自分のヘキ、明文化して理解っていこうや!!2022

渡葉です。普段はゲーム会社でシナリオを書いております。

この間、ライター仲間と雑談してたんですが、そこで仲間の一人が、言うわけです。「自分でキャラ設定を作らせてもらう機会があったから、性癖詰め込めて楽しかったです!!」と。

素晴らしい。創作者かくあるべしですね。自分の性癖を売り物にしてお賃金が貰える、数少ない職業ですから(勿論そういう仕事ばっかりじゃないけど)。

で、そこから派生して、「渡葉さんのヘキは何ですか?」と聞かれたんですけど……。なんかこう、即答できなくて。モニョモニョとそれっぽい事は伝えたんですが、どうにも歯切れが悪い。頭の中がとっちらかって、うまく言語化できない。

夜になって後悔しました。「こんな事ではいけない!!」と。シナリオ業たるもの、己の性癖も即答できない体たらくでどうする!?

なお後日、その話はエスカレートし、「いつか各人で、己の性癖を詰め込んだキャラを持ち寄ってコンペしましょうよ!!」とかいう話まで出始める始末。もしそんなものが開かれたら、このままではプロとして大恥かいてしまう!!

というわけで、己の性癖を目覚めさせるためにも、以下に、過去に自分が好きだと認識した属性とかキャラとかそういうものを、思いつく限り挙げていきたいと思います。

必死に思い出していきましょう。今まで己が感じた、好きだと思ったものを。羅列していきましょう。いつか訪れる戦いの時に備えて、武器を用意していきましょう!!

※下記に当てはまるキャラ・作品をご存知の方は教えてください!!! コメント、ツイッター、匿名の方はマシュマロまで(連絡先)。


1.女主人公

いきなりフワッとした特徴ですまない。一口に主人公といっても、色々なパターンがあるだろう。それは属性と言えるのか? 気持ちはわかる。だがこれだけは外せないんだ。

フワッとしたようでいて、「女主人公っぽいキャラ」という概念は間違いなく存在する。自分はザビ子(Fate/EXTRAの女主人公)のキャラデザに一目惚れしたのだが、見た瞬間「これは主人公!!!」と確信したのを覚えている。ゲームのほうも、PSVitaごと衝動買いしたくらいだ(ロビンに殺されたとこで止まってるけど)

同じFateでいえばFGOのぐだ子だって、一目で主人公とわかる。他のRPGなどについても同様だ。見た目のニュアンスで伝わる何かがあるのかな。少女漫画や乙女ゲーの主人公女子からも、似たオーラを感じ取ることができる。

仮説だが、主人公に宿る「主体性」がにじみ出ているとでもいうのか、自らの足で立っている女という感じが良いのかも。いわゆる「ヒロインキャラ」に見られるような過度な属性や華美さがない。そこがいい。

外見だけでなく内面的にも、女の子が己の目的や、事件解決のためとかに自ら奔走する様子はグッとくる。

あと、生まれながらの主人公でなくとも、物語が進むにつれて後天的に主人公性を増していく子もいいですね。ネウロの弥子とか、ゴールデンカムイのアシリパさんもそのタイプかも。


2.目的・野望のある女、やる気のある女

上記の派生だが、主人公でなくとも、こういう子はいい。「やってやろうじゃないの!!」という勢いのある女子はグッとくる。

シャニマスの冬優子が分かりやすいだろうか。いやー好きだ。百合漫画「あのキス」の白峰さんとか「総合タワーリシチ」の神奈ちゃんもそんな感じだ。「推し武道」でも、あーや推しだしな。うるさいほど瞳を燃やしてるくらいで丁度いいのだ。

自分は一時期、オリジナル作品を書こうとすると、必ず「制服の腕まくりして全力疾走する女子」を主人公にしてしまう呪いにかかっていた事がある。上記のキャラ達を知るよりも前の話だ。なんか根源的に、遺伝子に刻み込まれた「好き」なのだろうか? 原体験が思い出せない。

(こうして見てると自分、男性向けジャンルで最重要と思われる「デレ」を全く重視してなくて笑えるな)

商業のラノベにも、メインヒロインではないが、こういう女の子を出したことがある。「最高の自分を目指している。他人を尊敬はしない。尊敬は他人を自分の上に置くことだからだ」というキャラだった。我ながらストロングすぎる。


3.ガッツのある女

上記2.と被る部分もあるが、そうとは限らない。もちろん「うるさくてガッツのある女」も好きだが、「静かにガッツのある女」も好きだということだ。

逆境でも踏ん張ることができる。追い詰められても、内なる闘志を燃やして、時に冷静に、時に大胆に、耐えたり行動したりすることが出来る。まあこれも主人公類型の派生かもしれない。主人公ってガッツあるもんな。

