See you againまでのカウントダウン
住んでいる場所から少し離れた所に、好きな道がある。日中に歩くと何でもないのだが、夜半が近づき割と暗い道に街灯がぽつぽつと光っている様子がたまらないのだ。
なぜたまらないのか、それは私が友人宅で飲んだ帰り道に通るからである。
友人は海外からの留学生で、恐らく来春には郷へ帰ってしまうだろう。今まで4年以上の付き合いをしてきた。非常にクリアな英語を喋ってくれて、なおかつ日本人の英語力の低さにも理解がある。私の人生で最高の英語の先生であるだけでなく、一緒に飲んだりクラブに行ったり、かけがえのない友人だ。
一方で、私は来春になってもまだ学生である。少なくとももう一年、博士課程に在籍するだろう。
大学院に博士課程まで在籍していると、ほとんどの友人を卒業式で見送ることになる。学部の友人、部活の友人、修士で出会った他大の友人、みな社会に出てしまった。博士課程まで残る方が稀有なことは理解しているが、それでも寂しさが無くなるわけではない。
そんな中で、博士課程を出てから道を違うのは少し特別かもしれない。彼はアカデミックの世界に残りたいと思っているが、日本では難しいかもしれない。能力の有無とは別にタイミングの妙というものがあるからだ。そうなれば、来年の4月でお別れだ。
これまでも別れが予見出来ていたことはある。しかし、慣れた夜道を歩くときにここまで大きな寂しさを感じるのは初めてだ。
あと丸一年で戦友がまた一人いなくなってしまうかもしれない。私が彼の家からヨタヨタと帰るのはあと何回だろう。普段から意識することは少ないが、ふとした時に頭をよぎる別れが悲しい。
こんなに悲しいのはお酒のせいなのかもしれない。それでも、この感情は嘘じゃないと思う。
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