわりがあったかもしれないが、その店の食事をきっかけに以前食べた中華圏の肉料理が手がこんでいておいしかったことを次々思い出した。
優劣の話ではない。もちろん日本の肉料理もすきだ。とんかつとか、生姜焼きとか。でも、なんかどこかで肉であればよしみたいなところが日本の食堂にはあると思う。よくいえば、こだわりがなくて柔軟。
一方で、中華圏の肉文化は成熟していて、どの肉のどの部位をどんなふうに調理するかというのが確立していて、こだわりが強いのではないか。
そんなふうに、それが本当かどうかはわからないが、台北の食堂の片隅で食文化の違いに思いを馳せる子がいたのだった。

画像2

まいにちてがき絵日記◼️ほんともうそも時間も場所もなんでもあり。とにかく1日1ページ。ありふれた道具で描く平凡な生活のひとコマ◼️

画像3

絵日記の再構成、自由な作品帳もInstagramにて毎日更新 ▶︎ https://www.instagram.com/snack_koda

みつけてくれてありがとう 依頼相談 ▶︎ mochidaanco@gmail.com