あんまうるさくないキャラで挙げると、「ワールドトリガー」の照屋ちゃんとかが当てはまるだろうか? あの作品の女子、ほぼガッツあるけど。

そんな女ばかり書いていたところ、友人に「渡葉さんの書くヒロインって全員ゴリラですよね」と言われたことがある(褒めてるらしいが)。うるせえな。いいじゃねえか。かわいいだろ、ゴリラ女。


4.前衛の女

ここまで読んでくれた人からすると、ハイハイそうですよねって感じだと思う。まあお察しの通りよ。テンプレ的には、後衛で杖とか持ってるヒーラーのほうがヒロインとしては人気なんだろうが、自分の好みは断然バトルヒロインだ。バッチバチに白兵戦をしてほしい。

そもそも自分のデビュー作、格闘バトルものだからステゴロの女しか出てこないしな。まあ武器持ってても全然いいですけど。前衛でも女子はレイピアとか槍とか持ちがちだけど、もっと武骨なウェポンを使ってほしい。斧とか。

アマチュア時代には、ヒロインの武器を片手斧にした事もある。だからお前はデビュー遅かったんだよ。

これは一生言い続ける所存だけど、前衛バトルヒロインだった武装錬金の斗貴子さんと、PSYRENの雨宮さんが途中でメス堕ちして前線を外れたのを俺は一生許さないからな。


5.面白い女(天然)

さて、ここからは少し違う話になる。自分はそもそも話の要素としてギャグが好きで、ギャグ漫画を好んで買っていた時期もあるので、笑いを取ることができるキャラは大抵好きだ。

好きというのは単に好みというだけでなく、笑わされるとキュンとしてしまう。古代語で言うと、萌えてしまう。まさしく性癖と呼ぶべきものだ。

リアルの話で恐縮なのだが、昔片想いしていた女子で、「冬になると電車の座席があったかいのって、前に座ってた人の尻の温度じゃないんですか!?」と言われてときめいてしまった事がある。我ながら難儀だ。ときめくなよ。そこで。

ちょっと二次元キャラの具体例がパッと出てこないんだけど、いま関わっているゲームの人気キャラに、結構このパターンいる気がするな。世間的にも受け入れられやすい特徴なのかも。


6.面白い女(意図的)

ギャグキャラの2パターン目。これは自分からボケにいく、笑いを取ろうとするキャラだ。これも笑うだけでなく、本当にキュンとしてしまう。

デレマスのフレデリカや久川凪がこれにあたる。凪とか、ネットスラングを使ってくる「インターネットのオタク」ですからね。同類臭がしてとても好感が持てます。Discordに久川凪ファンの集いがあるんだけど、こっそり見るだけ見ていたりする。

ヘブバンの茅森(メカクレのギャルゲ主人公・女)も完全にこのパターンだね。これきっかけで、この類型のキャラ流行らんかなあ。まあ、あまりにも麻枝イズムの唯一性が強すぎるけど……。

また、当然ながらVチューバ―の方々でもそういう方が好きになる。さすが、笑いを取るのが達者な方々が多くいる。何しろプロだ。言語感覚の鋭い人っていいよなー。まだまだ知らない人も多そうで、漁りがいがありそうですわ。


7.自己肯定感の低い女

これはもう、共感ですかね。自分という存在を認めることができない。胸を張ることができない。弱い。能力が低い。ズボラだ。なんでもいい。とにかく私はクソだ。まともな人間ではない。どうせ私なんて……。

そもそも自分は以前の日記で紹介したように、自らネガティブソングを募集するくらい、基本の価値観が後ろ向きに振れているので……。

その流れで教えてもらった、さユりさんの「ミカヅキ」っていう曲が良くてね……。歌詞がまさに「持たざる者の嘆き」でさあ……すごく刺さって。こういう人たちを救う物語をよう、俺もいつか書きたいんだよなあ。とにかくそういうものを抱えた人が好きです。

とはいえ暗いキャラである必要はまったく無く、例えばこのカテゴリに、上記のギャグ要素が合わさってるのが夢見りあむですよね。りあむ、登場時は様々なお気持ちが飛び交ったけど、今では普通に人気キャラにおさまってるように見えるから、造形として可能性は今でも感じる。

ちなみに、昔ボツになったラノベの企画で、メインヒロインにりあむみたいなキャラを据えようとしたら、担当に「このヒロイン、善逸ですか?」と言われたことがある。そうか。りあむって善逸なんだな。


8.ホワイト女上司

これも、どこから発生した性癖か覚えてないんだけど、ある時気が付いたんですよね。自分で書くときに「俺、上に立つ女キャラに善政を敷かせがち」って。

作家としてのデビュー作にもJK社長が登場していますが、かなりホワイト経営者な言動をさせています。そうすると、なんか気持ちいいんだよね。あ、これが創作にリビドーを注ぎ込むって感覚か?

その後、ゲームシナリオで「世界征服を目指すお嬢様」を扱った時も、自分の下僕をきちんと労い、褒賞を与え、尊重するセリフをいっぱい書いた。けっこうノリノリだった。

そういや最近書いたシナリオでも出したな。すごくまっとうな事を言うお姫様。なんか自然とそうなった。読んだ人からも「こいつに国を任せたほうがいいんじゃね?」みたいな反応もあったりして、評判も悪くない感じ。

理知的で道徳的なキャラが好きなのかな? でも、単にまともな人が好きというわけでもなく、そういうキャラが上に立っているというのが重要なんだと思う。


9.闇堕ち、復讐、皆殺し

まともな人間が好きと言った舌の根も乾かぬうちに、ですが、これも大きい。これはキャラの性別を問わないですね。

先に書いた通り、根がネガなもので。少年期にまあまあ酷いイジメに遭っていたこともあり、たまった鬱憤が解放される流れはたまらないものがあります。

呪術廻戦はそのへんを頻繁に満たしてくれていいよね。全校生徒を毒殺しかけた順平、猿どもに絶望して反転した夏油様、自らを冷遇した実家を全滅させた真希……と思い出せるだけで3回もこのパターンをやってくれている。

タコピーのしずかちゃんも、ここのカテゴリかな。好きなんですよ。キャラとして。

まりなちゃんを〇ったタコピーに「ありがとう」って言っちゃうとことか最高で。最終的には押し潰された行く先として、児童誘拐からの解剖に及んでしまう圧倒的な負のエネルギー。ほれぼれする。

やっぱ世界ってクソだから、いつか絶滅させないといけないんですよ。しかしもちろん世界全部に絶望してなくても、私怨の復讐者も全然すきです。ニンジャスレイヤーにあれだけハマったのも、フジキドがああいう男だったからだろうし。

WEB漫画「覇記」に好きなシーンがあって。自分を追放した祖国を滅ぼそうとする貞山青葉が、手始めに追放事件に関わった幹部を殺した時、「復讐の味は苦いというが、どうだね?」と聞かれ「死ぬほど気持ちいいぞ、クソジジイ」と答えるところ。

復讐は何も生まないとか、ウソすぎる。快感を生むだろ! 復讐は!!(やったことないけど)


10.反権力、レジスタンス

……というメンタリティで暮らしているわけですので、主人公が体制側よりも反体制のほうがワクワクする。

よくある「ようこそ、我々レジスタンスのアジトへ」みたいなテンプレにも、普通に目を輝かせてしまう。これの原体験は「ぼくらの七日間戦争」なのかな。上で触れたニンジャスレイヤーなんかも、めちゃくちゃ反体制の話だ。

この世の春を謳歌している成功者、偉い奴って普通にめちゃくちゃムカつくので、叩き潰したいんですよね。やっぱ世界ってクソだから、いつか絶滅させないといけないんですよ(2回目)。

9.の特徴で挙げた皆殺しにも繋がるんだけど、「アクメツ」とか、偉い人がグチャグチャに死ぬのでスカっとする。クッッッソ不健全な趣味だとわかってはいるけど、好きなものは仕方ない。一定の支持があるジャンルだとも思う。ジャンクフードとか豚ラーメンみたいな味がするんだよな。


11.天才に勝てない凡才、秀才

これなー。読んでて胸がギュっとなるのでツライし、積極的に読んだりはしないというか、むしろ見たくないんだけど、何かのはずみに見てしまうと「オオオオオ……!!」となるので、好きというか、刺さるんだと思う。

思えば、人生のすべてが劣等感とともにありました。周囲が作家デビューする中、いつまでたっても芽が出ない。作家になったらなったで、打ち切り&打ち切り。仲間はこのラノで1位をとったり、コミカライズを何作も並行したり、アニメ化したり。同じ井戸の中にいた連中にどうやっても敵わない。

ゲームシナリオの仕事を始めてみても、普通にまわりが創作力で上回る人ばっかりですからね。他の人のほうが周囲の覚えもめでたい。今まさに困っている。余は七大罪のうち"""嫉妬"""を司りし悪魔なので……。

というね。自分語りしてしまいましたが、そうなので、そういうキャラとかストーリーに弱いんだわさ。

スポーツものとかで多いじゃないですか、圧倒的天才の主人公に挑まざるを得ない凡人のライバルとか。「オオオオオ……!!」ってなる。オオオオオ……!!

最近読んだのだと「チ。」の魚豊先生のデビュー読み切り「佳作」がそんな話だった。才能、実力はおろか人望まで負けてる展開、まあツライ。俺はこの世界の主人公じゃないんだ、というこの感じ。覚えがありすぎる。あーダメだ、これ以上考えるのはやめる。


12.非力な策略家

これは戦闘スタイルに関する好みですね。腕力で敵わない相手を頭脳一本で転がしてみせる。クールだ。痛快だ。

我がバイブルのひとつである「マテリアル・パズル」の、味方と敵の代表キャラが両方これだったのが印象的でしたね。ティトォとアダラパタ、どっちも腕っぷしは最低ランクだもんな。でもリーダー的位置にいる。

「ワールドトリガー」の修も、まあここに含められるか。クソ非力だし、立ち回りは策略家だもんね。彼の場合、本質は知力よりも、人脈とイカれた大胆さだけど……。


13.社会不適合者、自営業、ニート

上で出てきた通り、反体制派なので、社会からドロップアウトした設定にも魅力を感じます。

落伍者とか、とにかくまっとうに社会人してない人間に共感する。そもそも作家に憧れていたこともあり、フリーの人には未だに憧憬の念を抱いてしまうのよ(自分がそうなる勇気はないけど)。

初期の新都社とか、主人公はとりあえずニートにしておけみたいな謎のテンプレがあり(まあVIP発症だからな)、そういう漫画いっぱいあったね。ニートであることの正しさを演説してベーシックインカムについて解説する作品とかあったわね。

「今日はまだフツーになれない」という漫画がすごく好きでね、1巻完結だから是非読んでほしいんだけど、フリーターの女と売れない漫画家の女が、高校時代に出会い、周りに馴染めない中で寄り添って生きていく空気感が、とても心地よかった。

思い返せば、そもそも「現実逃避」な展開が好きだった。学校をサボって河原でゲーセンいくとか、会社をサボって海に行くとか。

「アニコイ」という漫画の4巻にめちゃくちゃ好きな1話があって、不登校の女の子が、学校をサボって河原でホームレスの怪しいイケメンとエモい会話をしている……と思いきや、イケメンは全部妄想で、実際は河原でマネキンと戯れていたという。

いやー、サボりっていいもんですね。みんなもサボろう! 嫌な会社を辞めるのも気持ち良かったしな。みんなも辞めよう!!


14.カオスな世界観

これは、最初に出会ったのはクロノトリガーだと思うんだけど。あれって、味方に統一感がまるでないじゃないですか。カエルと、メカと、原始人が並列に同じパーティにいる、このごちゃ混ぜ具合が好きなんだよ。

呪術高専のメンツもこれリスペクトだったりするのかな。パンダもロボもいるじゃん。あそこ。世界観が西洋ファンタジーで統一されてるのって、それと比べると「面白み」に欠けるなと。

アリスソフトの「大番長」の世界観が本当に好きでね。関東の戦車軍団と、京都の忍者軍団が関ケ原で戦争して、互角だったとか。トットリは砂漠でピラミッドがあり、北海道は吸血鬼に支配されていて、九州では海賊と聖騎士団がずっと内戦している。

ニンジャスレイヤーのネオサイタマもね、いいですよね。ネタまみれで。サイバーパンクとトンチキ日本が融合して、ギャグにもシリアスにも転がせる。

ホント、ずっと、そういう世界観を生み出したくて、アマチュア時代に色々あがいてましたけど、正直これだと永遠にデビューできないのでやめましたね。設定としては全然わかりやすくないので読者に優しくない……。

でも俺は好きだから! 諦めませんけどね!!


終わりに

はい! というわけで挙げてみたら14項目もありました。あるじゃん! 俺のヘキ!!!

なんか気が付いたら若干自分語りになったり、自分の中の闇がこぼれ出て内臓チラリズムみたいなことになったりしたけど……(嫌いにならないでネ!)。

とにかく、これからは意識していこう。「好きなもので、生きていく」をやるためには、自分の好きを理解(わか)ってなけりゃならない。そして、これからも好きなものをどんどん摂取して、己の刃を鍛えていかないといけない。

なので、募集します! 皆さんの力を借りたい!!

当てはまるキャラ・作品をご存知の方は教えてください!!! コメント、ツイッター、匿名の方はマシュマロまで(連絡先)。

よろしくお願いいたします。

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